木工教室スタート

11月に木工教室募集開始の案内をブログに掲載したところ、県内からおふたりの方から連絡をいただき、記念すべき第一期生として12月後半から教室をスタートできることになりました。

これを機に教室の進め方など、もう少し具体的な内容を独立した「木工教室」ページとして用意してみました。今後も意見をお聞きしながらさらに整えていきたいと思います。

来訪者も極めて限られた工房で、これまでひとり気ままな、同時に若干の寂しさも覚えながらの日々でしたが、これからリズムと会話が工房にやって来るのだと思うと嬉しくなります。

<年末に追加しました>

で、初回の製作はこれ。訓練校の授業でやった鋸の練習課題です。おひとりの方は、来年の干支に合わせて馬じゃなくて犬にしたいという事で、デザインも考えてもらいました。ひと目で犬とわかるかわいい作品になりました。12年間続ければ、十二支全部が揃うかも?

就業体験生と一週間

就業体験プログラムでやって来たN君との5日間が、あっという間に過ぎ去った。今日の夕方無事に出来上がった苦労作を手に満足げな顔つきの彼とサヨナラをした。

前のブログに書いた通り最初の2日間は馬づくりで鋸・ノミに慣れ親しんでもらい、3日目から予定通りスツール作りである。皮つき板のナラ天板と同じくナラの角棒4本からスツールを作ってもらうという趣向である。今度使う道具は、鉋。曲面も削れる南京鉋と平らな面削りが得意な平鉋のふたつを渡して、まずは天板の皮を南京鉋で削り落として耳をきれいに仕上げてもらう。その次は4本の角棒を両鉋で自分の好きな形の丸棒に手鉋で加工してもらった。

天板と脚4本をカッコよく仕上げるのにほぼ丸2日近く、辛抱強く鉋掛けをしてくれた。徐々に自分の思い描く形に木を削っていく鉋掛けは、やっていてなかなか楽しい作業なのだが、彼も鉋屑を足元に堆積させながら、集中を切らすことなく黙々と作業に励んでくれた。後で聞いてみると、一番気に入ったのはノミで次が鉋掛けだったとのこと。鋸は線通りに切るのが難しいので3番目、納得である。いくらでも写真を撮るチャンスがあったのに撮り損なってしまった。で、削り終えた材がこれである。先に完成した馬2匹も一緒に。

座板への傾斜した穴あけ(丸ほぞ穴)も初めてのボール盤でやってもらう。この穴に差し込めるように脚側の上端を穴径と同じサイズで丸く削る(丸ほぞ)作業は、手鉋ではちょっと厳しいので旋盤でやるのだが、それも粗削り部分は経験してもらった。

で、脚を取り付けた後、脚切りで高さを調整すればもはや完成寸前である。得意の手鋸で脚切りも任せとけ、の図。

最後は、仕上げのサンドペーパー掛けをしてオイル塗装をしたら遂に完成。そうそう、その前に座板裏面に今日の日付と製作者名を電動彫刻刀で入れてもらった。

上の写真の右下に見えるのは馬を作った際に切り落とした馬の顔部分を仕上げてアクセサリーとした、家族へのお土産である。

という事で5日めの夕方、定刻までに無事全てのプログラム完了したのであった。これから先、N君の成長を世界でひとつのこのオリジナル・スツールが見守ってくれであろう。

ところで、普段ひとり作業でタラタラ不規則に過ごしていた工房生活が、彼が来てくれたこの5日間実に規則正しい生活を送ることが出来た。早寝してよく寝て早起きできた(普段よりね)。N君に感謝である。また遊びに来てね。

就業体験生がやって来た

先日、県内の高等養護学校の先生が工房にやって来られた。学校行事として就業体験プログラム(就業前能力養成事業)があり、モノづくりが得意な生徒に工房で木工の仕事を体験させてもらえないかとのお話であった。二日前後ならお手伝い出来そうとお答えしたところ、押しの強い先生(?)から1週間5日間のプログラムなので、という事でお受けする運びとなった。

ひとりで切り盛りする個人工房で、決まった仕事がいろいろとある訳ではないので、工房にある道具や機械を使っての仕事内容やいろいろな木の特徴なども話しつつも、基本的には手道具の使い方の練習と簡単な木工をやってもらうプログラムで進めることにした。

