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金物市と木材市へ(1)

11月に入ってから兵庫県三木市の金物市と岐阜は各務ヶ原の木材市に立て続けに行ってきた。ちょうど、木工の合間の刃物研ぎをやっている最中に金物市(正式名称は三木金物まつり)をやっていることに気付いて、いそいそと砥石を買いに出かけた次第。鉋や鑿の刃物研ぎは、1000番と4000番の人工砥石で研いだ後(この時点で鏡のようにピカピカ)仕上げに少し天然砥石を使うと地金部分(木を削る鋼を支える軟鉄部分)の鉄が銀ピカから曇った黒色に変化して「研いだ!」感が増すのである。研ぎの本などを見ると天然砥石はピンキリではあるものの、素晴らしいものに出会うとよく切れるようになり、なおかつ長きれするようになる、などと書いてあり、少し違ったものを試したくなった次第である。会場に行くと何軒もの砥石屋もあり、試し研ぎもやらしてくれる。とはいうものの、必ずしも平らに仕上げられた砥石ばかりでもなく、違いを感じるもののどちらがいい砥石なのか、正直なところさっぱりわからない。何軒か回った後に、結局巣板と呼ばれる硬そうな砥石を買ってみた。やたらに広い会場には、体育館のような屋内でブランド刃物をブランド価格(?)で売る店もあれば、屋外のテント下で幾分錆が回った刃物や売れ残ったような道具が段ボールに放り込んで特価で投げ売りする店もあり、掘り出し物を探すのはなかなか面白いものではある。

帰る頃には、手元に鉋の刃や裏金だのミニ槍鉋、サビたのみ、売れ残りの外丸鉋(いずれ四方反りに改造予定)、それに唯一新品の替刃鋸などをぶら下げていたのでありました。

(木材市は次回へ続く)

木工教室募集開始のご案内

以前から時々リクエストをお聞きすることのあった木工教室をスタートいたします。先月は、旋盤で作る手作りボールペンをやってみたいという女性のご希望があり、半日コースでやってみたのですが、それもきっかけになりました。この7月、草津のコミュニティFMに出していただいた際にもパーソナリティーの方から教室はやらないんですかと聞かれて、秋にはスタートしたいと勢いで公言したこともあり、ようやく実現にこぎつけたともいえます。

とはいってもどうやって進めればいいか、やってみながら試行錯誤ということになるのかも知れません。取りあえず、単発の教室と継続的な教室のふたつでやって見てみたいと思います。単発教室では、ボールペンづくりやスプーン、カッティングボードなどの一日で出来るものとか簡単な家具を数回で作るイメージを描いています。継続教室は、文字通り継続して決まった日に工房で木工基礎から勉強してもらって、最終的にはご自分でデザインした家具を手工具と木工機械も使いながら作ってもらえることを目指したいと思います。

私自身も独学の日曜大工からスタートして、木工教室で教えてもらったことがきっかけとなり、やがて職業訓練校に行き、ついには大型機械を備えた工房を開設したという経験を経てきましたので、木工をやってみたいという方の手助けが出来れば、たいへん嬉しいことです。

先日おわった匠の祭で配り始めようと、その直前に急きょ作ったパンフレットがこれです。

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匠の祭終了

匠の祭が終了して一週間、気合を入れて準備した後の脱力の日々が過ぎた。今回の会期4日間は、台風21号とぴったり重なってしまった。

 小雨のひととき

初日の金曜日は、まだ大した降りでもなく大勢の方が狭い山道を通ってやって来ていただいた。2日目は、だいぶ台風が接近してきて時に大降り状態。会場では飲食ブースが屋外のテント下で営業されているのでテントに雨水がたまり苦労されていた。夜は恒例の(初参加なのでおそらくなのですが)参加者交流会が開催され、テント下の炭火でプロの料理人によってイワナが焼き終えるのを合図に宴会開始となった。

主催者のご家族やボランティアの方達に準備いただいた豪華な料理とともにアルコール類が豪快に空いていく。私は、車で通っているのでノンアルコール・ビールを飲みながら、久しぶりに見る何人かの豪傑の(女性もふくめ!)一気飲みを唖然と見守るばかりであった。最後の一気飲みから一体何年経ただろう。周りは、木工ほか手づくり職人ばかりで話が弾む。

3日目、いよいよ台風は滋賀県に接近して強風と大降りのなか、それでも県内からあるいは石榑トンネルを通って三重県からも来ていただいた方も。大いに感謝である。

4日目となる日の未明、台風は滋賀に最接近し、朝には遠ざかったっていった。台風一過の青空を期待したが、どんよりとした曇り空である。当日朝のニュースで、名神高速も閉鎖、東海道線も不通のとのこと、不安に思いつつも最終日の会場へと車で向かった。やがて永源寺あたりで車のナビがとんでもない道を指し示すのであった。ナビ画面の前方地図を見てみると国道421号線に通行止め表示が出ていた。会場に電話をして聞いてみると、会場の少し先で土砂崩れになっているが会場までは通れる、とのこと。平素の何倍もの落ち葉や小枝で敷き詰められた山道を進んで何とか会場に到達したのであった。

