リビングテーブル完成

9月中旬から製作を開始していたリビングテーブルだが昨日ようやく完成して納品も終えることができた。製作期間およそ40日間、過去三本の指(ホントは二本だけど)に入る大作である。どこにも曲線・曲面のない直線・平面だけで構成したテーブルで、板の角の部分も一切円弧成分のない45度の平らな面取りをほんの少し(1mm程度)手鉋で施しただけである。これまで作った家具の中で一切R要素のない初のチャレンジでもある。

依頼者の希望で天板とロの字の脚も面を揃えた面一のデザインになったので、その思想を徹底してみた訳である。とはいえ完璧な面一構造は、わずか0.1mm程度のずれも照明の当たり具合や指の感触で目立ってしまうので、最低限の面取りを入れたうえで天板は脚から1mm程度張り出すようにした。

広いリビングルームのかつてピアノが置いてあったという壁面に向かって置かれたテーブルを幸いにもご夫婦そろって気に入っていただけた。リビングルームがグレードアップしたとの有り難い感想までもらい、恐縮しつつも作者としては大変嬉しいことであった。最高級のウォルナット材をふんだんに使い、時に痺れながらの(ミスの許されない天板最終カットやカンナ掛けに)経験は大変勉強になった。自動カンナの切れ味が落ちてきたため途中で機械の設定や刃物交換の試練も乗り越えての無事完成、達成感に浸っている今夜である。

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ちなみにここが引き出し(納品前)

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引出し製作

リビングテーブルの引き出しの箱部分が出来上がった。木工の修行中は(今も継続中だけど)手鋸とノミでホゾを刻んで作った時もあったが、アリ継ぎ(先が広がったホゾ)など手作業でやると精度よくやるにはべらぼうな時間が掛かり、複数の引き出しを作るには集中力が続かない。と言うわけで最近はもっぱらアメリカ製の道具を使っている。設定方法を思い出すのにマニュアルをしばらく読まないといけないのだが、一旦設定が終わると極めて短時間でアリ継が出来る(アラレ継とかもOK)。1インチピッチのほぞしか刻めないが(可変のもあるが手持ちのは固定)引き出しにはこれで何の問題もない。

この道具(治具ですね)は、写真のような分厚いアルミでできたテンプレートを加工する材の上に固定してルーターに定められたビットを取り付けて型に沿ってなぞればOK。ただ、ピッタリと合うほぞを切るのはそれなりの経験と使いこなしが必要(だと思う)。 ほぞ加工が終われば底板を入れる溝を掘り底板と共に箱を組み、手カンナでホゾの出っ張りを平らにすれば完成となる。何度も使っているのに、やり方が未だしっかり身に付いておらず、使いたびにマニュアルを読み直すところからスタートとなる。ひたすら修業を積まないと出来ないような精密な加工を道具の工夫であっさりと誰にでも出来るようにしてしまい、その道具を安い量産価格で広めてしまうという点にもアメリカ木工の凄さがあると思う。

Dovetail2

設定さえ済んでしまえば、こういう加工がたちまちのうちに完成。集塵機構のないルーターを使うので机の周りは木くずだらけ。

引き出し1

脚の組み立て接着も完了し、リビングテーブル完成まであと少しである。

リビングテーブル製作進行中

リビングテーブルの製作が進行中。注文していたテーブル天板に使うウォルナット厚板もシルバーウィーク明けに無事届いた。反りや曲がりも少なく節もない素晴らしい材で(値段も素晴らしいけど)、大きいのは44cmもの幅がある。そこから惜しげもなく白太部分(外周側の白っぽい部分)を切り落としてもう一枚の板と矧ぎ合わせて50cm幅×140cm長の天板を作るのである。ただ、2.5mほどの長さの板から1.4mの天板を切るのはなかなか勇気のいる作業ではある。万が一、測り間違えて短く切ってしまえば一巻の終わりだし、切断面に節や穴が出たらガックリ来ることになる。 板の右側から切り出すのと左側とどちらがいいかなどと板を何度もひっくり返しながら悩んでいるうちに時間が過ぎていく。

とは言いつつも製作は着実に進行し、脚材のほぞやほぞ穴加工も完了し、テーブル天板の矧ぎも本日完了した。 反りもなくパシッと平面が出ていてよしよし、である。天板を矧ぐ前にテーブル全体の仮組みをして万が一にも左右の脚間と天板の寸法に勘違いのないことも確認済みである。ということでいよいよ引き出し加工に入れそうである。

(角のみ盤の押さえ部とハンドルを外してほぞ穴加工中)

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(脚材加工終わり)

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(天板矧ぎ)

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(仮組み、矧ぐ前の天板を乗せた状態、引き出し板はクランプで仮止め中)

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自動かんな盤整備

昨年秋に購入以来、一度も整備することなく1年近く使ってきた自動かんな盤の調子が徐々に落ちてきた。包丁の刃先同様に刃の消耗が進み切れ味も悪くなって来た。鉋を掛けた後の木の表面が以前ほど美肌でなくなり、細い線状キズも残るようになった(単に線上に出っ張っているだけなので簡単に取れるのだが)。 不快なのは、極く薄くカンナ掛けした時に送り込みローラーの跡が筋状に残る点である。またカンナ掛け中の送材がもたついたりすることも増えて来た。

ただ、調整箇所があちこちあるため、一度手を付け始めたら何日も掛かりそうな予感がしてなかなか手を付ける決心がつかなかった。とはいえ、リビングテーブルのウォルナット材の最終寸法カンナ掛けを前に意を決して整備に手を付けた。機械整備については、訓練校の授業にもなかったので自力でやらねばならない。購入時に機械屋から簡単な整備方法の説明を受けたが、メモも記憶もすこぶる曖昧である。その後購入した木工機械の教科書に整備についてのしっかりした記載があるが、一般論で機種固有の整備ポイントなど当然ながら書かれていない。

実は、しばらく前にこの日に備えて手に入れておいた機械の取扱説明書が手元にある。この機械メーカーが随分前に消滅した際に業務を引き継いだ小さな会社が今も存在する。以前、その会社に電話をして取扱説明書の存在を確認したところコピーを有償で譲ってもらえるとわかり、購入したのである。 わずか20ページ足らずの薄い冊子だが、先の教科書(350ページほどある)の数倍の請求書が届き、内容も見ずにままよと振り込んだのである。何しろ昭和50年代の機械なのでその説明書も貴重品と考えた次第である。

ということでその冊子を熟読しつつ、あちこちのネジを締めたり緩めたりはずしたり油を差したり、悪戦苦闘して何とか整備を進めた。肝心の刃物も機械購入時に入手しておいた予備と交換である。長さ45cmもある触れなば切れん、と言わんばかりの恐ろし気な新品刃物4枚を取り出して、苦労しつつ交換を進めた。

で、結局3日も掛かってとうとう整備完了。材の送り込み具合はまだ満足が行かないが、あちら立てればこちら立たずのトレードオフの調整個所の最適解には至っていないが、整備前と比べれば大幅改善、一目瞭然ではある。まあ自己満足80点、といったところか。これにて木工再開である。

因みに交換した刃物、近所の機械屋で研磨してもらって次回交換に備えることになる。

FullSizeRender (6) この機械の整備開始

IMG_4766 (1) せっせと刃物交換中、何度もやり直し

IMG_4763 恐ろし気な刃物、上新品、下旧品

IMG_4769 自己満足の仕上がりじゃ