最近の製作から(25年12月)

昨夜何とか木工教室の作品掲載を終える事が出来たので大晦日の今日は自分が作ったものをまとめてみたい。

1.漆塗りの器いろいろ

ここしばらく木工教室の時間に旋盤で数多くの器を作る方が登場。見ているうちにこちらも影響を受けていろいろな器を自宅用に作ったのでした。知人の漆工芸家の藤井さんの作品を頻繁に見せてもらう機会も数多くあり(国展、県展、個展、それにご自宅や私の工房でも)、見よう見まねで根来塗りもどきにも挑戦(笑)。でも、殆どは深い技術の不要な拭き漆。ひたすら何回も塗り重ねて行くと徐々に光沢・深みが出て木目が際立ってきます。数年前に購入し、繰り返し読み続けている「漆塗りの技法書」を参考に地埋め(木の道管を漆で練った砥の粉で埋める技)も施します。気が付いたら平皿、小皿、サラダボール、お椀、飯椀、ぐい吞み、そばチョコ、おちょこと次々と増えました。

根来塗りもどきも少し。蓋つき器は琵琶湖のうろり(ゴリ)佃煮専用。左のふたつはそばちょこ(のつもり)。

2.ショールーム用引き出しキャビネット

隣町の土鍋屋さんのショールーム用に収納と陳列棚を兼ねたキャビネットの依頼を受けました。現場の採寸に行き、約4.5mもの幅があるので引き出しを6台か8台並べるぐらいが適当かということになり、最終的に大ぶりな6台の引出が並ぶようにしました。吊り引き出しだと重さのある土鍋を入れた時には、引き出す際に全体が傾く可能性があるので底に低床キャスターを付ける構造で提案しました。これだと引き出し全体を大きく引き出すのも戻す場所を変えるのも自由自在です。壁面にピッタリ3セット分、引き出し6台が収まりほっと安堵したのは秘密です(笑)。棚と同じく、パイン集成材使用。

畳1畳サイズの集成材の板を全部で7枚も使いました。量も多く、サイズもあるのでクランプするのも大変でした。

こちらの土鍋屋さんにはお釜の台とか土鍋の敷板(陶器の板が収まる木の皿)なども定期的に作らせてもらっています。最近のはこんな感じ。

3.沖縄古武道のエーク

もう5年近く前になりますが、初めて沖縄の方からの注文でサバニと呼ばれる舟の櫂を作ったのですが、あとになって沖縄古武道の武具だと知らされました。その後、樹種やサイズが変遷しながら今回初めてハード・メープル材のエークを6つ目のエークとして製作しました。水を掻くブレード部が片面は丸い凸面、反対側は写真のように中央部に稜線を持った丸い凹が左右に並ぶといういささか面倒とも言える形状です。平らな面のように機械で仕上げる事が出来ないので手カンナでコツコツと最終形状に仕上げます。おまけに柄は丸棒ではなく楕円棒にというリクエストで、丸鉋や平鉋を多用します。

樫材を使ったエークも希望されているのですが残念ながら今のところ2m程度の長さがあり虫穴などの欠点がない樫板が全く見つかりません。どなたか取り扱い業者をご存じの方がおられましたら是非ご一報下さいませ m(_ _)m

  外丸鉋が鉋が大活躍

4.学童保育で木の箱作り

親しい知人が夏休み期間中の学童保育に関わっておられ3時間程度で子供たちに箱作りの指導をしてほしいと依頼がありました。保育スタッフ分も入れると20人以上になるので同時に進める教室として過去最多です。ベニヤ板で箱作りをしてもらうことになり、できる限り無駄のない寸法を計算して材料カット。一人分5枚ごとにセットして会場となった隣町の小学校に台車で運び入れました。簡単な説明を行ったのちチーム単位で製作スタートです。

5枚の板を接着するか金具を使うか少し悩みましたが、接着するのは少しハードルが高いので釘打ちで組んでもらうことにしました。工房の金槌だけでは足りないのでスタッフの方にも持ち寄ってもらいました。チームごとにお互い手伝いながらガムテープで仮固定してから釘を打ってもらいます。さっさと器用に進めるチームやゆっくり丁寧にやるチームとそれぞれ。

女の子たちチームでは先に組み上げて、ペンや好きな絵を側面に描く余裕まで。という訳で予定時間で全員箱を完成させる事が出来ました、よかったよかった!慌ただしくも楽しい経験をさせてもらいました。

本年もいろいろなご依頼や週2度の木工教室などであっという間に2025年が暮れようとしています。お世話になった皆様、ここを見て頂いている皆様、どうも有難うございました。どうぞ良い年をお迎えください。

木工教室から(25年12月)

今年も残すところあと二日となりました。いつも年末ぎりぎりになってしまいますが、この半年間の木工教室の皆さんの作品紹介をさせてください。

例によって順不同ですが。。。

1.木製品関連の仕事をされているTYさん。いろいろな種類の木材をいろいろなところで入手しそれらの素材を見て何を作るかを考えられます。最近は黒竹を用いた作品にも挑戦中。

最初は手ごろな大きさの岡持ちと呼ばれる持ち運び用の容器。取っ手が渋い黒竹です。

同じく黒竹の支柱を備えた和風の棚。薄い吊り引き出しがふたつあり、その取っ手も細い黒竹というこだわりの作品です。

家具ではやや珍しい朴の木を用いたキャビネットも作られました。

2.毎週、京都から途中越えで琵琶湖大橋を渡って通われているKTさんの作業台。ツーバイフォー材を用いて組み立て式になっています。同じ構造の脚部材と天板支持材を使って3個で組むと小さめの作業台、天板ふたつを接合すると倍サイズの巨大作業台にも変身。年明けにもしかしたら万力が取り付けられるかもしれません。

   分解時

彼は3Dプリンターも操れるITエンジニアでもあり、自作プログラムが走る小型CPUと3Dプリンターで作ったギアや針を組み合わせて電子仕掛けの鳩時計も製作中。次回に公開できるはず!?