 会場前の小川も増水

県内各地で台風被害もでた中、さすがに通行止め警告を押し切ってやって来る方はほぼいない(でも午後からやって来てくれる方も何組か、感謝である)。

ということでなかなかに貴重な経験をさせてもらった4日間でした。来年の再会を期して一本締めの後、神社前の石段で参加者の記念撮影をして引き上げたのでありました。悪天候の中、来てくださった皆様に再度感謝。

匠の祭

いよいよ今週の金曜日(10月20日)から奥永源寺での手作り展・匠の祭が始まります。ここを目指して作って来たものが出来つつあります。

今回の試みは、電子工作と木工の融合(?)への初チャレンジ。Arduinoと呼ばれる小さなマイコンボードが簡単なソフト開発で出来るという事を教えてもらい、モーターを動かしたり、文字を表示したり、距離や傾きを測ったりが簡単にできるという事で次々テストで試作。で融合第一弾が、LED表示器。

スマホやタブレットからの指示で(WiFiまたはBluetooth)で好きな文字や時刻や温湿度をドット・マトリックスのLED表示器に表示するというモノ。新幹線車内のニュース表示のように右から左に文字が流れます。しゃれたウォルナットなどの小箱に入れましたが、欲しい人、ひとりぐらいいないかなあ?

もちろんメインは家具・木工です。4本脚の栗のテーブル(売約済みなので展示見本)やブラックチェリーのサイドテーブルが新作、小物は定番のカッティングボード、ボールペンに加えて、木のバッタを。木のバッタは、最近注文をいただいたので久しぶりに作りました。子供がひもを引っ張って転がると同時に脚がバッタのように動くというもの。

 まだ未完成、今日完成できるか?

ということで、20日(金)から23日まで奥永源寺にて開催されます、ご来訪どうぞよろしくお願いします。詳細は、前回ブログに記載しています。

 

 

 

「匠の祭」@奥永源寺

毎年10月に東近江市は奥永源寺で「匠の祭」というてづくり作品の展示会がひらかれていて、木工だけでなく陶芸やガラス、革、ナイフ、能面など多種多様な手作り作品を見ることが出来ます。知り合いの木工家も何人か出品されていて、今回初めて参加させていただくことになりました。家具だけでなく木工小物もあわせて持って行こうと計画中。

奥永源寺への道は、永源寺ダムを過ぎて国道をはずれるとどんどん細くなって行き、そのうち対向車とすれ違うのもやっとになり、道を間違えたのではと不安を感じる頃に到着します。会場への地図は、パンフレットを見るよりこのリンク先(滋賀観光案内)を見る方が便利そうです。

食のブースも設置されています。お暇な方もそうでない方も是非覗きに来てください、きっとお気に入りの一品を見つけられますよ。永源寺の紅葉にはちょっと早いですね。

日時:平成29年10月20日(金)~10月23日(月)  10:00~16:00

会場:東近江市蛭谷町176   筒井神社周辺(木地師資料館前)

詳細は下記パンフレットをご覧ください。

(クリックすれば拡大)

栗のテーブル製作中

ようやく朝夕涼しくなり、木工機械に汗を垂らして錆を生むこともなくなって来た。しばらく前から栗のダイニングテーブルを製作中。天板は、おおむね完成。耳を残そうか、それとも直線に切ってしまおうか、悩んだ挙句に耳を残した。反り止めの板を天板下に取り付けるのだが、ビス止めにしようかなどと誘惑もあったが、ここは修練ということで吸い付き蟻桟にしてみた。

3/1000ほどの勾配の先細りのアリ溝とそこに挿し入れるアリ桟を加工するのが肝ではあるが。前回作った冶具類をそのまま使ったので、今回は思いのほかスムーズ。まずは、ルーターにアリビットを取り付けて冶具に沿わせて先細りになった溝掘り。

次は、桟に対して逆向けの溝つけ。これも冶具を使って溝と同じ割合でルーターテーブルで先細りに加工。

数回、天板に差し込んでみたうえで幅を微調整した後、最後は渾身の力で天板奥まで差し込めば、もう取り外し困難。

差し込んだ溝が片側だけ残っているので、ピッタリ塞ぐ板を加工して溝にフタをして、あとは天板と段差がないように鉋を掛ければOK。桟を差し込む前にやっておくべきだった桟の小口の斜め加工も後から手加工でやって(抜き取る手間よりこっちが楽)やっと出来上がり。

