「匠の祭・第9回」開催

コロナ禍で昨年は開催中止になった匠の祭ですが、今年は開催が決定しました。これまで奥永源寺の空き家などをお借りして室内開催でしたが、今年はお寺などの会場以外は基本屋外開催となっています。
永源寺ダムから更に山奥に進み、途中で道を間違えたかと思えるような狭い山道を抜けたところにあります。緊急事態宣言も解除されたし行ってみるか、という方お待ちしています。陶芸・ガラス・革・漆・木工関連と幅広い手づくり品が出展されます。
・日時:10月8日(金)~11日(月) の4日間 10:00~16:00
・場所:東近江市蛭谷町 筒井神社周辺
<表>
<裏>

木工教室から(21年9月)

木工教室で続々と出来上がる新たな作品を紹介したいと思います。前回掲載の5月以降の新作ですね。

  • 玄関キャビネット

教室作品で過去最大の作品となったと思われるます。ご自宅の玄関スペースにジャストフィットしる大きさのパイン材のキャビネット。扉は全て周辺を斜めに削った鏡板構造になっています。中央の扉のない棚部分は、奥様の手作り作品の陳列スペースとか。

下段に設置された横棒は傘立て、底板部分はキャスター付きの台車になっていて冬場の灯油置き場になります。軽く引っ張り出してストーブのタンクに給油できます。

  • 八角スツール

八角形が大好きなKさんのスツール2脚。脚部の強度を高めるために十字型の貫が入っていますが、高さを色々と悩んでカッコいいこの高さになりました。1脚は、お友達のところへ行ったそうです。左は(多分)チーク、右は自称どんぐりの木です。

  • 本立てまたはサイドテーブル

平面上の脚を上下に置けばサイドテーブル。脚を縦に置けばブック・シェルフというひとり二役の家具です(ま、同時には無理なんですが)。最近とみに増えて来た娘さん一家からのリクエスト作とか。ほぞを掘るのに角のみ盤が使えないサイズなので手持ちルーターと手のみ仕上げで苦労されました。ケヤキの木目がきれいです。

  • 米びつ

桐材を使ったお米ボックス。置き蓋構造で取り出しやすい構造にされました。ぱっと見、ただの箱のように見えますが、よく見ると4辺が全てアラレ組みになっているのが分かると思います。見た目の何倍も手が掛かって丈夫に出来ているんです、さすが。

  • アルコール・スタンド

最近ではスーパーやホームセンターなどいろいろな所で目にすることが増えた足踏み式のアルコールスタンドですが、ピアノの調律もされているTさんの手に掛かるとこんなカッコいいスタンドが出来上がりました。ペダルを踏むとピアノの鍵盤がスプレーを押してアルコールが出ます。足踏みでスプレーをプッシュする構造を試行錯誤しながら作り込まれましたが、苦労のかいあってスムーズにアルコールが噴射されます。唯一無二のスタンドになりました。材は、クルミとウォルナット。

全く知らなかったのですが、黒鍵は白鍵の丁度真ん中にあるんじゃないらしいですね。細かな部分にも拘りが込められてます。

  • アクセサリー・ボックス

教室の課題作として以前作られたふた付小箱と小引出しを上下に合体させたイメージのアクセサリー・ボックス。こちらも娘さんへのプレゼントとしてお作りになりました。上部の開き蓋の内側には鏡が取り付けられています。山桜の木目が上品です。

 塗装前

 塗装後

最近の椅子修理

いろいろな壊れ方をした椅子の修理依頼が、ぽつぽつとやって来る。平均すると月に1回ぐらい?  少なければ1脚、多い時は5脚なんて時も。

椅子の構造を座面だけで分類すると、①座面が単なる板構造のもの(お尻のカーブに合わせて中央部を少し掘り込んだものが一般的)、②スポンジを平らな板の上に(数枚)乗せてから合皮などで包み込んだ弾力ある座面のもの、③板ペーパーコードと呼ばれる紙ヒモや植物繊維を編んで座面にしたもの、④棒を四角い枠状に組んだものにゴムベルト(ウェービングテープと呼ぶようです)を縦横に荒く編んでその上にクッションの入った座布団状のものを置いて柔らかな座面にするもの等、いろいろ。