3.同じく作業台を作られたTMさん。この作業台には自作の万力も取り付けてられてます。長いボルトを切り、別の板付きナットと組み合わせてゼロから万力も作られました。更に驚くのは収納時に場所を取らぬよう脚を全部外して天板下に収納し作業台の棚板で蓋をしたうえ、移動用のキャスターも備えたカラクリ作業台であること。作業台の上には木槌、マレット(西洋式木槌)、南京鉋、小型平鉋などが並んでいますが、すべて自作の工具です。鉋の小さな刃は、大きな鉋の刃を金鋸で切りやすりを掛けて薄く改造した刃が使われてます。大変な労作です。作業台に材を固定する逆L字型の道具(Holdfast)も自作! 板を挟んで丸軸部を天板の穴に差し込んで木槌で叩くだけでがっちりと天板に固定できるのです。

下は、これらの自作工具も活用して作られたイタヤカエデの棚。ご自宅の食卓下に収まる寸法になってます。棚板は接着剤を使わず通しほぞで側板に差し込み、くさびを叩き込んで固定するというふた手間かけた力作です。更に側板には楓の葉の形の象嵌が。これを埋め込むだけでも大変な手間が掛かっています。

4.ご自宅のいろいろな場所を自作のオリジナル木工品で次々置き換えつつあるYYさん。お自宅の表札をおしゃれなものにされました。ウォルナットとサペリ(多分)の木を使い色ガラスが背景に入っています。気分で付け替えるのだとか。文字部分は磁石で付け替えられます。

年末には、クリスマスツリーを作りたいとの事でしたが時間が足りず、旋盤を駆使した鏡餅になりました。上に乗せるだいだい(みかん?)は木製じゃなくて多分本物になるかと思います(笑)

5.次々とスピーディーに作品を生み出すTNさん。仕事で住宅設計ソフトを使われているので事前に作品の完璧な図面をパソコンで用意されるお一人です(教室で2名だけ)。

大き目のゆったりとしたサイズの椅子はブナ材を使った端正な作品。ペーパーコードを使って座面を編まれました。ペーパーコードが少し余ったこともありこの椅子に合わせて足置き(オットマン)も作られました。

杉材を用いた大き目の棚、杉は針葉樹で柔らかい木なので見た目も優しい印象になります。

こちらも杉材を使ったシューズラック、おしゃれです。

家具で使った残り板を有効活用した各種カッティングボード。沢山出来たのでプレゼント用かな?

6.こちらも優しい表情の家具を次々お作りのTRさん。クリスマスの半年ほど前に余裕をもって完成したツリーです・高さ15cmほどのかわいいサイズを旋盤で作られました。

え~っと、テレビ台だったかな? 箱部分はあられ組、脚は割り楔を入れた丸ほぞでがっちり旋盤削り出しの丸脚を固定されてます。

そして大作の栗のコタツです。以前使われていたコタツから外したヒーターを取り付け、天板も厚くてがっしりとしています。夏場はコタツ布団を外すのでダボを差し込んで天板がずれない工夫もされてます。

大作の合間には小さなコロコロ(粘着テープでごみを取るローラー、正式名称知りません)用のスタンドも。

7.この半年ほど旋盤での器作りに専心されていたTAさん。器だけでなく漆塗りにも邁進中! 並べてみてご本人もびっくりのすごい数の器が出来上がりました。お皿にお椀、湯呑にぐい飲み、小物入れ。手前の色が濃いものは拭き漆を重ねて美しくも丈夫な器。木の色のものはオイル塗装やガラス塗料も試されてます。材もケヤキにタモ、栃にカヤと多岐にわたります。商売できそう!

8.木工歴も長いセミプロレベルのKHさん。だいぶ前に入手したという今では入手困難なチーク材をふんだんに使っています。かまち構造で引き戸式の扉や目立たない引手を付けた引き出しも備えた堂々たる高級家具です。実は、この下にもほぼ同サイズの下段もあり2段に積まれるのですが、写真を撮り忘れました。

  扉・引き出しをあけた時

同じチーク材を使った棚。2方向から出し入れ可能な設計です。

最新作は、ケヤキ製のコンパクトなお仏壇。下の引き棚は出し入れが自在です。ご自宅のレーザー焼き付け機で依頼者の家紋を正面上部に入れるのだそうです。

9.ご実家の庭に植えられていた桜の木を使って座卓を作られたHTさんの作品は座卓です。

切り倒した際の丸太。製材所に持ち込んで板材に挽いてもらったそうです。桜の外にも貝塚伊吹も。数年間の乾燥で板が強烈に反ったり捻じれたりして平らな板にするだけでも大変でした。

10.自前の工房もお持ちのTTさんは、教室の時間外でも製作が進むのでものすごい数の家具が生まれてきます。彼は2年前から滋賀県展にも出品されていて今年で3年連続入選を勝ち取られました。前回の作品紹介で掲載した小ダンスが25年秋の県展入賞作です(下記左)。引き出し前板は工房で提供した栃を使い拭き漆を重ねられています。専用の作品台に乗せられ堂々たる展示でした。ちなみにその右に陳列されているのは時々このブログにも登場の漆作家・藤井さんの乾漆の器。彼は滋賀県第一期のアートマスターでもあります。

彼はシェーカー家具のキャンドルスタンドにも魅せられていてこれまでに10セット近く作られたのでは? 今回は一気に3セット同時完成です。後ろにある旋盤でセンター脚や天板加工をされました。

こちらはその前に作られたものに拭き漆をされているときのものです。シックです。

折り畳み式の大きな栗のテーブルもやはり拭き漆仕上げです。

   折り畳み時

これは欧米でブランケットケースと呼ばれる家具。ベッドのそばにおいて毛布やひじ掛けを収納するクラシック家具です。

   ふたを閉じた時

11.私の高校の同級生でもあるYRさんの作品を最後にご紹介。昨年後半から手掛けていた特大リラックス椅子が遂に完成しました。彼の家の裏山に生えていたヒノキが5-6年前に台風で倒れたのですがその材が十分乾燥するのを待って今回椅子に生まれ変わりました。

彼のイニシャルのRが椅子の横から見ると読めるという超オリジナル作品。Rの字をモチーフにした椅子の横面の殴り書き(?)スケッチ一枚から二人で苦労と工夫を重ねて遂に完成!完成直後の満足し切った彼の表情も見てもらいましょう。

その後もユニークなオリジナル作品が続きます。これは一体何なのだ? 鉢スタンドに違いない、と私は思いました。

実は、石鹸スタンドなのです。でか~っ! ほんまでっか?てなもんです(笑)

次なるオリジナル作品はこれ。とてもかわいいです、やはり裏山ヒノキ製。見た目の通りマガジンラックではあるのです。が、

ロックを外して取っ手を左右に開き、ひっくり返すと何と!

テーブルにトランスフォーム!

