購入して20年近いという椅子の修理を2脚頼まれていたのだが、先日修理完了。 いわゆるウィンザー・チェア系統のもので飛騨高山の家具メーカー製のものだったが、Winds 太平というその会社は既に消滅したらしい。背板を支える座面からの丸棒が損傷していたり部分的に接着が外れたりしていて、カーブした背板がグラグラの状態ではあるが、脚は極めてしっかりした状態で下半身は全く問題ない。 叩いたり引っ張ったりといろいろ苦労して背中部分を分解し、損傷したパーツを同じナラの木を使って元の形に削り出した。両端の丸背棒が背板に突き刺さる部分の丸ほぞが、10ミリ足らずの径で強度不足だったのが、共通してこの部分が破損した原因と思われたので若干元より太いほぞに変更し、元のパーツが使える部分もほぞが甘くなっているので固まった時に収縮しないエポキシ接着剤をたっぷりつけて再接着した。自分で作る家具の塗装は基本オイル塗装をするのだが、今回は元のウレタン塗装に合わせて似た色のウレタンニスで仕上げた。色調はある程度選べるのだが、3度塗り重ねても元の色ほど濃く仕上がらなかった。 木材塗装は下地の木材色と基本(半)透明の塗装材の両方の相乗効果で色やツヤ・濃さに差が出て、特に修理などではまだまだ修行が必要である。 とはいえ、親の代に入手されたという思い出ある椅子が、また毎日の使用に耐える家具として蘇った。家具修理は、作った人の考えや工作法を見ることが出来てなかなか面白いものではある。
<分解した背中部分>
<旋盤で同じ形に削り出し>
<仮組み>
<塗装して2脚完成>