<Winds 太平の肘掛けウィンザー>

最も頻度の高いのがこの会社製のもの。既に会社がなくなったからだと解釈しているのだが。。。

肘掛け付きのウィンザー椅子の修理は、そんなに多くはないが時々やって来る。座面が割れていたり、あちこち接着がダメになっていたり。

接着がだめになってグラグラになっていれば一旦、分解して古い接着剤を削り落として再接着。全部が分解出来れば修理後の強度的には一番望ましいのだが、そうとも限らないので、出来る範囲でなるだけバラバラに。

接着がダメになるとほぞの部分に無理な力が掛かるようになり更なる破損へと進みがち(虫歯治療みたいなものかな?)。丸ほぞの部分が破断している場合、その部品を作り直したり、丸ほぞ部分だけを接ぎ木のように修復したりケースバイケースで対応。

最後は、接着し直して元の姿に戻ります。塗装のはがれがあれば、タッチアップ的に塗り直したり、時には広範囲に旧塗装を落として塗り直したり。

全部で4脚修理したのですがそのうち2脚は接着切れで座面割れ、残り2脚は割れなし。大分悩んだのですが、同時購入の椅子なので遠からず座面割れがやってくる可能性があるとみて、予め依頼主さんの了解を得て、座面下に大きな薄板を貼っておくことにしました。カッコ悪いのですが、座面下で見えません。念のため木ねじが見えないようにパテで埋めて同系色を塗っておきました。これでまた安心して長く使える事でしょう。

<テープ張替え>

座面その④のケースです。長年使うと座面下に張ったゴムベルトが伸び切って、座面の底が抜けたようになりお尻がそこにはまり込むような座り心地になってしまいます。見た目だけでは分かりませんが。。。

クッションを取り外してみるとベルトが伸び切ってしまっています。

こんな時は、こんな風にベルトを新しいものに張り替えるしかありません。

椅子の構造部分に問題なければ、これで座り心地は元に戻る訳ですね。

<柏木工のウィンザー>

これは飛騨高山の大手家具メーカーの椅子ですが、やはり長年の使用で昔の接着剤がダメになっていることはよくあります。

まずは、バラバラに分解します。体重が掛かる部分の接着は既に聞かなくなっていて簡単に分解できますが、余り力が掛かって来なかったような部位では接着がしっかりしていて分解できない箇所が残る場合もあります。余り無理をすると分解ではなく破壊してしまうことになりかねないのでそのまま残すこともあります。

ここで不精せずにちゃんと古い接着剤を削り落とすことが大事です。角ノミや丸ノミ、丸ほぞ穴には同径のドリルで穴の中をさらったりします。丸ほぞ割クサビといった頑丈なほぞが最も力の掛かる部位に使われていますが、こちらも経年変化ですっかりダメになっていることが多いです。

残っているクサビを鋸などで外して新しいクサビを用意します。

準備が出来たら再接着。

後は、はげ落ちた塗装を手直しすれば完成。

<デザイン重視(し過ぎた)椅子>

背中を支える棒材と脚が一体構造でこれと座板を左右のホゾ二つだけで取り付けた椅子でした。見た目はおしゃれですが、いかにも強度に難ありという設計。お子さんが椅子の上で遊んでいて、いきなり破損したそうです。怪我でもしたらPM法の対象になりそうな構造です。

ほぞがぽっきり折れてます。おまけにこのホゾは座板側面の材と一体で斜め方向に飛び出たほぞで、つまり木目がほぞを斜めに走っているという酷いデザイン。折れない方が不思議なぐらい斜めに出ていました。

   