「一体どこで使うねん」、と教室の皆さんから疑問の声が上がるもむべなるかなの珍作品なのでした。顔出しは本人了解済みです、念のため。

他にもここには登場されていない4~5人の方がいらっしゃるのですが、現在教室スタート時の課題作製作中~初回自由作製作中なので紹介は次回とさせてください。

今回も例年通りに年末超ギリギリとなったことをお詫びします。m(_ _)m。

今年一年間、有難うございました。どうぞ良い年をお迎えくださいませ。

最近の製作(25年6月)

ついこの間2025年になったのにもう梅雨入り間近。年々、時間の経過が加速していると思うのは私だけではないでしょう、恐らくきっと。という事で梅雨前に最近手掛けた家具作りを幾つかご紹介。

1.折り畳み子供椅子

子供椅子は、自分の孫用からスタートして幾つか製作してきたのだが、今回は折り畳みにして欲しいと言う元同級生からの依頼を受けてスタート。お爺ちゃんの自宅に常備してお孫さんが来た時だけ使うので普段は折りたたんでおきたい、とのことで至極納得。今回もおススメの山桜で了解を得たので38mm厚の良材から切り出して製作スタート。

脚や座板など厚板が必要な部材は、この幅広の山桜から切り出して必要な板や角材を削り出す。

後はひたすら設計図に従って加工を進めて行き、ある程度揃ったところで念のため仮組して確認する。

細かい加工に進んで、最終組み立て・接着に進みさらにサンディングすれば、塗装して完成。これは塗装直前。

以前製作した固定式の子供椅子をベースに今回の折り畳み式に進化させたが、折り畳み時に脚の折りたたみと座面の立ち上がりを連動させる機構設計に随分頭を悩ませた。何とか無事に意図通り完成。

これで完成だと思っていたのだが、引渡しまでに余裕があり、工房で眺めているうちにひとつ気付いた。子供が座板の上に立ち、背板寄りに立ち上がると体重の掛かり具合によっては、座板が立ち上がり(大人用の折り畳みパイプ椅子の座板後ろ寄りに立つのと同じように)、危険かもと気付いたので後から座面にロック機構を追加した(上の動画はその改造前)。これでばっちり!

という訳で無事完成。予め聞いていた食卓下面にこの肘掛けがほぼ隙間なく納まることも確認出来たのでした。依頼主が引き取りに来てくれた折には、かつての同級生が5人兵庫・京都・滋賀から集まって恒例のミニ同窓会となったのでした。

2.厨子

最近は、昔ながらの仏壇を置く和室もどんどん減る中で小ぶりの厨子をリビングなどに置いて日常的に故人を偲ぶというスタイルが増えて来たようです。家具展などで木工家が手掛けた厨子を見る機会も増えている。我が家もいつか自分たち様に小さな厨子を作ろうと考えているが、昨年そういう小型の厨子製作依頼を受けた。

大きさは依頼主に悩みながらも決めてもらい、材も数多くある中から最終的にブラックチェリーと決まった。厨子のデザインも千差万別、世の中にいろいろと溢れているのだが、ある程度すっきりとしたデザインで洋室のリビングに置いて違和感のないものを目指し幾つか案を書いた中から決定。

10年近く大事に置いてあった良材のブラックチェリーから切り出して製作スタート。

天板と側板のつなぎは単純に直角に継いでも構わないが、意匠も兼ねてアリ継ぎにしてみた。扉も出来るだけスッキリとしたいので丁番も目立たないストレートヒンジを扉の上下端に取り付けることにした。天部はシンプルにしたので脚部は少しだけ凝った形状に。扉の取っ手をどうするか随分悩んだのだが、単板の扉は木材の年輪方向の収縮で時間が経過すると左右の扉間の隙間が少し広くなるはずなので側面に少しテーパーを付けた薄板を右の扉の左側に貼り付けて取っ手も兼ねる事にした。両扉の上下端から少し金具が見えるのだが、扉を開け閉めするにはどうしても回転中心が外に出ないといけないのでここは仕方ない。扉左右は、ブックマッチにして左右対称に。

扉を閉じる際のストッパーは出来るだけ目立たないように小さな磁石を仕込んでピッタリ閉じるように、なおかつ軽く開けられるように工夫した。で、完成後の開閉動画がこちら。手前の小さな棚は、厨子内部に置いてもOK。

一周忌を前に無事納品完了しました。故人を思う際の器であると思うと日常使いの家具作りと違った神経を使いました。無事納品出来、また喜んでもらいホッとしたのでした。

3.土鍋の台

隣町の人気の土鍋屋さんから時々注文をもらって作る炊飯釜台なのだが、今回は新しい寸法のお釜向けにという事で新たな寸法で製作。以前製作した台の写真を紹介したことがあるが、今回は初の寸法で若干収まり具合も気になったので納品後にお釜が乗っている写真を頂戴したのでした。最初は台のみ。

お洒落なお釜が乗るとこうなります。

こんな器で炊けばさぞやご飯美味しいでしょうね。残念ながら我が家のキッチンはIHなのでお釜が使えません(涙)。

4.椅子修理

時々依頼される椅子修理は半分ぐらいが岐阜県は高山にあった今はなき「Winds 太平」社のもの。名古屋とか遠く東京から依頼を受けることもあるのです。今回の修理は同社のものでは初めてとなる回転椅子。まあ、回転部分は問題ないので単に回転機構付きのウィンザーチェアの修理です。

今回の椅子は背中部分の板が1本破損して折れていたので一旦分解して作り直します。脚部や座板が痛んでいることも多いのですが、今回はその辺りは問題なし背中部分の破損のみでした。背中部分の部材を優しくゴムハンマーで叩いて分解。古くなった接着剤を一旦削り落としてから再接着します。

クサビを打って固定されていた左右両端の丸棒から古いクサビを外して新しいクサビを準備します。

更に折れていた背中の板材を同じブナ板を使って同寸に加工して入れ替えて接着します。

後は、周りの塗装と同じような色合いになるように着色用のステインを重ね塗りして色を合わせ最後に透明ウレタン塗装すれば修理完成。今回のお客様は、東京在住ながらご実家が近江八幡にあるというご縁で依頼いただいたのでした。

以上、最近の製作でした。

木工教室から(25年5月)

風薫る5月となりました。暖房も冷房も不要で工房の窓やドアを開け放って製作に没頭できる貴重かつ快適な季節の到来です。という訳で今年になってからGWまでの木工教室における皆さんの主な作品を紹介させて下さい。

