木工教室から(24年8月)

昨年末にご報告してから早くも8カ月を経過してしまいました。この間も木工教室の皆さんの作品がどんどん増え続けています。長い方は、教室に来られるようになり既に7年目に入っていますので大作・力作・意欲作が増え続けています。ここに紹介させて下さい。

製作者ごとに紹介しようか、それとも家具のジャンル別に並べようかといつも悩むのですが、今回は前者のやり方でご紹介。

  • Cさん

最近は、奥様のリクエストで茶道用の道具を次々と作られています。根っからのエンジニアらしくものすごく精緻な工作を追及されています。

お湯を沸かす電気コンロを隠して華麗なる茶道具に変身。

茶菓子用の角皿4セット。一見シンプルに見えますが側面が大きく傾斜しているので切断も接着もそして糸鋸カットも ものすごく大変でした。繊細な糸鋸のカット模様は上のコンロ・カバーと同じです。コンロ・カバーもこの角皿も山桜製。

 和菓子が乗った写真

そしてやはりお茶をたてるときの水指などを置く棚も。見本を参考にして特徴あるケヤキの杢板を使って完璧に出来ました。ひょうたん型なのでひさご棚と呼ばれるそうです。これは塗装前の写真ですが、塗装後はぐっと艶やかに。

使わない時は、このように組んで平らに折りたためます。

家具作りの合間には鉋を納める道具箱も完成。

  • K1さん

ベテラン木工女子のKさんは、この半年ほど掛けてウィンザーチェアに挑戦され続けていたのですが、今月遂に完成!!  脚や背中部分の丸棒は全部で15本もあるのを全て旋盤の削り出しで辛抱強く作られました。これらの丸棒はどれひとつとして座板に直角には差し込まれていないので全部工夫を重ねて電動ドライバーを傾けての穴あけが必要です。また背中上部の笠板はアイロン曲木に挑戦してもらいました。

曲げ終えた後、曲がりが戻らないようクランプした状態で1週間ほど置きました。

お友達から頼まれた可愛い小皿類・コースターも

  • K2さん

栗の丸椅子です。座板も脚も貫も全部旋盤加工で削り出しです。T字型に組んだ貫もうまく完成。

ご自宅でも木工が出来るようにとトリマーテーブルも作られました。

  • Mさん

おもにご家族からの依頼を受けて次々作られています。パンケースに鉢スタンド・額・キーボードテーブルと多彩な手づくり家具を楽しまれています。ケヤキを使われることが多いですね。

 

 扉を開けた時

 

   

  • T1さん

名字のイニシャルがTの方がなぜか7人もおられて書き足す数字も沢山必要です。

色々な家具をひと通り作り終えた感もあってか、T1さんは最近は八ヶ岳あたりで手に入れた生の(乾燥前の)樫の木を使って色々な手道具を自作したり、やはり山桜の丸太をクサビで割って斧で丸棒を削り出す生木木工(グリーンウッドワーキング)でスツールを半年近く掛けてコツコツ作られました。最近は早く多く作るというより作るプロセスを楽しまれています。

旋盤で削り出せば完全な丸棒を早く削り出すことも出来るのですが、グリーンウッドワーキングで敢えて斧や鉋類だけを使って丸太の山桜から手作り感あふれる素敵なスツールの完成です。ペーパーコードの編み込みも手間を掛けてされました。因みにスツール前に置かれている木槌も丸太の白樫から削り出してお作りになってます(柄も頭部分も)。

  • T2さん

奥様の依頼で作られたスライド蓋の道具箱。

最新作は、ご自宅用座椅子。超珍しい、メタセコイアの板材を入手して使われました。針葉樹なので杉と似た雰囲気もあり、木肌も柔らかく肌に優しい印象です。背中部分に少しひび割れがあったので強度補強と意匠を兼ねて黒檀のチキリが入っています。ウレタン系の塗装は匂いが強いので屋外で塗装してもらいました。防毒マスクが写ってますね。

  • T3さん

ふたりのお孫さん用にお作りになった幼児椅子2脚。違ったテーストのデザインで連続して出来上がりました。丸脚の方は旋盤での削り出しです。

  • T4さん

プロの現役住宅設計士でもあるT4さん、設計はお手のもの、次々とオリジナル家具が生まれています。

ローテーブルとしてでもスツールにも。立てて置けば高さのあるテーブルにも変身します。角部分は留(45度カット)接合し、アクセントと補強を兼ねたウォルナットのカンザシを治具まで作って苦労して組み込まれました。材は厚さのある栗板です。とても味のある板が家具に生まれ変わりました。

 ウォルナットでアクセント

こちらは山桜製のベンチ。座板に斜めに角脚を差し込むのを角ホゾ構造にされたので全て手加工のホゾ加工になり、丸ほぞと比べて5倍ぐらい大変になりました。

お洒落な栗の丸テーブルや やはり栗のキャスター付き移動棚も難なく完成。

  • T5さん

このTさんも力作が続々。まずは、飾り模様の板を無数に貼り合わせて超絶手間を掛けた末に完成された宅配ボックスから。ボックスの2面はケヤキの薄板をひし形に切り抜き木目や色合いを見ながらタイルのように敷き詰めています。もう1面はヒノキの板を別の模様に敷き詰めています。完成が近づくにつれ、宅配の荷物よりこのボックス自体の方がずっと値打ちがあるから持って行かれないようにしなくちゃ、とまわりから冗談が出る出来栄えでした。