接着面が座板側面と直角になっていないので新たなほぞ穴を接着面の直角に掘れません(2cmほど掘ると穴があくので)。悩んだ末に大きな縦方向のほぞではなく水平方向に別材の小さめのほぞを2枚ずつ(トータル4枚)入れることにして改造です。ほぞ穴に残る破損部材を掘りだして取り除いてから新たな木で埋めて平らにしてから新たにほぞ穴を掘ります。

ここまで準備できれば接着に進めます。接着剤が固まるまでクランプでしっかり保持して完成です。本当なら前脚と後ろ足の間に貫を入れて補強したいところです。左右に2本入れれば、同じような破断はまず避けられるのですが。見た目重視、強度軽視デザインの好例です。

こんな風に椅子修理は、工房の知恵試しをされているようなところがあって、その謎ときが面白いので割合に好きです。ポツリポツリとやって来るからこその面白さではあるのですが。

 

櫂(エーク)の製作

3カ月ほど前、工房ホームページを通じて問い合わせメールが来ました、「船を漕ぐ櫂の製作は可能ですか?」。なんと沖縄の方からです。もちろん櫂は工房初、最遠隔地からの問い合わせです。サバニと呼ばれる伝統的な舟で使う櫂をエークと呼ぶことを教えてもらいました。

半ば意気込み、半ば本気で「木で作るものなら何でも作ります」と書いてきた手前、受けない訳には行きません。エークの製作記事が書かれたホームページを紹介していただいたり、打ち合わせメールを何往復も重ね、ようやく最終寸法が決まり使用材も朴材に決定し、最初のエーク製作が3月に入ってスタートしました。トータル3本の製作依頼を受けたのですが、同時に3本作ってお渡ししてからここが違う、なんてことになると取り返しが付かないのでまずは1本を完成して見てもらわねばなりません。

寸法決定の最終段階で柄の形状が丸から楕円に変更され(涙)、ブレード部はこの図面のように先端に行くほど幅が狭く薄くなり(涙)、更にブレード上部と下部には凹と凸の曲面を付けねばなりません(涙)。よって最終的な加工には機械加工が出来ません(涙)。手鉋、バリバリ使わねばなりません(涙)。

いつもの材木屋さんから杓子用に用意されているらしい長くて厚い節無しの朴材を送ってもらい製作開始。まずは、厚さと幅を大体の寸法でカットして鉋盤に掛け、墨付け開始。

ここからは、手鉋の出番。

こんな感じで墨線に沿って曲面にしていきます。上側の凹曲面は外丸鉋や四方反り鉋の出番ですが、滅多に使わないこれらの鉋、まずは研ぎから開始。丸鉋の刃がカーブと合っていれば理想的なのですが、数種類のものしかないので鉋を掛け終えても表面ウロコ状になっています。

幸い朴の木はとても加工性がよくて逆目も出ないしサンディングも容易なのでここから先はサンディングで仕上げます(曲面なので慎重に手サンディングで)。

柄の楕円は、粗削りまでは機械も使えますが、最後は寸法を何度も測りながら平鉋で楕円に削っていきます。

というような苦労を重ねつつ、ブレード先端や後端を斜めにカットして、面取りをしてようやく1本目が完成!

貰って来た段ボール箱を改造してこの2m近い長さのエークを梱包し、近所のヤマト運輸に勇躍持って行ったのですが、何と「サイズオーバーで送れません」とのご宣託(涙)。

ここから大変でした。某S急便に電話して聞いたところ航空便だとこのサイズで2万数千円とか(ショックが大きすぎて覚えてない)。船便? 最安値の沖縄ツアーパックで自分で運ぶ? なんてことも頭を巡りました。諦めずにシコシコと検索を続けているうちに郵便局に「スキーゆうパック」なるものが存在することを発見。早速、地元の近江八幡局に電話して問い合わせました。「沖縄にスキーを送るんですね?」 私「沖縄にスキー場はないと思いますよ(皮肉を込めて)」。「ホテルに送って、その後送り返しますか?」 私「いいえ、個人宅に片道で送りたいんです」。ざっと30分ほどこんな質問やら、別の局に問い合わせてくれて最後に「大丈夫です、送れます」。製作開始以来初めてのうれし(涙)を流したのでした。

でも、郵便局に荷物を持ち込んで窓口に出したところから、はたまた同じようなやり取りを20分ほど繰り返したのでした。でも、最終的には僅か2500円程度で飛行機に乗って、2日後には沖縄本島の依頼主に届いたのでした。郵便局万歳!!