17歳のN君は、趣味が鉄チャンということで電車の事なら何でも来いで、あちこちの鉄道に乗ったり、交通博物館に行ったりはもちろん、自分で電車や汽車のペーパークラフトを自分で設計して組み立てるという猛者であった。で、今週月曜日がその第1日。

工房の機械も道具も危ないものだらけ、という安全についての注意事項を説明したのち、早速鋸とノミの実習スタート。教材は、昔訓練校でやった木の馬づくりである。この木の馬、なかなかうまく考えられていて、縦ノコ・横ノコ・斜めノコの練習、それにノミの練習も出来るという打ってつけの教材である。

鋸もノミも使ったことがないらしいのだが、鋸の基本の力まずにまっすぐ前後に鋸を動かす事が最初から上手に出来るのでビックリ。いい鋸は、鋼材が固いのでヘタクソに木を切ると簡単に鋼が割れてしまうので、ホームセンターの鋸を使ってスタートしたのだが、しばらく練習したら上手に使えて来たので迷わずいい鋸と交換して使ってもらった。昔、訓練校の授業で鋸を使った時の仲間の誰かさんより、はっきり言ってウマい。

という事で、月曜の就業時間中に無事完成。火曜日にも2匹目の馬を作って作ってもらって、今日からは鉋の実習。南京鉋と平台鉋を使ってのスツール製作に挑戦中である。

金物市と木材市へ(2)

金物市の数日後、今度は各務ヶ原の平野木材で毎月一度開催されている木材市へ出掛けた。数年前まで毎週通っていた湖西の慧夢工房の松井さん(私の木工師匠です)と先般匠の祭でお会いした際に11月の市に行かれると聞いていたので、私も一年ぶりに早朝目覚ましを掛けて軽トラで駆け付けたのである。

人生の楽園というテレビ番組をご存知の方も多いと思うが、たまたま6月ごろの放送を見ていたら近江八幡市に隣接する東近江市で手作り弁当箱を作られている寺本さんというご夫婦の話だった。で、その方が弁当箱の材料を仕入れておられるのが、岐阜の平野木材でその木材市での競りの様子も放送されたのでビックリしたことを覚えている。案の定、放送以降この木材市にやって来る人がどっと増えたらしい。

この木材市では、板材と巨大な原木両方の市がたつのだが、当然ながらその板材の方に参加するわけである。午前中5時間で千を超す競りを終える必要があるのでひと競りを0.3分≒20秒以内で終える必要がある。私が買えそうなこじんまりした材など(一山単位の競りもしくは複数枚の塊を1枚当たりの値段で競り落とす)ものの10秒足らずで終わってしまうことになる。スタート時の値段で買い手がない時は、値段が下がっていくのだがその下がった値段で応札者がいるとその瞬間で競り完了となってしまう。値段が上がっていくときにも応札者の値付けの後コンマ数秒で競り終了となってしまい、瞬間的な反応で応札しないと競り落とせないという厳しい(と同時に面白い)世界(?)である。

 板、板、板

 慧夢工房のお二人も

何が何でも仕入れたいと思っている材がある訳でもなく、また下調べもせずに出かけたので、その場で悩みながらひとテンポ遅れた応札はコンマ数秒遅れで常に競り終了後となってしまい、瞬く間に1000番台へと移ってしまった。

空の軽トラで帰る訳に行かないのでウォルナットの幅広めの板(でも1.3m程度の短い)3枚セットを終了間際にゲットしてきたのでありました。1~2年後に椅子になってもらおうと今は思っているが、どうなりますか?

 本日の収穫

金物市と木材市へ(1)

11月に入ってから兵庫県三木市の金物市と岐阜は各務ヶ原の木材市に立て続けに行ってきた。ちょうど、木工の合間の刃物研ぎをやっている最中に金物市(正式名称は三木金物まつり)をやっていることに気付いて、いそいそと砥石を買いに出かけた次第。鉋や鑿の刃物研ぎは、1000番と4000番の人工砥石で研いだ後(この時点で鏡のようにピカピカ)仕上げに少し天然砥石を使うと地金部分(木を削る鋼を支える軟鉄部分)の鉄が銀ピカから曇った黒色に変化して「研いだ!」感が増すのである。研ぎの本などを見ると天然砥石はピンキリではあるものの、素晴らしいものに出会うとよく切れるようになり、なおかつ長きれするようになる、などと書いてあり、少し違ったものを試したくなった次第である。会場に行くと何軒もの砥石屋もあり、試し研ぎもやらしてくれる。とはいうものの、必ずしも平らに仕上げられた砥石ばかりでもなく、違いを感じるもののどちらがいい砥石なのか、正直なところさっぱりわからない。何軒か回った後に、結局巣板と呼ばれる硬そうな砥石を買ってみた。やたらに広い会場には、体育館のような屋内でブランド刃物をブランド価格(?)で売る店もあれば、屋外のテント下で幾分錆が回った刃物や売れ残ったような道具が段ボールに放り込んで特価で投げ売りする店もあり、掘り出し物を探すのはなかなか面白いものではある。