このテーブルは、四隅に脚を取り付けるのだが、今回初めて取り付け用の金具も調達済み。これからその金具を使っての加工が始まりである。因みに桟取り付け前に写したこれが脚と取り付け金具である。さあ、いつ出来上がるか。

小さな木工品

小さな木工品の依頼を受けて、幾つか作りました。ひとつは、ダーニング・マッシュルーム。湖西の慧夢工房さんから紹介をうけて作らせてもらったのだが、初めて聞く言葉で最初は何のことかわからなかった。衣類のほころびをかけはぎで繕う為の裁縫道具、ということらしい。マツタケの形のカサの部分を例えば穴のあいた靴下に当てて手でかけはぎをする、らしい。

ネットの写真を参考にして旋盤で作ってみた。カサの部分をひとつはウォルナット、もう一つはケヤキ。軸部分は色と雰囲気がマツタケっぽい栗のツートンカラー。出来上がったのがこれ。

 高さ10cmあまり

いつまでもなくならない松茸、お好みの樹種で作りますが、如何?

もう一つは、デザイン会社からの依頼で作った40cm足らずの木工品。なんでも神社のお守りだかストラップを陳列するのに使うらしい。神社とくれば、欅が似合うだろうという事でナラを所望されたが欅を提案して樹種変更。欅の和風テーストがいいなあ。小さな家具を作るようなものではあるが、小さいが故にホゾ継ぎなど小さく正確に加工しないといけないので却って難しく感じた。

一品料理、むちゃブリ大歓迎。ということでご紹介まで。

 

 

桶太鼓用吊り台

ひと月半ぶりのブログである。暑い夏の間、すっかり書込みもサボってしまった。工房は平屋で屋根も鉄板張り(多分)、壁には断熱材なし、おまけに日当たりはバッチリで西日が八幡山に隠れるまであたり続ける。組み立て室の方には、一応エアコンを設置してあるが、この酷暑には全く勝てず汗ダラダラ。おまけに機械室は空調なしで時に40度に迫る厚さである。汗だらけの手をうっかり鉄の常盤につけると、翌日にはサビの手形になっている (T_T)

今回の太鼓台は、またまた新しいものに挑戦。吊り台というもので、桶太鼓の鼓面同士を縛り上げたロープに革ベルトを通して、台に吊るすのである。3本の脚の先端にある金属ピンで固定された革ベルトに太鼓がユラユラとぶら下がっているわけである。太鼓が宙に浮いているような趣なので、私の耳には木の台に置かれたときの太鼓の音より張りのある音に聞こえる。

で、持ち込まれた直径65cmほどの太鼓に合う台を作るのがお題。いくつか条件があって、①吊るした時の鼓面中央の高さは84cmが基本、ただし、奏者によって高さが変えられるように革ベルトに穴を幾つもあけて調整できること、②鼓面の傾斜は15度程度に傾けて吊れるようにする、ただし脚は直立、③取り付ける太鼓の高さは37cmほどだが、将来55cmぐらいの背の高さのものを使うのでそれにも合わせられること。実はもうひとつ径48cmの太鼓もあって、これも同様に二種類の高さに対応できること。

要はふたつ同時に違う大きさの台を作る訳である。3本脚と書いたが、実際は2本脚の物をふたつ丁番でつないで折り畳み式にして、開いたときにそのうちの3本の脚から吊るすわけである。まっすぐに立つ3本の脚に円筒状の太鼓を傾けてぶら下げて、脚に太鼓が当たらないように、なおかつ隙間が広すぎるとカッコ悪いので脚と太鼓の間に適度な間隔を持てるようにサイズ決定しないといけない。これは、なかなか難問ではある。私の数学力では解けそうにない。

こんな時の頼もしい助っ人が、いつも使っている”sketchup”という3Dの設計ツールである。こいつを使えば、予め傾けた状態の太鼓を用意してそれを三角形に開いた太鼓台のセンターに置いてみて脚の間隔をちょうどいい具合になるように調整すればいいわけである。図面から太鼓と脚の間隔も読み取れるので、自信をもって製作に移れる訳です。といいつつ、木を切るときは一抹の不安もあり、仮組みで太鼓が収まった時には安堵しました。下のが、設計図。太鼓の下側が二重になってるのは、背の低いのと高いのを兼ねているため。

という訳で、想定通り(?)一発でドンピシャサイズの台が完成した。因みに材は、定番の栗。ただし、今回初のスペシャル配合の黒色オイル塗装。25日の演奏会で使いたいので前日までに完成させてほしいとの注文主の依頼に何とか滑り込みで応えることが出来た。前日夜の引き渡し時には、まだオイルが乾燥しきっておらず、おまけに黒色塗装だったので、積み込んだ際には手が少し黒くなるという生乾き状態での納品となった。