依頼主から受け取りのメールも届きました。なんと。

「エークが届きました!
素晴らしい出来栄えです。
既成品をはるかに超えてます。
ブレード面の仕上がり、握り心地は
もう感動しました。」

これを読んで、2度目のうれし涙を流したのでした。書き忘れてましたが、このエーク途中までは船を漕ぐ櫂だと信じて作っていたのですが、琉球古武術の演武に使う櫂であると知ったのでした。琉球古武術で用いられるいろいろな武具のひとつなのだとか。Youtubeで検索してその演武を見ることも出来ました。仕事は知識や教養をも養ってくれますね。

その後、追加の朴エーク2本も既に完成して送り届けました。更に堅くて重い木でも作ってほしいと言われ、山桜のエークも製作して既に1本届けました。山桜エーク2本目はもう少し軽くしてほしいとのことで、今は細身バージョンの製作を始めたところです。朴と比べると山桜は堅いうえに杢があって逆目も出るし、サンディングも手強いです(もしかしたら後日続きを掲載)。

長くなりそうな予感を持ちつつ書き始めたのですが、やはり長くなってしまいました、どうもすみません。ま、ここまで読んでくれるのは親しい友人や木工やってるけど時間も余ってる方だと思うのでどうかお許し下さい。私の備忘録みたいなもので。。。

 

離乳食スプーン

2年ほど前、孫に離乳食用のスプーンを作った事を書いたのだがその書き込みを読まれたかつての職場の先輩からお孫さん用にと新たに注文を頂戴した。親が使う最初の離乳食スプーンふたつ(丸底とすりつぶし用の底がやや平らなもの)とその後本人が使う短めのものふたつ、それにそれらを収納するスプーンケースも合わせて依頼いただいた。

お箸やスプーンは、自宅用や家族用に少量作って使っているだけなので人様にお作りするのは少しためらったのだが、よく知った方からでもあり、有難く作らせていただくことにした。

家具類を作るのと違って材料はほんの少しの材木でいいので選択肢は多いのだが、悩んだ末に山桜、ブラックチェリー、ホワイトオーク、それに軽い朴の木と全て違った材を使うことで了解いただいた。

まずは長い方から着手。四角に切った棒状の板に外形を墨付けして、バンドソーでざっくりと外形を切り出した後、丸ノミや小刀、サンダー等も使って徐々にスプーンの形に仕上げていく。スプーンの厚みや周囲の形状は口当たりや使用感を左右する大切な要素なので削り過ぎに注意しつつ慎重に進める。

仕上げは、サンドペーパーを何通りか使いながら刃痕を消しつつ滑らかに仕上げていく訳である。山桜のスプーンケースもスプーンのサイズに合わせて製作。

これでほぼ外形は完成したので、次に塗装。漆塗りを希望されたので拭き漆をするのだが、漆は色が濃くなって元の木の色合いがなくなるので2本は透明なガラス塗料(口に入れるものへの塗料として安全性が確認されている)を使う事で了解いただいた。

拭き漆は、塗った漆をすぐに拭き取ってしまう事を繰り返して徐々に厚い塗膜に仕上げていくのだが、塗りむらを取るため途中で研ぎを入れたりしてさらにまた塗膜が薄くなるので仕上げの様子を見ながら7度ほど塗り重ねてようやく完成。木の色が残ったガラス塗料のものとクラシックな漆塗りが対照的である。