1.実は、今年の2~3月に掛けて3名の方が他県への転勤、海外赴任、関東への引っ越しなどで教室を終えられました。その方達の最後の作品を最初にご紹介。

教室に6年近く通っていただいたMさんの素敵な花スタンド。これに花を一杯に盛ってプレゼントされるのだとか。さぞや喜ばれることでしょう。

その前にはロー・スツールも。この上に厚いマットを置いて腰かけられるそうです。引っ越された後も是非木工をお続けください。

数年の予定で海外赴任されるCさんの最終作は名刺ケース。赴任先で大活躍することでしょう。教室の4年間には、奥様の趣味の茶道用にといろいろな茶道具も数多く作られ、エンジニアらしい非常に正確で緻密な作りが印象深いです。

そして教室最若手のTDさんは、入会して僅か半年足らずで他県に転勤となりました。まだ課題作の製作中でしたがシナ材で小引出を最後の日に完成されました。ちょっと癖のある木目のところを敢えて正面に持って来るというセンスが光ります。A4用紙が余裕で入る引き出しは、新任地できっと役立つかと思います。

3人の方が卒業されたのですが、殆ど同時と言っていいぐらいに新たに3名が加入されました。どんどん女性比率が上がり、今は何と40%超となり過去最高を記録中です、はい。

2.オーディオファンのTYさんの半年超えの大作はスワンと名付けられたバックロードホーンスピーカー。上の小さな直方体に取り付けたスピーカーの背面からの音が白鳥の首部分を通って下のデカい直方体の中で5回ほど反射を繰り返して背後の穴から外に出てきます。

解説書籍と首っ引きで図面を解読しながら複雑な構造を4~5種類の板材を使って見事に組まれました。書籍の平面図・側面図では、複雑な構造が分かりにくいので教室の設計ソフトで本体下部を3D透視図面にしてみました。これをパソコン画面でグリグリ回すとようやく構造が分かります。

遂に完成し、作者持参の小型アンプを繋いでスピーカーからの音を初めて聴いて感動する教室メンバーです。

3.Kさんは、教室に持参する道具類がどんどん増えてきたので大きな道具箱を製作されました。厚いパイン材を使ったので道具を入れなくても充分重い、というのが最初の皆さんの感想でしたね。

4.木工女子YYさんの新大作は、浴室の扉上に設置されたタオル・キャビネット。ウォルナットの無垢材を使ったスライド扉が高級感を漂わせています。

キャビネットにタオルを上から積み重ねれば使用時にキャビネット底板に設けた穴からタオルを引っ張り出せます。並べ替えることなく洗濯順に取り出せるという素晴らしい案です。設置場所の壁と棚の間隔を正確に測り、ドンピシャで取り付けられました。天井と壁の接する角に設けられた廻り縁を切り落とすという想定外のちょっとした大工仕事が必要だったのは内緒です(笑)。

5.折り畳み脚の座卓とテーブルを作られたTMさん。パイン集成材を使い、スマートに脚が折りたためる金具を採用されています。テーブルは写真を撮り損ねました、すみません。

この作品の後には鉢植えを置く色々なデザイン・高さの鉢スタンドも作られました。そのうちの4つが同時に完成。

6.ご自宅のキッチンの扉全部を栗の扉に一新されたのはこちらも木工女子TRさん。色々なサイズの開き戸や引き出しの前板など全部で9枚もの扉をひとつひとつ時間を掛けて丁寧に製作されました。

不要になったピアノ椅子の脚だけを再利用して素敵な栗の丸テーブルも作られました。脚以外は全て旋盤で削り出されています。丸脚にアリ溝を掘って3本の脚を差し込んだシェーカー家具的なデザインです。

  天板下の構造

7.高級な幅広のタモ材を使って2連キャビネットを作られたTAさんの作品。板を買って鉋掛けをしてからしばらく別作品を手掛けられたので足掛け2年ほど掛かったかも知れません。いつも凝った装飾をされるのですが、今回は引き出し前板にウォルナットの十字模様が入っています。スライドレールを使用して大きな引き出しも軽く出し入れ出来ます。

8.このところ漆にはまっているTTさんの新作は可愛いサイズの小ダンス。各所に手の込んだ加工をされています。側板と天板・底板のつなぎは、細かな包みアリ組み継ぎ。本体は山桜、引き出しは桐、引き出し前板は個性的な木目の栃、取っ手は黒檀という組み合わせ。仕上げは塗り重ねた拭き漆という小さな大作です。

同時に最近連作されているのがシェーカー家具のキャンドルスタンドに触発された丸テーブル。旋盤で削り出した先細り丸棒にアリ溝を掘り込み3本の脚を差し込む難しい加工を見事に完遂。塗装と研磨を繰り返した光沢ある丸天板も輝いています。自前工房も持たれているので教室のない日も製作に励まれています。

9.以前ケヤキのウィンザーチェアをつくられた木工女子Kさん。その後も次々と作品を生み続けています。大作・小物を織り交ぜご紹介。まずは、知人の依頼で作られたナラ材の引き出し付きキャビネット。元のナラ材は長さ5m、厚さ6cm・幅80cmほどもあったという飛んでもない一枚板。これを切って刻んで2cm厚程度の板にするだけでも想像以上に手間暇がかかっています。

元は飾り衝立だったというやはり巨大な欅から作られた超個性的なパソコンデスク。今にも歩き出しそう(?)

ご自宅のログハウスの残り部材を活用したスツールも。ダイナミックです!

そして色々作られた小物類のごく一部。お香スタンド、額縁、コースター・・・留まるところなく生み続けられてます。

10.TNさんも次々と新作を作り続けています。製作前にしっかりとした完璧な図面を準備されるのは住宅設計士でもある彼女の得意技。教室メンバーの中で図面を設計ソフトで事前に用意されるのはおふたりのみ。小さなメモ用紙に手書きの完成イメージを書いてこられる方が多い中で稀有な存在です。最初は角脚の山桜スツール、凛としてカッコいいです。

ご実家にあったという杉板を使ったテーブルふたつ。旋盤に掛かる限界に近い長さの丸脚テーブルと角脚テーブル。対照的な表情です。杉は柔らかい板なので出来上がったテーブルは、やはり柔らかみがあって優しい手触りになります。

そしてどっしりした栗の丸脚スツールも。

11.同郷の元同級生Yさんは、超個性的な大型椅子の製作中。名前のイニシャルが側面に入ってます。まだ完成前の仮組状態ですが、完成までにはまだしばらく掛かりそうなので途中経過。 この椅子には台風で根元から倒れた自宅裏山の太いヒノキから自らのチェーンソーで切り出した材を使っています。彼なんぞ、図面は頭の中にあると豪語しつつ、直角に組む部分がゼロなので手鋸・手ノミ加工の連続でようやくここまで製作が進みました。唯一の顔出し写真、許せ!