帰る頃には、手元に鉋の刃や裏金だのミニ槍鉋、サビたのみ、売れ残りの外丸鉋(いずれ四方反りに改造予定)、それに唯一新品の替刃鋸などをぶら下げていたのでありました。

(木材市は次回へ続く)

木工教室募集開始のご案内

以前から時々リクエストをお聞きすることのあった木工教室をスタートいたします。先月は、旋盤で作る手作りボールペンをやってみたいという女性のご希望があり、半日コースでやってみたのですが、それもきっかけになりました。この7月、草津のコミュニティFMに出していただいた際にもパーソナリティーの方から教室はやらないんですかと聞かれて、秋にはスタートしたいと勢いで公言したこともあり、ようやく実現にこぎつけたともいえます。

とはいってもどうやって進めればいいか、やってみながら試行錯誤ということになるのかも知れません。取りあえず、単発の教室と継続的な教室のふたつでやって見てみたいと思います。単発教室では、ボールペンづくりやスプーン、カッティングボードなどの一日で出来るものとか簡単な家具を数回で作るイメージを描いています。継続教室は、文字通り継続して決まった日に工房で木工基礎から勉強してもらって、最終的にはご自分でデザインした家具を手工具と木工機械も使いながら作ってもらえることを目指したいと思います。

私自身も独学の日曜大工からスタートして、木工教室で教えてもらったことがきっかけとなり、やがて職業訓練校に行き、ついには大型機械を備えた工房を開設したという経験を経てきましたので、木工をやってみたいという方の手助けが出来れば、たいへん嬉しいことです。

先日おわった匠の祭で配り始めようと、その直前に急きょ作ったパンフレットがこれです。

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匠の祭終了

匠の祭が終了して一週間、気合を入れて準備した後の脱力の日々が過ぎた。今回の会期4日間は、台風21号とぴったり重なってしまった。

 小雨のひととき

初日の金曜日は、まだ大した降りでもなく大勢の方が狭い山道を通ってやって来ていただいた。2日目は、だいぶ台風が接近してきて時に大降り状態。会場では飲食ブースが屋外のテント下で営業されているのでテントに雨水がたまり苦労されていた。夜は恒例の(初参加なのでおそらくなのですが)参加者交流会が開催され、テント下の炭火でプロの料理人によってイワナが焼き終えるのを合図に宴会開始となった。

主催者のご家族やボランティアの方達に準備いただいた豪華な料理とともにアルコール類が豪快に空いていく。私は、車で通っているのでノンアルコール・ビールを飲みながら、久しぶりに見る何人かの豪傑の(女性もふくめ!)一気飲みを唖然と見守るばかりであった。最後の一気飲みから一体何年経ただろう。周りは、木工ほか手づくり職人ばかりで話が弾む。

3日目、いよいよ台風は滋賀県に接近して強風と大降りのなか、それでも県内からあるいは石榑トンネルを通って三重県からも来ていただいた方も。大いに感謝である。

4日目となる日の未明、台風は滋賀に最接近し、朝には遠ざかったっていった。台風一過の青空を期待したが、どんよりとした曇り空である。当日朝のニュースで、名神高速も閉鎖、東海道線も不通のとのこと、不安に思いつつも最終日の会場へと車で向かった。やがて永源寺あたりで車のナビがとんでもない道を指し示すのであった。ナビ画面の前方地図を見てみると国道421号線に通行止め表示が出ていた。会場に電話をして聞いてみると、会場の少し先で土砂崩れになっているが会場までは通れる、とのこと。平素の何倍もの落ち葉や小枝で敷き詰められた山道を進んで何とか会場に到達したのであった。

 会場前の小川も増水

県内各地で台風被害もでた中、さすがに通行止め警告を押し切ってやって来る方はほぼいない(でも午後からやって来てくれる方も何組か、感謝である)。

ということでなかなかに貴重な経験をさせてもらった4日間でした。来年の再会を期して一本締めの後、神社前の石段で参加者の記念撮影をして引き上げたのでありました。悪天候の中、来てくださった皆様に再度感謝。

