木工教室から(25年5月)

風薫る5月となりました。暖房も冷房も不要で工房の窓やドアを開け放って製作に没頭できる貴重かつ快適な季節の到来です。という訳で今年になってからGWまでの木工教室における皆さんの主な作品を紹介させて下さい。

1.実は、今年の2~3月に掛けて3名の方が他県への転勤、海外赴任、関東への引っ越しなどで教室を終えられました。その方達の最後の作品を最初にご紹介。

教室に6年近く通っていただいたMさんの素敵な花スタンド。これに花を一杯に盛ってプレゼントされるのだとか。さぞや喜ばれることでしょう。

その前にはロー・スツールも。この上に厚いマットを置いて腰かけられるそうです。引っ越された後も是非木工をお続けください。

数年の予定で海外赴任されるCさんの最終作は名刺ケース。赴任先で大活躍することでしょう。教室の4年間には、奥様の趣味の茶道用にといろいろな茶道具も数多く作られ、エンジニアらしい非常に正確で緻密な作りが印象深いです。

そして教室最若手のTDさんは、入会して僅か半年足らずで他県に転勤となりました。まだ課題作の製作中でしたがシナ材で小引出を最後の日に完成されました。ちょっと癖のある木目のところを敢えて正面に持って来るというセンスが光ります。A4用紙が余裕で入る引き出しは、新任地できっと役立つかと思います。

3人の方が卒業されたのですが、殆ど同時と言っていいぐらいに新たに3名が加入されました。どんどん女性比率が上がり、今は何と40%超となり過去最高を記録中です、はい。

2.オーディオファンのTYさんの半年超えの大作はスワンと名付けられたバックロードホーンスピーカー。上の小さな直方体に取り付けたスピーカーの背面からの音が白鳥の首部分を通って下のデカい直方体の中で5回ほど反射を繰り返して背後の穴から外に出てきます。

解説書籍と首っ引きで図面を解読しながら複雑な構造を4~5種類の板材を使って見事に組まれました。書籍の平面図・側面図では、複雑な構造が分かりにくいので教室の設計ソフトで本体下部を3D透視図面にしてみました。これをパソコン画面でグリグリ回すとようやく構造が分かります。

遂に完成し、作者持参の小型アンプを繋いでスピーカーからの音を初めて聴いて感動する教室メンバーです。

3.Kさんは、教室に持参する道具類がどんどん増えてきたので大きな道具箱を製作されました。厚いパイン材を使ったので道具を入れなくても充分重い、というのが最初の皆さんの感想でしたね。

4.木工女子YYさんの新大作は、浴室の扉上に設置されたタオル・キャビネット。ウォルナットの無垢材を使ったスライド扉が高級感を漂わせています。

キャビネットにタオルを上から積み重ねれば使用時にキャビネット底板に設けた穴からタオルを引っ張り出せます。並べ替えることなく洗濯順に取り出せるという素晴らしい案です。設置場所の壁と棚の間隔を正確に測り、ドンピシャで取り付けられました。天井と壁の接する角に設けられた廻り縁を切り落とすという想定外のちょっとした大工仕事が必要だったのは内緒です(笑)。

5.折り畳み脚の座卓とテーブルを作られたTMさん。パイン集成材を使い、スマートに脚が折りたためる金具を採用されています。テーブルは写真を撮り損ねました、すみません。

この作品の後には鉢植えを置く色々なデザイン・高さの鉢スタンドも作られました。そのうちの4つが同時に完成。

6.ご自宅のキッチンの扉全部を栗の扉に一新されたのはこちらも木工女子TRさん。色々なサイズの開き戸や引き出しの前板など全部で9枚もの扉をひとつひとつ時間を掛けて丁寧に製作されました。

不要になったピアノ椅子の脚だけを再利用して素敵な栗の丸テーブルも作られました。脚以外は全て旋盤で削り出されています。丸脚にアリ溝を掘って3本の脚を差し込んだシェーカー家具的なデザインです。

  天板下の構造

7.高級な幅広のタモ材を使って2連キャビネットを作られたTAさんの作品。板を買って鉋掛けをしてからしばらく別作品を手掛けられたので足掛け2年ほど掛かったかも知れません。いつも凝った装飾をされるのですが、今回は引き出し前板にウォルナットの十字模様が入っています。スライドレールを使用して大きな引き出しも軽く出し入れ出来ます。

8.このところ漆にはまっているTTさんの新作は可愛いサイズの小ダンス。各所に手の込んだ加工をされています。側板と天板・底板のつなぎは、細かな包みアリ組み継ぎ。本体は山桜、引き出しは桐、引き出し前板は個性的な木目の栃、取っ手は黒檀という組み合わせ。仕上げは塗り重ねた拭き漆という小さな大作です。

同時に最近連作されているのがシェーカー家具のキャンドルスタンドに触発された丸テーブル。旋盤で削り出した先細り丸棒にアリ溝を掘り込み3本の脚を差し込む難しい加工を見事に完遂。塗装と研磨を繰り返した光沢ある丸天板も輝いています。自前工房も持たれているので教室のない日も製作に励まれています。

9.以前ケヤキのウィンザーチェアをつくられた木工女子Kさん。その後も次々と作品を生み続けています。大作・小物を織り交ぜご紹介。まずは、知人の依頼で作られたナラ材の引き出し付きキャビネット。元のナラ材は長さ5m、厚さ6cm・幅80cmほどもあったという飛んでもない一枚板。これを切って刻んで2cm厚程度の板にするだけでも想像以上に手間暇がかかっています。

元は飾り衝立だったというやはり巨大な欅から作られた超個性的なパソコンデスク。今にも歩き出しそう(?)

ご自宅のログハウスの残り部材を活用したスツールも。ダイナミックです!

そして色々作られた小物類のごく一部。お香スタンド、額縁、コースター・・・留まるところなく生み続けられてます。

10.TNさんも次々と新作を作り続けています。製作前にしっかりとした完璧な図面を準備されるのは住宅設計士でもある彼女の得意技。教室メンバーの中で図面を設計ソフトで事前に用意されるのはおふたりのみ。小さなメモ用紙に手書きの完成イメージを書いてこられる方が多い中で稀有な存在です。最初は角脚の山桜スツール、凛としてカッコいいです。

ご実家にあったという杉板を使ったテーブルふたつ。旋盤に掛かる限界に近い長さの丸脚テーブルと角脚テーブル。対照的な表情です。杉は柔らかい板なので出来上がったテーブルは、やはり柔らかみがあって優しい手触りになります。

そしてどっしりした栗の丸脚スツールも。

11.同郷の元同級生Yさんは、超個性的な大型椅子の製作中。名前のイニシャルが側面に入ってます。まだ完成前の仮組状態ですが、完成までにはまだしばらく掛かりそうなので途中経過。 この椅子には台風で根元から倒れた自宅裏山の太いヒノキから自らのチェーンソーで切り出した材を使っています。彼なんぞ、図面は頭の中にあると豪語しつつ、直角に組む部分がゼロなので手鋸・手ノミ加工の連続でようやくここまで製作が進みました。唯一の顔出し写真、許せ!

以上、最新の教室作品でした。力作ばかりでしょ!

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