以上、最新の教室作品でした。力作ばかりでしょ!

黒田辰秋展へ

先々週のことになるが京都国立近代美術館へ黒田辰秋展を見に行った。近江八幡から高速を使えば車で1時間も掛からずに京都岡崎公園に到着。

黒田辰秋と言えば、木工分野での人間国宝第1号という事で有名だが、今回の生誕120周年記念展は、過去最大多の作品を集めた大掛かりな展示会で、以前見た展覧会を凌駕する量と質に圧倒された。木・漆・螺鈿(らでん)の贅を尽くした作品が広い会場を埋め尽くしていて実に見事なものだった。感想は尽きないのだが、作品を目の前にして謎に感じた点をふたつ。

飾り棚も多くが展示されていたのだが、展覧会のパンフレットに登場するこの写真の飾り棚の扉部分が不思議。左右に4面の扉があり両端の2枚の扉は蝶番があるので手前に開くことは容易に察しが付くのだが、中央の2枚が謎。中央部には上下に溝が設けられているように見えるので多分スライド式扉とまでは想像できるが、それだけでは無さげ。同じ意匠の大小様々な飾り棚が展示されていたのでひとひねりあるに違いない。

帰宅後に散々ネット検索してやっと正解を発見した。何と中央の鍵を解錠した後中央の2枚の扉を左右に開いた後に左右の開き扉を手前に引くと開き扉の背中に中央のスライド扉が背中部分に収納されたまま2枚分の扉のまま開くというモノであった。なりほど!

ふたつめの謎は、王様の椅子セット(黒澤明の別荘で使われていたという超重量級のもの)の隣にあった円卓とそれを取り囲む椅子セット。その椅子の組み立て方が不思議。

購入した図録からの上の写真の椅子。後ろ脚2脚が座板に掘られたほぞに後から差し込まれている。背中を支える水平の笠木のほぞ部分には脚が左右から差し込まれている。背中中央の背板は笠木と座板に上下から挟み込むほぞ構造。つまり前後・左右・上下を同時に差し込まないとこの構造は出来ないことになる。順番に接着していったのでは最後部分で差し込み不可のはず。ということでここでまた現物を前に思案したのでした。普通に考えれば出来そうにないので、恐らくは笠木を先に脚に固定して次は背板と座板への接着を同時に少しずつほぞを嵌めていくぐらいしか思いつかない。すこしほぞを緩めに加工しておくのかな、とか? どなたか正解をご存知なら是非アドバイス下さいませ。

きらびやかな貝殻を張った螺鈿加工など関心・興味は尽きないのですが、まあ取りあえずの備忘録という事で。。。因みに京都会場は3月2日が最終日。木工教室メンバーも大勢見に行かれました。

西洋鉋と南京鉋

家具作りに用いる刃物付の手道具は、3種の神器とでもいうべき鉋・鑿(のみ)・鋸という事になるのだが、その鉋について。いわゆる和鉋が伝統的な鉋で工房で日常的に使う鉋の殆どは鉋台と呼ばれる木の台に刃をすげたものになる。

一昨年のことになるのだが、木工教室に通ってくれているTさんがオークションで手に入れたという西洋鉋を教室に持ってきて刃物研ぎをしたり台調整をして使い始めた。西洋鉋のことは知識として多少は知ってはいたが、実物を見るのは実はそれが初めて。

日本で生まれた和鉋とは全く違った文化で生まれ育っただけに発想がまるで違う。和鉋の木の台に対し、鉄の台。和鉋は、刃物を木づちなどで叩いて刃の出具合調整をするのに対してネジ付きのつまみやレバーを操作することで刃の出具合が調整出来る。和鉋の刃は、鍛冶仕事で鍛錬した軟鉄に鋼を貼り合わせて先すぼみで先に行くほど薄くなる形状なのに対して西洋鉋の刃は均一な厚さと幅の工業製品的な刃。引いて使う和鉋に対し押して使うといった具合に全てが対照的。とは言え、木を削るという全く同じ目的の道具なのである。

で、当時試しにアメリカの著名メーカーから最初の1台を通販で輸入したのでした。Lie Nielsenというこの分野では最も優れた鉋メーカーの製品でなかなかに精度高くかつ美しい仕上がりの鉋が届いたのでした。そのままでも使えないことはないものの調整された和鉋のような切れ味ではないのでそれなりに刃物をキンキンに研いだり台の僅かに平坦でないところをダイヤモンド砥石などで平らに微調整すると素晴らしい切れ味!下の写真の一番左がそれです。

こうなると道具フェチの血が騒ぐ、という訳で次は中国通販で超安いもの(Nielsenの10分の1以下)を買って調整に挑戦してみました(上の写真の左から3番目)。そしたらこれが何とそこいらじゅうどこを取っても全くダメダメの連続。刃は薄いうえに平らでもなく鉋の金属台もどこもかしこも平らでもなければ直角も出ていない、ということで延々と調整を繰り返すも全くどうしようもない代物でした。木のハンドルも酷く歪んでいたので作り直し、刃はまともなメーカーと交換、金属の台も根性で削ったり掘ったり穴を開けたりと色々やったものの最後はギブアップ、時間と手間を無駄にしました(涙)。

3番目は、イギリスのStanleyという会社の少し上のグレードのものをイギリスのAmazonから購入(上の写真の左から2番目)。この会社、実はそもそも西洋鉋のオリジナル商品を数多く開発した由緒あるメーカー。今はLie Nielsenの方が商品力は上らしいのですが、モデルの名称などは、このStankeyのものを踏襲。今では製造品質で本家を上回ってしまったらしい。

そのStanleyの鉋も多少の調整を済ませれば(といっても木の台と違って鉄製なので桁違いに大変、ただ調整が終われば後は木と違ってすり減らないし変形しないので楽~)、バッチリ実力発揮。

その後もアメリカやイギリスのメーカーから違ったサイズや目的の鉋を買い集めているうちに(中国製の右端の小さなのはOKだった)大家族になってしまいましたとさ。

で和鉋と西洋鉋、総合的にどちらが優れているかというとそれは使い手次第という事になると思います。和鉋に慣れてしまっているので私は和鉋に軍配。ネジを回して刃の出具合を調整するより木槌でコンコン刃を叩いて調整する方が早いし、鉄の台を平らに仕上げるより木の台の方が圧倒的に楽。もっとも和鉋は木の台が動くので定期的に台調整が必要で方や西洋鉋は一度調整してしまえば後のメンテナンスはほぼ不要(刃の研ぎは別にして)らしいです。刃にも細かな違いはいろいろあるのですが以下省略。