スプーン背面には、依頼主ご夫婦それぞれの愛情のこもった手書きでお孫さんの名前が刻まれた、世界でひとつのスプーンセットの完成である。

離乳食が始まる人生の最初の日々に毎食口にしてもらうことになるスプーン、お孫さんの気に入ってもらえたらこんなに嬉しいことはない。

的場さん、貴重な機会を有難うございました。

木工教室から(21年5月)

コロナ禍の中とはいえ、木工教室では次々と新作、意欲作が誕生しています。

オシャレなメガネケース2種、山桜とウォルナットを二通りに貼り合わせられています。プレゼント用だとか。もらった方はさぞ嬉しいでしょうね。

   

台所用品もいくつか。こちらは回転式の調味料スタンド。メガネケースと同じ作者でご自宅用とのこと。

こちらは、食パンケース。教室で初めてスライド式扉に挑戦されて、見事に完成。板をつなぐ芯材用生地の選択がバッチリ決まり、スムーズに開け閉めできます。

    

そして、スツールを作った方が3名。古くなったピアノ練習用の丸椅子のリフォームをして上半分はそっくり新たに作られました。回すと高さが変わる太いボルトが入った金属部と脚部はキレイにして再利用されています。

 

こちらも同じく丸スツールですが、ご自宅で木工をするときの作業椅子。4本の板脚が斜めに取り付けられたこれまたお洒落なオリジナルデザインです。製作中に次々と新しい構造を思いつかれてどんどん設計変更し、カッコいいスツールの完成です。このスツールも高さを変えることが出来ます。

 

そしてこちらはケヤキ製の角型スツール。それぞれの脚に2方向からほぞが差し込まれているので、ほぞ同士が中で当たらないよう工夫されています。

そして小さな引き出しが12個も並んだウォルナット製の引き出し収納。前板の木目が横につながってカッコいいです。四角のつまみは手前に広がったデザインですが、治具を工夫して安全にカットされました。少し贅沢に厚い板を使い前面は留め加工した7枚継ぎで重厚感もタップリです。

  

今も大作や小物製作が続々と続いています。

テンセグリティー・テーブル製作

昨年9月の工房ブログで模型のテンセグリティー・テーブルを作ったという紹介をさせてもらった。

 その時の模型

その際にこの模型を実物大で欲しい酔狂な方からのご連絡をお待ちしています、と本気で期待する訳でもなく投稿の最後に書いていたところ、岐阜県の会社から本当に注文が来るという思いがけない出来事が起きた。

模型では、簡単に作れるように直角の加工だけで作ったのだが、もう少し浮揚感の強いデザインを所望されたので、最終的にこんなデザインに決定した。40cm足らずの正方形の天板が浮いている小ぶりのテーブルである。

通常の家具作りでは木と木を直角に組むことが多いのだが、今回は斜め配置する部材を斜めに継ぐ必要があり、滅多に出番のないデジタル角度計付の定規で墨付けした。これらをデジタル角度計を活用して設定した丸ノコ盤で斜めに部材を切ったり、斜めにほぞをカットしたり、何カ所かは手鋸で斜め切りしたりと結構大変だったものの何とか部品加工を終了。

「へ」の字に曲がっている部品がここでは最も重要な箇所で、大きな力がほぞ組を破断する方向に掛からざるを得ないので大きめのほぞを組んで接着後にさらにほぞ部を横断して貫通するダボを入れてさらに補強した。

 ほぞ補強のダボ

模型のように釣り糸で吊り上げる訳にはいかないので、今回は鉄製の細いワイヤーを何十本か撚って作られているワイヤーロープで吊ることにした。その金具も色々ある中から悩んで選定し取り付けた。

今回は、木工だけでなくワイヤーロープの両端に金具を通してから丸く折り返してアルミパーツをカシメて固定するという金属加工で四角(すみ)と中央部をつながねばならない。木を切るのと勝手が違って高い精度で作るのにも難儀した。ワイヤーをつないで宙に浮かせてから脚裏にあるナットでワイヤーの張力を調整しつつ、天板が水平になるように微調整して。。。ついに完成!

