昨年秋に購入以来、一度も整備することなく1年近く使ってきた自動かんな盤の調子が徐々に落ちてきた。包丁の刃先同様に刃の消耗が進み切れ味も悪くなって来た。鉋を掛けた後の木の表面が以前ほど美肌でなくなり、細い線状キズも残るようになった(単に線上に出っ張っているだけなので簡単に取れるのだが)。 不快なのは、極く薄くカンナ掛けした時に送り込みローラーの跡が筋状に残る点である。またカンナ掛け中の送材がもたついたりすることも増えて来た。
ただ、調整箇所があちこちあるため、一度手を付け始めたら何日も掛かりそうな予感がしてなかなか手を付ける決心がつかなかった。とはいえ、リビングテーブルのウォルナット材の最終寸法カンナ掛けを前に意を決して整備に手を付けた。機械整備については、訓練校の授業にもなかったので自力でやらねばならない。購入時に機械屋から簡単な整備方法の説明を受けたが、メモも記憶もすこぶる曖昧である。その後購入した木工機械の教科書に整備についてのしっかりした記載があるが、一般論で機種固有の整備ポイントなど当然ながら書かれていない。
実は、しばらく前にこの日に備えて手に入れておいた機械の取扱説明書が手元にある。この機械メーカーが随分前に消滅した際に業務を引き継いだ小さな会社が今も存在する。以前、その会社に電話をして取扱説明書の存在を確認したところコピーを有償で譲ってもらえるとわかり、購入したのである。 わずか20ページ足らずの薄い冊子だが、先の教科書(350ページほどある)の数倍の請求書が届き、内容も見ずにままよと振り込んだのである。何しろ昭和50年代の機械なのでその説明書も貴重品と考えた次第である。
ということでその冊子を熟読しつつ、あちこちのネジを締めたり緩めたりはずしたり油を差したり、悪戦苦闘して何とか整備を進めた。肝心の刃物も機械購入時に入手しておいた予備と交換である。長さ45cmもある触れなば切れん、と言わんばかりの恐ろし気な新品刃物4枚を取り出して、苦労しつつ交換を進めた。
で、結局3日も掛かってとうとう整備完了。材の送り込み具合はまだ満足が行かないが、あちら立てればこちら立たずのトレードオフの調整個所の最適解には至っていないが、整備前と比べれば大幅改善、一目瞭然ではある。まあ自己満足80点、といったところか。これにて木工再開である。
因みに交換した刃物、近所の機械屋で研磨してもらって次回交換に備えることになる。