次の話題は、南京鉋。和鉋でもなく西洋鉋でもなく中国由来の鉋とGoogle博士は書いてます。和鉋や西洋鉋は基本的には平らな縦長の台に刃物を仕込んで板の平面を削り出したり、時には角の直角部分に面取りという小さな平面を出すのに対して横長の鉋台に小さな刃物を取り付けて両手で操作して棒状の木材やカーブを付けて削るという技が得意。平面上の家具製作には活躍の場はないのですが棒状とか板の端が耳と呼ばれる元の丸太の樹皮部分の仕上げとかにも重宝します。

上の南京鉋は、樫の木などを棒状に削って刃物を通す口穴をノミなどでコツコツと削り開けて自作しました。期待通りよく切れます。

南京鉋用の小さめの刃物は探せば通販やオークションで買えないこともないのですが、和鉋のデカい刃を切って作るという強引な技もあるようで。。。研ぎ過ぎて短くなってしまった刃を金切り鋸で地金部分を無理やり切って、刃先側の鋼は鋼同士で切れないのですが無理やり折り曲げるとポキっと折れて切り離せます。

グラインダーで小刃らしく頭を丸めてついでに少し薄くして完成した南京鉋の刃(左側)。慣れない金属加工で疲れたので南京鉋は未着手。

という訳で西洋鉋と南京鉋の紹介でした。ちょっと脇道に逸れてるけど。

最近の製作(24年12月)

今年も残すところあと3時間足らず。我が家の大掃除も何とか先ほど終えて、最後の製作報告を書いて今年を締めたいと思います。

  • 大黒柱から座卓を

数年前に欅の大黒柱から楕円の座卓を作ってほしいという依頼を受けたことがあるのだが、同じ方から今度は円形の座卓をという注文を頂戴しました。欅という木は、日本の木の中では重くて堅い材の代表格で30cm角の大黒柱はとんでもない重さ。工房の作業台の上に依頼主と二人掛かりで運び込んだものの一人では台の上で転がすのがやっと。今回の柱には梁を受けるほぞ穴が開いていたりして先に短く切りたくなかったので長い柱のままで板状に切り出す必要がある。手押し鉋盤で一面を平らにしてからバンドソーで板状にカットするのだが何しろ重い。近所に住む友人の助けを借りて二人掛かりでようやく作業を進めることが出来た。

2枚の厚板にカットすると中から巨大な虫穴登場! 生きた芋虫は幸い出てこなかったが、鉄砲虫に違いない。

鉋を掛けた柱に太い釘が残っていることに気付かず鉋盤に通したので交換して間もない刃物3枚が大きく欠けました(涙・涙)。

ある程度薄い板になれば軽くひとりでの取り扱いもOK。同じ厚さに鉋を掛けた板を5枚貼り合わせて大きな板へ。

虫穴やほぞ穴を避けつつ木目の組み合わせを選んでの組み合わせ。接着が終われば直径85cmの円形をひび割れなどを避けつつ書いていきます。

後はルーターで円形に切り出して大きな欅円盤に加工して更に脚を取り付けるレッグジョイントと呼ばれる金具を天板と脚に取り付けて行きます。

脚を先細りにして大きく丸面取りをして塗装すれば完成。欅の個性的な木目が金色に輝いてとてもいい感じです。無事、座卓に生まれ変わりこれから数十年、座卓としてお役に立てる日々を過ごすことでしょう。

  • 超大型額2号機

前回作らせていただいた超大型額ですが、秋の作品展に向けて2号機を作りました。およそ1.4m x 2mという畳の1.5倍ほど大きなものです。車で運べるように分解・組立て式にしないといけないので設計に苦心しました。大阪での発表会では日本画が納められた晴れ姿を見せていただきました。こんな絵を自宅に飾ってみたいものですが、大きな壁面自体がないですね。

  画家の松井さんと

  • 太鼓台

名古屋在住のプロ和太鼓奏者の方からの依頼で三角台と呼ばれる太鼓台を製作しました。栗材を使用してます。

運搬時に場所を取り過ぎないように重ねて収納可能になってます。太鼓の現物で寸法確認できないので最初の1台目で問題なく乗ることを確認してもらってから残りを一気に製作したのですが、太鼓の外形は微妙なカーブがあるのでやはり数ミリメートルの修正が(幸い大きくする方でしたが)必要でした。

  • 孫の椅子

2024年最後は、最年少の(今のところ)1歳の孫用に子供椅子を製作しました。動物の耳形の背板を取り付けた椅子にすることにしたのですが、5歳になる彼のお姉ちゃんからポケモンに登場するニャオハの耳にしてという指令が飛んできました。という訳でデザインツールにニャオハを取り込んで耳型を取り込みました。

耳を取り付けて塗装し、完成したのは大晦日の前日。元旦には我が家にやって来るので滑り込みの完成となりました。喜んでくれればいいのだけれど、はてさてどうなるかな? 因みに栗です。

他にもリピート注文や椅子修理も手掛けましたがここでは省略。

あと3時間足らずで2025年です。本年も大勢の方々のお陰で木工を続けて来れました。厚く御礼申し上げます。

皆様、どうぞ良い年をお迎えください。

 

木工教室から(24年12月)

今年も残り僅かになりました。ここ最近の教室で生まれた作品を紹介します。教室に通われる方達のスキルがどんどん向上し、数カ月掛かり~半年掛かりなどというのも珍しくありません。また、ご自分専用の工具を揃える方も徐々に増え中には自分専用の工房を構える猛者も登場されてます。デザインや技術も高度化してきてこちらも色々と鍛えられます。

まずは、奥様の茶道用道具を次々と作られているCさんの作品。これは前回紹介したひょうたん型の茶棚(と言うのかな?)ですが、塗装も終えて実際に茶道で使われている時の写真をもらいました。決して詳しくないのですが、基本分解できる必要があるそうで分解すると薄い2枚の板を重ねた状態になります。左にある電気コンロのカバーも以前の作品です。侘び寂びの精神を感じますね。

最新作は、これと同様に分解式の棚ですが、ウォルナット製の非常に凝った作り方です。四方の細い脚は先端が棚板に差し込める非常に精密な加工がされています。塗装前なので一見地味に見えますが、塗装すると見違えるようになること間違いなしです。