静止画では、浮揚感が伝わらないので動画も撮りました。

完成したテーブルを引き取りに来られるまで1週間ほど工房に置いていたのだが、この間やって来られた皆さんほぼ例外なく不思議な面持ちで見たり触れたりされてました。まじまじと眺めてどうなってるの? 一体何に使うの? と質問連発。

昨日、岐阜から引き取りに来ていただいたのだが、お話を伺ったところ、お酒を飲む場に置いて話題作りにしたいとのことで、テンセグリティーテーブルで検索して当工房のホームページに来ていただいたらしい。酔狂な家具を求める方だけあって、デカい豪華海外スポーツカーに積んで持ち帰られたのでありました。

今回のこのテーブル、これまで珍注文ランキングトップだった「兜の角」を抜き去り、トップにおさまりました(工房主の独断ランキングですが)。

少ないお酒で酔うことが出来るテンセグリティーテーブル、あなたも如何ですか? もっと違うデザインでももちろんOK!

工房小ネタ③:マジックテープ

工房小ネタその③は、マジックテープ。

電線などを束ねるときにクルクルと巻き付けて固定し、何度使ってもなかなかへたれないというあれである。正式名称がどれなのかよくわからないが、他にも面ファスナーだとか、結束バンドとか色々な名前があるようだ。

工房には、いろいろな電動工具があるのでそれらを片付ける際にこのマジックテープを使って電線を束ねるようにしている。

テキトーにホームセンターなどで買ったり通販で買ってみたりするのだが最近性能の差が気になって来た。何年も使っていると固着力が落ちてきたように感じるテープもあるし、新しいにも関わらずイマイチだったり、逆に最近買った中に素晴らしいと感じるものもある。

感覚的には引っ掛かる側と引っ掛ける側で(早い話、テープの裏表で)構造が違うのは分かるのだが、目を近づけて見てみても老眼には何も見えない。

という訳で小型顕微鏡の出番! 何年も前に神戸の竹中大工道具館で鉋の研ぎ方教室というのに参加したことがあってそこで初めてその威力を教えてもらったのである。私が行った職業訓練校の研ぎの時間は、ただ見本の研ぎと各自が研いでみるだけの授業でちっとも科学的でなかったので自己流脱出を夢見て参加したのである。結局は、その後も自己流が続いてる訳だが顕微鏡で見る習慣だけは身に付いたので十分に参加した値打ちがあった。

こんなに小さくて2千円ちょっとだけど威力抜群。鉋の途中が引っ掛かるなという時これで覗けば、はっきりと刃の欠けが見えるのである。で、こいつの出番。

まず最初に一番古い近所のホームセンターで買ったマジックテープを見てみた。こんな微小キノコがテープ片側の一面に生えていた。このテープは大分ヘタってしばりつける力が弱くなってるものである。

テープの反対側は、こんな感じ。写りがイマイチですみません。何しろ小さな顕微鏡の接岸レンズにiPhoneのカメラレンズを近づけてかなり拡大して写さないといけないので手持ちではこれが限界なのだ。細い繊維がもじゃもじゃとループ状にテープ表面を覆っていた。まあ、これは想像通り。

次に泣く子も黙るアメリカの名ブランド3M製のもの。ワンタッチベルトという名前が付いてた。去年ぐらいに高性能を期待して買ったもの。

ところがこれがサッパリ冴えない。新品なのにくっつき力が弱くて頼りない。はがすときのバリバリという音もしない(ように感じるぐらいナヨナヨと剥がれる。こいつも見てみた。

なんだ、このクラゲのようなきのこは? もっと気合を入れろ、と言いたくなるではないか!  キノコのカサの下側も丸みを帯びてるのでループに引っ掛かる力が弱い、と見た。反対側は、ほぼ上のと同じループ繊維の森だったので写真省略。

で、最後は最近お気に入りのやつを見てみた。このテープは(まあ新品なのでもあるが)しっかりくっついてはがすときも気持ちよくバリバリっと音を立てる(ような気がする)。この気持ちいいという点が大事。

なんとキノコ型ではない!2本足のタコが逆立ちしている(ような気がする)ではないか。2本の反り返った脚が反対側のループをしっかり捕まえて、あのバリバリ感を生むに違いない!

