木工教室から(2021年2月)

前回報告から4カ月ほど経ったので、その間にも続々と新作が出来上がっています。

この数カ月小物づくりに集中されてきたTさん。近江八幡の里山の半生だったリョウブで手彫りスプーン(大人用x2、子供用x2)、カエデの湯飲みを3個、それにシュリ桜のサラダボールを3個。カエデもシュリ桜もとても硬い乾燥木で旋盤加工は随分苦労されましたが、すっかり腕を上げられました。ガラス塗料で仕上げです。次回作の曲木加工の作品も近日完成予定。

精力的にプレゼント用のおもちゃに取り組んでいるHさん。動画は大きくてアップできなかったのですが、ゴムひもを支柱に巻き付けてから手を離すと長い間左右にクルクルと回り続けます。

最新作のガラガラは、左右に振るといい音がします。

合間には、傘立てとコースターも。置き場所が限られてきた、とかで最近はやや小物寄りです。

Kさんは、お洒落なテーブルを。今、このテーブルに合わせてケヤキのスツールを製作中です。

そしてご自宅用とお友達のクリーナースタンドも。

まだ教室スタートから1年も経たない女性のTさんですが、どんどん上達されてます。この小箱、見本はあったのですが、すぐれたデザインで蝶番を使わずにスマートにふたの開け閉めが出来ます。別の木工品に使われていた飾り板をふたに取り付けて一段とオシャレになりました。

  

そしてキャスター付きワゴン台、上の小箱と同じ山桜の板で作られています。初めてほぞ組を使った作品で、角のみ盤にも挑戦してもらい、とても頑丈に出来てます。

 端材でタブレット台

飛騨のからくり格子細工を取り入れた鍋敷き。上から見ても裏返しても木を編んだように見えます。コンマ数ミリの精度で加工しないと組めません。接着剤は使ってないけどもう分解できません。

Yさんは、最初の教室課題作を終了してステップアップ中。栗の小引出しもきれいに仕上がりました。

 

当初、書類箱としてスタートしましたが、最終的には鏡台に変身して奥様へのプレゼントとなりました。ふたのパネル部分は鏡板と言って4辺を斜めにカットしてロの字の部材の隙間にピッタリと納まってます。

 

 

お寺の傘立て製作

12月に郵便ポストを納めたお寺さんに今月は傘立てを無事納品完了。お寺の行事で来客が多い際にも対応できるやや大ぶりの傘立てである。設置場所が玄関先の収納棚の隣の50cmほどの空きスペースにピッタリ収まるサイズで収納棚のナラの木目とも合わせるために同じナラ材を使った。

最初は、こんなデザインを書いてみたのだが、さしたる特徴もなく今ひとつ。複数の傘を立てると向きも乱雑になりリフォームされたばかりの新しい玄関がごたごたしそう。

 

で、書き直したのが、これ。傘を吊り下げられるようにしたので傘の向きが揃ってスッキリするはず。ご住職が袈裟を着て雨天にお使いの際の傘サイズは、通常の物よりひとまわり大きそうなので予めサイズを聞いたうえで十分に収まる高さにしてある。

ついでに玄関先に設置したイメージ図も作って見てもらい、これに決定。デザインツールに付属のペイント用の素材がイマイチなので木やタイルの質感はいまいちだけど、まあイメージなので。

いよいよ、ナラ材を使って製作開始。格子のあるデザインなので部品数やほぞ・ほぞ穴が沢山必要でそれなりに加工は手間取ったものの何とか準備完了。

接着手順を間違えないように順番に組み立てていく。

というような段階を経て無事完成しました。

細かい配慮も幾つか。。。折りたたみ傘を吊り下げるつまみも4個ほど取り付けてみた。

濡れた傘を入れると雨水が垂れるのでそれを受ける角皿を底部分に引き出しのように差し込めるようにした。これは、傘立てが完成してから底部の寸法を控えホームセンターを探し回って見つけたピッタリサイズのアルミ製。

塗装を終えて無事に玄関に収まりました。隙間スペースに設置する最初の瞬間はちょっとばかり緊張が走りましたが、無事最初の図面通りに置けて一安心。玄関キャビネットと色・質感も揃い、寸法もドンピシャ。

すっかり気に入っていただき、頼んでよかったとのありがたいお言葉を頂戴いたしました。こちらこそ有難うございました。

因みにこれが新しい作業台での最初の木工となった訳ですが、いやあ新しい万力ふたつ大活躍してくれました。そちらも満足満足!!

新しい作業台デビュー

工房に新しい作業台がデビュー。木工教室や注文製作の間隙を縫って、完成までに随分時間がが掛かってしまったが、1月に完成したばかりである。

巨大な万力をふたつ取り付けた。フロントバイスと呼ばれる左側の巨大な万力は、最大で30cm近く開くので大きな木工品もガッチリと固定できる。クイックリリース機構が付いているのでハンドルを左に一回転すると引き出しのように前後にずらして動かすことが出来る。

もう一つの万力は、エンドバイスと呼ばれるもの。実は6年も前にアメリカの木工ショップから通販で買って、いつか作ろうと思いつつこれまで果たせずにいた。日本の木の中では相当に硬い部類に属するナラの厚材を根性で(?)鋸とノミで刻んでアリ継ぎという丈夫な組み方でL字を作り、中に金属製の万力金具を組み込むというなかなか面倒な構造をとる必要があった。

この巨大なL字型の木の塊の中に極太の万力用ボルトが潜んでいてハンドル操作で前後に動くのだがフロントバイスと違ってこのバイスで直接対象物を挟み込むという使い方はしない。エンドバイスの側面に沿って穴がいくつか空いていて角棒が差し込んであるのが分かると思うが、この角棒に意味がある。

作業台の天板前面に貼り合わせたナラ材にも同様の角穴を設け、これらの穴にジャストサイズの角棒が差し込める。この穴を十数個、等間隔に並べ適当な穴に角棒を差し込み、その角棒間に工作物を挟んでエンドバイスで締め付けることで作業台に固定できる訳である。こんな感じ。

2m近い長さの木材も簡単に固定できるので両手を使って切ったり掘ったりの作業が極めて容易になる。完成してまだ10日程度しか使っていないのだが、この仕組みを使うと仮組したほぞを分解するのにも便利に使えることを今日発見した。圧縮はクランプなどで簡単にできるのだが、引っ張るのは意外に大変なのでこれは嬉しい発見。

この作業台を作るのに大いに参考にしたのが、この雑誌。記事に出てくる見本はアリ継ぎをそこいらじゅうに使ったものだが、そこまでの根性なく多少手抜きの組み方をした(天板と周囲の板間はビスケットで接着)。 エンドバイスはこの雑誌がなければ、まだ眠っていたかも。何しろ謎解きのような構造なのである。

因みに一番古い下の作業台は、作ってからかれこれ10年ほどになろうか、大きな万力を備えて今でも現役である。ツーバイフォー材(2x4)の3倍ほどの幅がある2x12の板を並べた天板は、すっかり貫録を増している。

工房で木工教室を始めるようになって作業台を3台に増やしたのだが、安直な2x4の作業馬の上にベニヤの厚板を乗せただけのもので通常の作業に大きな不便はないものの簡易万力を取り付けて使うのでしっかり材木を固定したりすることが出来ず、必要な時には上の作業台の万力を使ってもらっていた。この手のがふたつあるのだが、こちらは選手交代で引退してもらった。

ということで、木工作業効率大幅アップなるかな?