匠の祭

いよいよ今週の金曜日(10月20日)から奥永源寺での手作り展・匠の祭が始まります。ここを目指して作って来たものが出来つつあります。

今回の試みは、電子工作と木工の融合(?)への初チャレンジ。Arduinoと呼ばれる小さなマイコンボードが簡単なソフト開発で出来るという事を教えてもらい、モーターを動かしたり、文字を表示したり、距離や傾きを測ったりが簡単にできるという事で次々テストで試作。で融合第一弾が、LED表示器。

スマホやタブレットからの指示で(WiFiまたはBluetooth)で好きな文字や時刻や温湿度をドット・マトリックスのLED表示器に表示するというモノ。新幹線車内のニュース表示のように右から左に文字が流れます。しゃれたウォルナットなどの小箱に入れましたが、欲しい人、ひとりぐらいいないかなあ?

もちろんメインは家具・木工です。4本脚の栗のテーブル(売約済みなので展示見本)やブラックチェリーのサイドテーブルが新作、小物は定番のカッティングボード、ボールペンに加えて、木のバッタを。木のバッタは、最近注文をいただいたので久しぶりに作りました。子供がひもを引っ張って転がると同時に脚がバッタのように動くというもの。

 まだ未完成、今日完成できるか?

ということで、20日(金)から23日まで奥永源寺にて開催されます、ご来訪どうぞよろしくお願いします。詳細は、前回ブログに記載しています。

 

 

 

「匠の祭」@奥永源寺

毎年10月に東近江市は奥永源寺で「匠の祭」というてづくり作品の展示会がひらかれていて、木工だけでなく陶芸やガラス、革、ナイフ、能面など多種多様な手作り作品を見ることが出来ます。知り合いの木工家も何人か出品されていて、今回初めて参加させていただくことになりました。家具だけでなく木工小物もあわせて持って行こうと計画中。

奥永源寺への道は、永源寺ダムを過ぎて国道をはずれるとどんどん細くなって行き、そのうち対向車とすれ違うのもやっとになり、道を間違えたのではと不安を感じる頃に到着します。会場への地図は、パンフレットを見るよりこのリンク先(滋賀観光案内)を見る方が便利そうです。

食のブースも設置されています。お暇な方もそうでない方も是非覗きに来てください、きっとお気に入りの一品を見つけられますよ。永源寺の紅葉にはちょっと早いですね。

日時:平成29年10月20日(金)~10月23日(月)  10:00~16:00

会場:東近江市蛭谷町176   筒井神社周辺(木地師資料館前)

詳細は下記パンフレットをご覧ください。

(クリックすれば拡大)

栗のテーブル製作中

ようやく朝夕涼しくなり、木工機械に汗を垂らして錆を生むこともなくなって来た。しばらく前から栗のダイニングテーブルを製作中。天板は、おおむね完成。耳を残そうか、それとも直線に切ってしまおうか、悩んだ挙句に耳を残した。反り止めの板を天板下に取り付けるのだが、ビス止めにしようかなどと誘惑もあったが、ここは修練ということで吸い付き蟻桟にしてみた。

3/1000ほどの勾配の先細りのアリ溝とそこに挿し入れるアリ桟を加工するのが肝ではあるが。前回作った冶具類をそのまま使ったので、今回は思いのほかスムーズ。まずは、ルーターにアリビットを取り付けて冶具に沿わせて先細りになった溝掘り。

次は、桟に対して逆向けの溝つけ。これも冶具を使って溝と同じ割合でルーターテーブルで先細りに加工。

数回、天板に差し込んでみたうえで幅を微調整した後、最後は渾身の力で天板奥まで差し込めば、もう取り外し困難。

差し込んだ溝が片側だけ残っているので、ピッタリ塞ぐ板を加工して溝にフタをして、あとは天板と段差がないように鉋を掛ければOK。桟を差し込む前にやっておくべきだった桟の小口の斜め加工も後から手加工でやって(抜き取る手間よりこっちが楽)やっと出来上がり。

このテーブルは、四隅に脚を取り付けるのだが、今回初めて取り付け用の金具も調達済み。これからその金具を使っての加工が始まりである。因みに桟取り付け前に写したこれが脚と取り付け金具である。さあ、いつ出来上がるか。

こだわりの手作り家具工房