そんな訳で小ネタ③のまとめなんですが、じつはこの3番目のマジックテープも中国通販で買ったもの。手元のたった3種類のを見ただけで結論付けてはいけないのだが、なんだかオリジナリティーを感じるではないか。中国製造業はもはや模倣からオリジナル品に着々と進歩しつつある、というのが工房小ネタ①~③を通じての吾輩の考察となった(書き始めはそんなつもり全くなかったのに気が付いたらそうなってた)。さて、間違ってるか、正しいのか? 答えは、遠からず身の回りの品々でよりはっきりするに違いない。がんばれ、ニッポン! てか?

 

工房小ネタ②:工房のリモコン化

小ネタその②は、工房のリモコン化。

まずは、機械室照明の無線リモコン化。工房スペースは、全く同じサイズの隣り合う倉庫をふたつ借りて壁をくり抜いて(むろん家主の許可を得て)通路を設けてますが、照明スイッチはそこから少し離れたシャッター脇なのでついつい消すのが億劫で点きっぱなしの事が多かったのです。今年になって無線式リモコンのいいのを見つけました。

壁の電源スイッチから壁の中に追加で電線を這わせて床上に新たに設けた穴をあけ、近くのコンセントから延長コードを引っ張って来てACアダプターで12Vを作り、壁の中に入れたリモコン本体に供給し、スイッチからの電線を本体基板のリレーにつなげば出来上がり。

リモコンはこんなのを通路脇にテープで貼り付け。

追加のリモコンを組み立て室にも置いてるので消し忘れに気付いた時には、さっと消せます。壁があるので赤外線リモコンではまね出来ない技。お陰で機械室100Vの電気代が半減しました。

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これに味を占めて次に集塵機のリモコンも赤外線式から無線式へ切り換えました。工房の集塵機はパイプを通じて色々な機械で発生する木屑を集塵するのですが、複数の機械と繋がっていて、これらの機械を使う際に集塵機を予めスタートする必要があります。その都度、集塵機のところに行ってスイッチを入れるのがメンドーな訳です。ということで、数年前に取り付けたのは、赤外線式のリモコン。今は外しましたが、こんなのでした(日本メーカー製)。

左の本体の背面にあるプラグをコンセントにさし込めば、右のリモコンのスイッチで本体表に付いてる100Vのコンセント電源を入れたり切ったりできます。ここからの100Vの電線を集塵機の3相200Vをオンオフする電磁接触器という大型リレーの操作コイルにつなげば、小さなリモコンで数キロワットの大型モーターも入れたり切ったりできます(3/11修正:間違って電磁開閉器と書いていました、修正します。電磁接触器+サーマルリレー=電磁開閉器の関係です)。

まあ、それなりに便利で5~6年使ってきましたが、木工教室でいろんな方が操作する際にリモコンの向きが悪かったり、発光ダイオードの付いてる頭の部分を手で覆ったりすると操作出来ないという弱点が。で、こちらも照明用と同じく無線式に変更しました。

上の写真の黒いケースに入ってるのが交換した無線式リモコン本体の基板。ここに100Vをつなげばリモコン操作でリレーが働き、100Vを入れたり切ったりできます。

手に持ってるのが集塵機用のリモコン。どっちを向いていようと、手のひらですっぽり覆って操作しようとも安定してオンオフ出来るようになりました。工房のあちこちに3個のリモコンを置いたので実に便利。おすすめです。

因みにこれらの無線式リモコンは学習機能があり、更にリモコンを一個一個個別に識別出来るので複数リモコンの使い分けも可能。実によく出来てる。これも昨日のバンドソー・ブレードと同じく中国製。検索しても日本製やアメリカ製は出てこないので多分中国オリジナル製品。ワンコイン前後(本体+リモコン、更に送料込み)とこれまた驚きの価格。買い占めたいぐらいです(しないけど)。