塗装前

  大小ふたつ完成

 注文主の大橋さん

でも黒いオイル塗装の栗、なかなか気に入ったなあ、今度家具でも使ってみよう。ということで久しぶりのブログでした。

家具再生

古い家具の再生がいくつか続いている。

ひとつは、20年近く我が家で使い込みそれなりに傷が付いたカリモクのダイニングテーブルである。昨年暮れ完成した欅材のダイニングテーブルに交換して以来、脚を取り外して半年ほど工房に立て掛けておいたものである。長男一家が大きなテーブルが欲しいという事で、このテーブルを再生することにした。ウレタン除去液というものを初めて使ってみたが、どうもまどろっこしくてやってられず、電動サンダーの登場である。まずは120番の荒いペーパーを取り付けたベルトサンダーでひたすら古い塗装被膜を削り落とす。掃除機を接続してサンダー粉を吸い取りながらではあるが、随分な量の削り粉が工房中に飛び散って、終わった後は工房中が真っ白である。ひたすら続けるサンディングは、木工作業の中で最も辛い作業のひとつだが、塗装を落とすサンディングは粉を吸い込むのも嫌でひときわ忍耐力がいる。でも、元の濃い茶色のテーブル天板は、すっかり色白美人になった。

 Before

 After

塗装色の好みを聞いた所、白っぽい方が好きとのことでクリアオイルで仕上げることになった。完成写真を撮り損ねたので、実際に使っている時の写真で失礼。

もう一つは、なら集成材で出来た座卓の再生。相当年数がたっているので、元のウレタン塗装は所々がはがれ落ち、傷も多くみすぼらしい感じになっていた。

 Before

最初のダイニングテーブルの塗装除去はサンディングで行い、工房内が粉だらけになって大変だったので、この座卓の場合は、天板中央で二枚にカットして、機械で鉋掛けをして塗装を削り落とした。もちろん圧倒的に楽である。再度天板をつなぐ際にアクセントにウォルナットの板を中央にサンドイッチしてみた。

続いて、脚や幕板なども全て塗装を落として再度仕上げのサンディングをして組み立て直したら、いい感じの雰囲気になった。

畳の部屋に置くという事で濃色のオイルで塗装。しっかりと蘇ったのでありました。

 

電子工作三昧の1日

半月ほど前、友人からロボット入門の教えを得て、直後にアマゾンに注文したArduino と呼ばれるワンボードマイコンやら関連パーツが、昨日ようやく 中国から届いた。と同時に昨日所用で東京に行った機会に秋葉原でラズパイと呼ばれるやはりワンボードマイコンのキットも手に入れた。結果、2種類の電子工作のセットが今朝目の前に転がっていた。

という訳で今日は、丸一日木工改め電子工作日となった。小さな液晶のディスプレー部品に文字を表示するというのが、Arduino の最初の一歩。老眼で細かい所がサッパリ見えないのも気にせず、細々とした半田付けからスタートし、あとは参考書やらネット情報と首っ引きで格闘しながらプログラムを作り、何とか簡単な文字の表示に成功。パラレル入力とI2Cシリアル入力の2種類である。青と黄色のバックライトがなかなか美しい。こんな部品が僅か500円前後で手に入る、しかも送料込み。信じられない。学校を出て最初の頃、ミニコンピューターなるもので工場の機械をコントロールするような仕事をしていたが、あの頃の数千万円のミニコンより性能も容量もこの数百円のが上回ってるぞ。

ここまで来れば、もう止まらない。続いてRaspberry Pi と呼ばれるワンボードマイコンに挑戦。こちらは、言ってみれば名刺サイズのパソコンみたいなものである。中国製のArduino 基板の10倍ほどの値段だが、5000円程度。ネットからプログラムをダウンロードして、数ミリ角のSDカードメモリーに書き込んだ後、キーボードやマウス(昔のを押入れから引っ張り出して来た)を基板に差し込んで電源をつなぐと、あっという間にLinux が立ち上がる。無線LANと繋げばいきなりネットサーフィンも出来るし、Microsoft Office 同等品も最初から入っている。ちょっと前のパソコン並みの動きで思いのほか俊敏。わずか16GBのメモリーカードに全てが収まるコンパクトなコンピュータである。それでもモーターのコントロールなどもお得意(らしい)。

という事で電子工作三昧の1日を終えた。次の目標は、Arduino で戦車を動かせるようにして、孫たちにプレゼントしたい。本当はスマホから無線で操作出来るようにしたいのだが(出来ればスマホを傾けるだけで曲がったり止まったりとしたいが)、そこまでは無理っぽい。

で、そういうプロセスを経て、究極は木工とこれら組み合わせたハイブリッドの仕掛けを作ってみたいと密かに考えているのである。それが何なのか? それを考えるのがこれからの楽しみ。