- ウォルナット座卓
小さめの座卓というリクエストで作らせてもらったウォルナットの座卓。通常は、何枚かの板を貼り合わせて天板を作ることが多いが、今回は手元の幅広の一枚板を使う事にした。元の板は、こんなぱっと見、冴えなく見える板なのだが。。。
耳の部分を切り落とし、中央部に虫食いがあったのでそこを切り落として左右2枚の板に切り分けることにした。左右2枚に切ってしまえば鉋盤に通せる幅になり、経年のシミも汚れも綺麗に落ちます。水で濡らすと塗装した時のイメージが浮かびます。いい感じ。
脚を4本同じ木から切り出せば材料の勢揃い、この後先端を旋盤で丸ホゾ加工します。
脚先は、少し細くカットして天板に少し斜めに掘った丸穴に脚を差し込んで接着、塗装して完成です。元板の野性味から見違えるように上品な姿になったのでした。
直後に同じくウォルナットで作った額も納めたのですが、これらがご自宅に収まった写真を頂戴しました「すっかり我が家に馴染んでいます」との添え書き。奥にある小さなサイドテーブルも実は数年前に作らせていただいたものなのです。有難うございました。
- 沖縄古武道の武具
以前ご依頼を受けて作らせてもらったエークと呼ばれる舟の櫂。これまで朴の木、山桜で5本ほど作ったのだが、今回は日本の木で最も堅いと言われる樫をご希望された。何軒もの材木屋さんに問い合わせたものの2mほどの長尺厚板で割れのないものが結局手に入らず、タモで了承してもらいました。
同時に注文いただいたのは、このエークと同じく沖縄古武道で使われる平棒と呼ばれる楕円断面の2m近い棒。やはり長尺の樫板が手に入らず、こちらはメープル材(カエデですね)に決定しました。良質の輸入材なので真っすぐな木目で樫の代わりになる堅さも備えているようです。
上のエークの柄も実は同じく楕円。エークは演武で使われるのみで実際にエーク同士で打ち合うことはないらしいのですが、この平棒は実際に打ち合う事もあるとのこと。1.9mほどの長さがあるので通常の木刀などよりはるかに長いのです。
楕円棒を作るには、長方形の棒に加工して後、大きな面取りを機械で行った後ひたすら手鉋を掛け続けて楕円に近づけていきます。エークのブレード部分の片面は凹面になっていて(もう片面は凸面)丸鉋で仕上げるのですが、平鉋で凸面に削る方が幾分楽と言えば言えなくもないのですが。削りくずが、こんな感じ。昔、木毛(もくめん)というこんな削りくずで梱包の詰め物がありましたね。捨てるには惜しいけど捨てた(笑)
私も学生時代に合気道をやっていて似たような棒(杖と呼ばれるそちらは丸棒でしたが)を使った経験があるので武道談義も少しばかりさせていただいたりもしました。
沖縄にお届けした後ご連絡を頂きました。「楕円の形が絶妙です。以前使っ
- 子供用食卓椅子
兵庫の実家のすぐ近所に住んでいた幼稚園から小中高までずっと同じだった幼馴染の女性から半世紀ぶりの突然のメールをもらいました。私が工房で家具を作っていることを友達から聞いて、ネットで検索して連絡をくれたのです。LINEを通じていろいろと昔話から近況まで報告し合った後に4人目のお孫さん用に食卓椅子の依頼をもらったのでした。私自身の孫達や別の方からの依頼で作った事のあるデザインですが、事前に食卓椅子の高さを聞いて、肘掛けがその食卓下に収まるように高さを数cm変更しました。今回の椅子は初めての山桜に決まり、製作に時間が掛かってしまいましたが、無事納品出来ました。
完成して塗装した後の写真を撮り忘れてる! という訳で塗装前です。今回の改良で足置き板を3段階の高さに取り付け可能にしてみました。
彼女の息子さんの家に直送したのですが、直後に丁寧な礼状を頂戴しました「素敵な椅子を作成頂きありがとうございます。さっそく娘は気に入って使わせて頂いております」。製作者にとって一番嬉しい瞬間ですね。