漆塗りに初チャレンジしてみた。市内の漆工芸家・藤井氏の数々の素晴らしい漆の器などを見せてもらっているうちにやってみたくなり、生漆を少し分けてもらったのである。木工関連書籍を次々と出版されている西川栄明氏が共同執筆された「漆塗りの技法書」も初版発行の2年前から手元に置いてある。機は熟した(?)のである。
5年前、飛騨高山の職業訓練校で木工家具の授業を受けていた時に一度だけ漆塗りの授業があり、手彫りの木の器やヒノキのおはしに拭き漆をひと塗りだけやったことがあるのだが、それ以来である。漆塗りの刷毛やらヘラだの拭きに使う和紙とか菜種油に陶器の皿(漆のパレットとでもいえばいいのかな)などをテキトーに買い集めて遂に開始となった。
ということでいろいろ作って塗ってみた。これは、一輪挿し。ブラックチェリーの端材を木工旋盤に掛けて、思いつくまま何個か一輪挿しらしきものを削り出したうえで生漆を3~4回塗って拭き漆塗装をしてみた。一回塗るごとに湿度を高く保持できるようプラケースに一昼夜置いて乾燥させてから塗り重ねた。右奥のドライフラワーを挿しているのは、比較用に漆でなくウレタン系の透明塗装をしたもの。
これは、太めのヒノキ棒を刃物でテキトーに割った上で上下にカットして中を掘り箱状に加工したものに漆を掛けてみたもの。ヒノキ棒を何個か割ってみて一番面白い割れ方をしたのがこれ。
蓋を外すとこうなっている。
ボールペンでも初めて漆塗りバージョンを作ってみた。いつも作っているペンは透明なワックス塗装で木目が若干の濡れ色になる程度でほぼ元の木の質感が残るのだが、拭き漆で塗り重ねると濃い漆色に染まるので、材料の木目は残るが、元の木材の色彩としては差が小さくなってはしまう。取りあえず、クラシック感の強い桑を選んで数本ペン用に削り出し表面を滑らかに仕上げた上で拭き漆をしてみた。完成後にゴールド、クローム、ガンメタル色のペンキットで組んでみたのがこれである。
一番上は、通常の透明ワックス仕上げのもの。上から2本目のは、生地固めとして砥の粉で桑の導管を埋めてみたのだが、桑のような道管の多い木材だと色が濃くなりすぎて木目が見えづらくなる。人により好き嫌いがあるかも知れないが、生地固めなしで多少明るい目の塗装の方が好きではある。
これらの漆を塗った木工小物、今週金曜からスタートする匠の祭で披露して、やって来る方の感想を聞いてみるのも楽しみである。13日のイイネタマルシェにも持って行ったのだが、ずっと「ボールペンを作ろう」コーナーに掛かり切りでそういう会話をする時間が全く持てなかったのである。
家具に拭き漆を施すのも興味はあるが、面積・体積の大きな家具は、漆を塗ると些か重くて暗い印象になるので、明るい洋室にはいまひとつフィットしないような気もする。とはいえ、今後もいろいろチャレンジしてみたい。実は、黒漆だの銀箔だの箔押し用の漆だのついつい合わせて入手してしまったので、当分遊べそう。漆かぶれだけは御免こうむりたいのだが、さてどうなりますか。
こんばんは。
ボールペン、一輪挿し、木箱と簡単に作ってしまうんですね。
すごい!