ボールペン量産中

前にも書いたボールペンの大量受注。毎月50本づつ分納させてもらっているのだが、11月分の納品を今週ようやく終え、梱包前に全部を並べて写真を撮ってみた。

乾燥した染井吉野の板を棒状の角材に加工した後、中心部にドリルで穴をあけて、7mm径の真鍮チューブをその穴に通して接着し、両端面を直角にトリミングしてようやく旋盤に掛けることが出来るのである。

木工で全く同じものをこのように継続してたくさん作るのは、初経験である。繰り返して作っているので目を閉じてでも作れるようになるだろうと以前書いたので試しにやってみたが、粗削りはともかく、当然ながら仕上げられるわけはなかった。

ようやく今月で半分以上の納品を終えたことになる。来春、桜の季節に落成記念の式典でこのペンもお披露目と聞いている。一気に当工房の木製品ユーザーが300人以上増えるのかと思うと気も引き締まる、というものである。

 

Winds 太平・椅子修理

はたまた、飛騨高山の今はなきWinds 太平製の椅子修理を依頼された。今回は、兵庫県の方がネット検索で工房のホームページを見つけられたようで、そこからのスタートである。初めてこの会社の椅子修理をしたのは、工房近くの知人に依頼された時なのだが、その際の修理顛末をネットに書いたので、それ以来この会社の椅子修理が何件か続いている。ネット時代なればこその出来事ではある。

家財宅急便で到着した椅子の破損状況。2脚依頼されたのだが、ひどい方は、このように座板が割れ(接着箇所のはがれ)、背中の丸棒が一ヶ所折れてしまい、接着箇所のあちこちで接着が外れてしまっている。全ての接着がダメになっているわけではなく、半分ほどは、しっかりしているので当時の接着の徹底方法に課題があったに違いない。

という事で、まずは椅子を分解する。ゴムハンマーで叩くと接着が切れているところは容易にバラバラになる。驚かされたのは、下の写真のように左右両端の丸棒が背板とつながった部分とその下でふたつの部材を木ねじで繋いだ構造だったこと。製造上は、作業効率がいいかも知れないけど強度的にこんな設計はイカンでしょ、と言いたい。

折れた背中の丸棒をいつものように旋盤で同じ形に削り出し、座板は切断面に鉋を掛けた後ビスケットを入れて再接着する。

後は、元の塗装に近い塗装になるようにウレタンニスを何度も重ね塗りをすれば、またこれから長く使える状態に戻る訳である。

で、これが修理完了時の姿。右側の椅子の上に立てているのは恒例となりつつある(僅か2回目に過ぎないが)折れた部材を使った孫の手である。ご両親が入手されたという思い入れのある家具なので、不要となった材も捨てずに生まれ変わってもらうわけである。

完成後、依頼主が芦屋から車で近江八幡まで引き取りに来ていただいたのでそのご夫妻にお会いでき直接話す機会が持てたのも大変に嬉しい事であった。ご夫妻には近江八幡の観光ポイントを幾つか事前に伝えておいたので、帰途、立ち寄って帰られたのでありました。

実は、引き取りの際に大きな丸座卓を入れ替えで預かった。脚を支える部材が破損して使えなくなっているのだが、製造メーカーから修理を断られたとのこと。そう言われたら断る訳にはいかない。と、勢いで引き受けてしまった。はてさてどうなるか?