工房をスタートして間もないころから市内のプロ和太鼓奏者Oさんから色々なお題で太鼓台の修理・改造・新規製作の機会を頂き、その都度色々なタイプの台を作って来ました。彼から紹介された別の奏者からも依頼をもらったり、つい最近はブログを読まれた仙台の方から(工房の最北ご依頼記録!)も。
- 締め太鼓台改造
で、最初はそのOさんからの改造依頼。市販の締め太鼓台をご希望の高さと打面傾斜となるように改造し、キャスターも新たに取り付けました。木ねじを外してから接着部に衝撃を与えて分解します。
その後、寸法を切り詰めたり、太鼓を乗せる部材を低い場所に付け替えたり、キャスターが取り付けられるように添え木をしたりして、ようやく完成。
新規製作は、図面通りに切って組み立てればいいのですが、改造の場合はそれに加えて改造前の念入りな採寸も必要な上、改造部を同じような色合いで塗ったり、ネジ穴をパテで埋めたりもせねばなりません。ある意味、新規製作以上に気を使わねばなりません。
- 鐘吊り台製作
京都在住のプロ和太鼓奏者の方からは、太鼓台ではなくて何と巨大な真鍮製の鐘吊り台のご依頼。木で出来た太鼓よりはるかに重く、最大直径35cm以上もある鐘です。以前お作りした桶太鼓の台に無理やりこの鐘を吊り下げたところ。
これをご希望の高さや角度になるように台の寸法を考えて新たに専用台を作りました。例によってSketchupで3D図面を書いてから鐘が脚に当たらない寸法を見極めて、製作に入ります。
黒いオイル仕上げで無事完成。残念ながら鐘が乗っている状態の写真がありません。仮組の時点で問題ないことの確認が出来たので引き渡し時に鐘は乗せずじまい(うまく乗ったと聞いてます、もちろん)。
- 仙台からの締太鼓台ご依頼
なんと工房新記録となる最北地・宮城県は仙台市からメールでご依頼いただきました。太鼓の現物を見ることなく製作した初のケースです。採寸してもらった寸法を信じて製作を進めます。今回はユニークなご依頼として、太鼓を乗せる部材を角棒ではなく丸棒にして欲しいとのこと。
丸棒を栗材から削り出して、ご指定の高さ・角度になるように脚の角度を決めて固定できるように組んでいきます。
オイル塗装してキャスターを取り付けて完成。太鼓を乗せた写真を送っていただきました。
締め太鼓というのは、このように金属製のボルトで革の鼓面を締め付けるのですが、その鉄の部材の寸法などを詳細に聞かずに作ったので、完成後に太鼓を乗せてもらったところもう少し丸棒と丸棒の距離を縮めた方が安定して乗せられるとの声が寄せられました。そのため、改造用の部材(脚の開きを若干狭くするための数mm厚の小さな板)をお送りして貼り付けてもらい、無事事なきを得ました。
- 桶太鼓台
続いて同じ方からご依頼の桶太鼓台。折り畳み式の吊り台は何度も作りましたが、今回は分解式の置台です。ふたつほど素案を出した中から選んでもらって、やり取りしながら各寸法を決定しました。
塗装前の栗材で組んだ台です。下の写真のように分解出来るので持ち運びに便利です。
やはり完成後に太鼓を乗せた写真を送っていただきました。
ひとつ先に完成した締め太鼓台との2ショットもいただきました。鼓面中央は、同じ高さ・同じ傾斜の台となります。
ちなみにご自分で木工もされるという依頼主からのご希望で折りたたみ式桶太鼓台の設計のみ(これも工房初ケース)もやらせていただきました。
Yさん、はるばる仙台からのご依頼、有難うございました。