次は、ご自分の工房もお持ちのTさんの作品。以前紹介した欅の重厚な大型椅子にご自分で拭き漆を施されました。実はこの作品、今年の滋賀県展に出品されて昨年に続いて見事に入賞されました。この写真も県展で展示されている際のものです(facebookからもらいました)。工房の旋盤で製作した木皿を初めて拭き漆をしてもらったのですが、漆塗りの技は今や私のはるか彼方を走られてます。

彼は、今年の教室でアイロン曲木に挑戦されたのですが、いきなり3次元曲げ木(一度曲げて、次は違う向きに曲げるという離れ業)のブナ製椅子を作られました。最初は少し曲木部分に不具合もあったのですが元の太い棒材を薄く削り上げることで見事に完成まで持って行かれました。見事な透明の光沢仕上げです。来年には同じデザインで2脚目も作られる予定で一層上達した技を見せてもらえそうです。

Hさんの最新作のハイチェアがこちら。ビーチ材(輸入材のブナですね)で組んで天板はウォルナットの厚板です。ハイチェアでは足置きが必要になるので丸棒を試行錯誤で決めた丁度の高さに取り付けられています。

ご自宅用の工具キャビネットを作られたKさんの作品はこちら。引き出しが開いた状態の写真も撮ったのですが、ピンボケでした(失礼)。引手のない引き出しに見えてどうやって開くのかと思われるでしょうが、プッシュ式の高級スライドレールの採用で、押し込むと引き出しが出てきます。自宅から教室まで重い材量を運ぶ必要がようやくなくなりました。

木工女子Tさんのプリンタ台はこちら。角部分は45度にカットした山桜の板をビスケットという簡易ホゾで組んだ上に更に前面にはウォルナットのチキリで補強と意匠が施されています。キャスターで移動も容易になってます。

前後して組まれたこちらは同じ材の書類スタンド。コーナー部分を敢えてウォルナットでつなぐという手の込んだ加工をされました。

他にも多くの作品があったかと思うのですが、塗装をご自宅でされたりして写真を撮り損なったり、少し集中を欠いていたかも知れません、どうもスミマセン。

木工教室から(24年8月)

昨年末にご報告してから早くも8カ月を経過してしまいました。この間も木工教室の皆さんの作品がどんどん増え続けています。長い方は、教室に来られるようになり既に7年目に入っていますので大作・力作・意欲作が増え続けています。ここに紹介させて下さい。

製作者ごとに紹介しようか、それとも家具のジャンル別に並べようかといつも悩むのですが、今回は前者のやり方でご紹介。

  • Cさん

最近は、奥様のリクエストで茶道用の道具を次々と作られています。根っからのエンジニアらしくものすごく精緻な工作を追及されています。

お湯を沸かす電気コンロを隠して華麗なる茶道具に変身。

茶菓子用の角皿4セット。一見シンプルに見えますが側面が大きく傾斜しているので切断も接着もそして糸鋸カットも ものすごく大変でした。繊細な糸鋸のカット模様は上のコンロ・カバーと同じです。コンロ・カバーもこの角皿も山桜製。

 和菓子が乗った写真

そしてやはりお茶をたてるときの水指などを置く棚も。見本を参考にして特徴あるケヤキの杢板を使って完璧に出来ました。ひょうたん型なのでひさご棚と呼ばれるそうです。これは塗装前の写真ですが、塗装後はぐっと艶やかに。

使わない時は、このように組んで平らに折りたためます。

家具作りの合間には鉋を納める道具箱も完成。

  • K1さん

ベテラン木工女子のKさんは、この半年ほど掛けてウィンザーチェアに挑戦され続けていたのですが、今月遂に完成!!  脚や背中部分の丸棒は全部で15本もあるのを全て旋盤の削り出しで辛抱強く作られました。これらの丸棒はどれひとつとして座板に直角には差し込まれていないので全部工夫を重ねて電動ドライバーを傾けての穴あけが必要です。また背中上部の笠板はアイロン曲木に挑戦してもらいました。

曲げ終えた後、曲がりが戻らないようクランプした状態で1週間ほど置きました。

お友達から頼まれた可愛い小皿類・コースターも

  • K2さん

栗の丸椅子です。座板も脚も貫も全部旋盤加工で削り出しです。T字型に組んだ貫もうまく完成。

ご自宅でも木工が出来るようにとトリマーテーブルも作られました。

  • Mさん

おもにご家族からの依頼を受けて次々作られています。パンケースに鉢スタンド・額・キーボードテーブルと多彩な手づくり家具を楽しまれています。ケヤキを使われることが多いですね。

 

 扉を開けた時

 

   

  • T1さん

名字のイニシャルがTの方がなぜか7人もおられて書き足す数字も沢山必要です。

色々な家具をひと通り作り終えた感もあってか、T1さんは最近は八ヶ岳あたりで手に入れた生の(乾燥前の)樫の木を使って色々な手道具を自作したり、やはり山桜の丸太をクサビで割って斧で丸棒を削り出す生木木工(グリーンウッドワーキング)でスツールを半年近く掛けてコツコツ作られました。最近は早く多く作るというより作るプロセスを楽しまれています。

旋盤で削り出せば完全な丸棒を早く削り出すことも出来るのですが、グリーンウッドワーキングで敢えて斧や鉋類だけを使って丸太の山桜から手作り感あふれる素敵なスツールの完成です。ペーパーコードの編み込みも手間を掛けてされました。因みにスツール前に置かれている木槌も丸太の白樫から削り出してお作りになってます(柄も頭部分も)。

  • T2さん

奥様の依頼で作られたスライド蓋の道具箱。

最新作は、ご自宅用座椅子。超珍しい、メタセコイアの板材を入手して使われました。針葉樹なので杉と似た雰囲気もあり、木肌も柔らかく肌に優しい印象です。背中部分に少しひび割れがあったので強度補強と意匠を兼ねて黒檀のチキリが入っています。ウレタン系の塗装は匂いが強いので屋外で塗装してもらいました。防毒マスクが写ってますね。

  • T3さん

ふたりのお孫さん用にお作りになった幼児椅子2脚。違ったテーストのデザインで連続して出来上がりました。丸脚の方は旋盤での削り出しです。

  • T4さん

プロの現役住宅設計士でもあるT4さん、設計はお手のもの、次々とオリジナル家具が生まれています。

ローテーブルとしてでもスツールにも。立てて置けば高さのあるテーブルにも変身します。角部分は留(45度カット)接合し、アクセントと補強を兼ねたウォルナットのカンザシを治具まで作って苦労して組み込まれました。材は厚さのある栗板です。とても味のある板が家具に生まれ変わりました。