自然の断面板を天板に用いた小テーブル。斜め脚が個性的です。

最新作は、ケヤキの天板・ヒノキの脚製のサイドテーブル。脚に大きな節穴があったのですが、かわいいワンちゃんの住み家になりました。蛍光塗料入りのレジンで埋めて夜間は光るそうです。

 小さな番犬が見張ってます

  • T6さん

本格的な木工家を目指して多くの作品に取り組む中で様々な技術に果敢に挑戦されます。

分厚いケヤキ板2枚を使ったオリジナル設計の椅子。もの凄い存在感です。教室で木皿に簡単な漆塗りを初体験されてから自宅で繰り返し練習して、何とこの椅子にも拭き漆を10回近く塗り重ねられて既に完成しています。秋の展覧会に出品される予定なので紹介は展覧会後にしたいと思います。この写真では分りにくいのですがお尻を受ける座面には中央部で深さ3cmほどの掘り込みもされています。大作です。

こちらはカバ材を使ったテレビボード、存在感たっぷりの自然板の特徴を生かされてます。

そして今年は手づくり市にも初出展。色々な木材を使った色々な小箱も作られました。そのうちの数点をご紹介。

 

 

手づくり市で必要な陳列台も瘤付き樺板で製作されました。

今は更なる上級編というべき3次元曲木にも挑戦中。完成後にそのウィンザーチェアの姿を紹介させて下さい。

  • T7さん

最後のT7さんの作品は、洗面台横に置かれる背の高い隙間家具。槙材の厚板をバンドソーで2枚の薄板に切り分けた板を使って深い引き出し3段、開き戸ひとつ、アクセスしやすいように上段は壁2面のみで構成されたお洒落な家具です。女性らしい気配りされた使いやすい家具になっています。重ねて設置されるので高さ1.8m近くもあります。

  引出し・扉をあけた時

 

  • Hさん

ご自宅用の家具類が増え続け、最近は職場で使う家具や小物作り用の治具なども作られてます。こちらは欅のスツールと杉板の棚。

  • Y1さん

まずは小物から。ご家族にプレゼントされたキーホルダースタンド。ご自宅裏山で拾って来た自然木を使われてます。

同様に裏山に生えていたヒノキが台風で倒れた時に所有者と共にチェーンソーで切り出した材を使ったスツール。このヒノキは、次々と家具に生まれ変わりつつあります。

こちらは、自宅出窓にぴったり収まるように設計された飾り棚。出窓のガラス側に向けて窓枠が傾斜しているのでそこに合わせるため側板も途中で折れ曲がっているので工作は大変でした。完成してご満悦の表情です。完成して持ち帰ろうとしたら車に乗らないという計算違いも(一目瞭然なのですが(笑))。顔出しは本人了解済みです。

工房の軽バンに積んでご自宅に運び、窓枠に設置した際に一発でピッタリ納まったのかそれとも少し鉋を掛ける必要があったのかそれは二人だけの秘密です(笑)。カッコいいでしょ!

  • Y2さん

木工教室でもっとも過激な節・板割れ大好き女子のY2さんの作品には常に最も目立つ場所に過激な節を持つ板材が選ばれるのです。自分で板材を調達する方には乾燥済み板材を扱う材木屋さんを紹介するのですが、その時も「出来るだけ目立つ場所に節のある板を選んで送ってください」と注文するほど。その影響力で最近は節を避ける人が減って来た気がします。

こちらは山桜の2段式巨大キャビネット、同サイズのもう1段の棚の上に乗せられ3段式のキャビネットが完成形です(写真なし)。上の段も当初は引き出しになる予定でしたが、背が高過ぎて取り出すのが難しいことに(幸いにも)直前に気付かれたので開閉扉に変更され事なきを得ました(笑)。塗装前の写真です、すみません。

 巨大なのでスライドレール必須

こちらはブビンガ板のソファー肘掛け部に乗せて使う小テーブル。その上に乗っている四角い切込みの有る板はさて何でしょう? 実は、スマホやタブレット端末のスタンドなのでした。シンプルにして痛快なデザインです。節のない板だったので仕方なく節無しです。

こちらは自宅の棚に後付けで取り付けたスライド扉。ウォルナット材で上下の溝板を作り、棚に取り付けた上で取っ手を張り付けたアクリル板を入れて完成。扉付のキャビネットに進化しました。ご自宅住環境が続々と快適になって行きます。

 

木工教室ではこのように大作・意欲作・チャレンジ作が続々と生まれています。前回から時間を空け過ぎたので作品数が半端ないですね。まだ写真の撮り忘れがあるかも知れないのですがご容赦ください。

なお、現時点で木工教室に若干名の空きがありますので木工やって見たい方おられましたら教室の見学も歓迎です。経験・道具一切不要です。木工への好奇心なり関心があればそれで結構ですよ。

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