工房小ネタ:バンドソー刃のたたみ

工房がらみの小ネタを幾つか披露したい。

最初は、バンドソー(帯鋸ですね)のブレード(刃です)について最近ビックリしたこと。工房のバンドソーのブレードは、長さが1周で125インチ(=3175mm)もあるので保管や輸送時は3つのループを作るように折りたたみます(折りたたむには少しコツが要りますが、ネットで動画がすぐに見つかります)。ブレードをネットで注文すると大体40cm角ぐらいの薄い箱に入って送られて来て箱を開けると35cmぐらいの直径の3重に折りたたんだブレードが入ってる訳です。

私のバンドソーは、Lagunaという会社のもので(製造はアジア製に間違いないけど)これまでその会社の米国通販で数年に1度ぐらいまとめて買ってました。ところが、先月在庫が無くなりかけて来たのでその会社のホームページを見たら直販ページがなくなってる! 別の米国の木工用品の会社にはありますが送料含めれば倍以上の値段になるので断念して日本で探して先日無事に調達出来ました。やはり3重に束ねた箱で届きました。

ついでにいろいろ探したところ中国の通販でも売っていることが分かったので(当然かなり安い)初めて注文したところしばらくして届いた箱が20cm角ぐらいしかありません。ありゃ、これは寸法を間違えて送って来たんだとがっくりして開梱したら何と5重に折りたたんだブレードが入ってました。ええっ~、5重に折りたためるんだとビックリして目からウロコが数枚剥がれ落ちました。

日本で調達したのと同じ幅広(19mm)のブレードも注文していたのが本日届きました。今度は箱が15cm角ぐらいです。今度こそダメだとがっくりして箱を開けたら何と7重に折りたたんだブレードが入ってました。目からウロコが今度は10枚ぐらい剥がれ落ちました。

あまりにも驚いたので記念撮影。

全体をぐるりと取り巻いているのが1周3175mmの折りたたんでいないブレード。左上がこれまで買っていたブレードの箱、デカいですがこれが刃の幅ごとに違う箱に入ってアメリカから届いてました。その下が3重に折りたたんだブレード。真ん中は同じサイズだけど(幅はちがいますが)5重に折りたたんでコンパクトになったもの。右端のが今回ウロコを剥がしてくれた7重巻きのもの。箱の大きさが半分以下です。

折りたたんだブレードは、ハガネ製で凄く弾性があるので折りたたんだ状態で結束バンドで勝手にほどけないように固定されてます。7重に折りたたんだのはいかにも窮屈そうなので3重にして保管しておこうと結束バンドを切りました。2本目の結束バンドを切ったその瞬間にバネが伸びるかのように(まあバネみたいなものですが)7重の折りたたみがとけて1重のブレードになりました。中国から来るブレードは、刃の側にブラスチックのカバーで囲ってあるので怪我せずに済みました。

因みに5重に折りたたむのは、3重に折りたたむのを2回やればいいに違いないとやってみたら出来ましたね。7重は怪我しそうなのでやりません。

で、今日の教訓。この7重に折りたたんだ工夫と刃をむき出しにせずカバーをしてある点など、中国の技術や工夫凄いな、と感心した次第。昔は安かろう悪かろうとか、コピー商品だとか言われていたけど(その要素はまだ否定出来ないけど)気が付いたら先頭走ってる感がする。肝心の切れ味は、まだ試してないので何とも言えないけど、1本のブレードに刃のピッチを2種類混在させていたりするので(ピッチが荒いと切れ味がよくて、細かいと切断面が滑らかと言われてます)、きっと切れるに違いない、という予感。値段も随分安いので競争相手は大変だなあ。

私も現役時代電子部品業界で、韓国・台湾・そして中国と競争に明け暮れて散々苦労したことを思い出しました、とさ。

こだわりの手作り家具工房