 ウォルナットでアクセント

こちらは山桜製のベンチ。座板に斜めに角脚を差し込むのを角ホゾ構造にされたので全て手加工のホゾ加工になり、丸ほぞと比べて5倍ぐらい大変になりました。

お洒落な栗の丸テーブルや やはり栗のキャスター付き移動棚も難なく完成。

  • T5さん

このTさんも力作が続々。まずは、飾り模様の板を無数に貼り合わせて超絶手間を掛けた末に完成された宅配ボックスから。ボックスの2面はケヤキの薄板をひし形に切り抜き木目や色合いを見ながらタイルのように敷き詰めています。もう1面はヒノキの板を別の模様に敷き詰めています。完成が近づくにつれ、宅配の荷物よりこのボックス自体の方がずっと値打ちがあるから持って行かれないようにしなくちゃ、とまわりから冗談が出る出来栄えでした。

自然の断面板を天板に用いた小テーブル。斜め脚が個性的です。

最新作は、ケヤキの天板・ヒノキの脚製のサイドテーブル。脚に大きな節穴があったのですが、かわいいワンちゃんの住み家になりました。蛍光塗料入りのレジンで埋めて夜間は光るそうです。

 小さな番犬が見張ってます

  • T6さん

本格的な木工家を目指して多くの作品に取り組む中で様々な技術に果敢に挑戦されます。

分厚いケヤキ板2枚を使ったオリジナル設計の椅子。もの凄い存在感です。教室で木皿に簡単な漆塗りを初体験されてから自宅で繰り返し練習して、何とこの椅子にも拭き漆を10回近く塗り重ねられて既に完成しています。秋の展覧会に出品される予定なので紹介は展覧会後にしたいと思います。この写真では分りにくいのですがお尻を受ける座面には中央部で深さ3cmほどの掘り込みもされています。大作です。

こちらはカバ材を使ったテレビボード、存在感たっぷりの自然板の特徴を生かされてます。

そして今年は手づくり市にも初出展。色々な木材を使った色々な小箱も作られました。そのうちの数点をご紹介。

 

 

手づくり市で必要な陳列台も瘤付き樺板で製作されました。

今は更なる上級編というべき3次元曲木にも挑戦中。完成後にそのウィンザーチェアの姿を紹介させて下さい。

  • T7さん

最後のT7さんの作品は、洗面台横に置かれる背の高い隙間家具。槙材の厚板をバンドソーで2枚の薄板に切り分けた板を使って深い引き出し3段、開き戸ひとつ、アクセスしやすいように上段は壁2面のみで構成されたお洒落な家具です。女性らしい気配りされた使いやすい家具になっています。重ねて設置されるので高さ1.8m近くもあります。

  引出し・扉をあけた時

 

  • Hさん

ご自宅用の家具類が増え続け、最近は職場で使う家具や小物作り用の治具なども作られてます。こちらは欅のスツールと杉板の棚。

  • Y1さん

まずは小物から。ご家族にプレゼントされたキーホルダースタンド。ご自宅裏山で拾って来た自然木を使われてます。

同様に裏山に生えていたヒノキが台風で倒れた時に所有者と共にチェーンソーで切り出した材を使ったスツール。このヒノキは、次々と家具に生まれ変わりつつあります。

こちらは、自宅出窓にぴったり収まるように設計された飾り棚。出窓のガラス側に向けて窓枠が傾斜しているのでそこに合わせるため側板も途中で折れ曲がっているので工作は大変でした。完成してご満悦の表情です。完成して持ち帰ろうとしたら車に乗らないという計算違いも(一目瞭然なのですが(笑))。顔出しは本人了解済みです。

工房の軽バンに積んでご自宅に運び、窓枠に設置した際に一発でピッタリ納まったのかそれとも少し鉋を掛ける必要があったのかそれは二人だけの秘密です(笑)。カッコいいでしょ!

  • Y2さん

木工教室でもっとも過激な節・板割れ大好き女子のY2さんの作品には常に最も目立つ場所に過激な節を持つ板材が選ばれるのです。自分で板材を調達する方には乾燥済み板材を扱う材木屋さんを紹介するのですが、その時も「出来るだけ目立つ場所に節のある板を選んで送ってください」と注文するほど。その影響力で最近は節を避ける人が減って来た気がします。

こちらは山桜の2段式巨大キャビネット、同サイズのもう1段の棚の上に乗せられ3段式のキャビネットが完成形です(写真なし)。上の段も当初は引き出しになる予定でしたが、背が高過ぎて取り出すのが難しいことに(幸いにも)直前に気付かれたので開閉扉に変更され事なきを得ました(笑)。塗装前の写真です、すみません。

 巨大なのでスライドレール必須

こちらはブビンガ板のソファー肘掛け部に乗せて使う小テーブル。その上に乗っている四角い切込みの有る板はさて何でしょう? 実は、スマホやタブレット端末のスタンドなのでした。シンプルにして痛快なデザインです。節のない板だったので仕方なく節無しです。

こちらは自宅の棚に後付けで取り付けたスライド扉。ウォルナット材で上下の溝板を作り、棚に取り付けた上で取っ手を張り付けたアクリル板を入れて完成。扉付のキャビネットに進化しました。ご自宅住環境が続々と快適になって行きます。

 

木工教室ではこのように大作・意欲作・チャレンジ作が続々と生まれています。前回から時間を空け過ぎたので作品数が半端ないですね。まだ写真の撮り忘れがあるかも知れないのですがご容赦ください。

なお、現時点で木工教室に若干名の空きがありますので木工やって見たい方おられましたら教室の見学も歓迎です。経験・道具一切不要です。木工への好奇心なり関心があればそれで結構ですよ。

最近の製作(24年7月)

今年に入ってから7月までに納入した主な家具(?)たちのご紹介です。色々なご依頼をいただいて作って来たのですが、なかなかバラエティーに富んでいるような気がします(笑)。

  • 糸撚り器

工房初物なる糸撚り器。彦根の女性の方からご依頼を受けて図面を書いて相談の上、製作しました。ご自分で繊維を撚って糸を作り、それを織って敷物などをお作りになるのだそうです、凄い!

お持ちいただいた板材プラス工房のパープルハート材を使って製作しました。大きな滑車と取っ手は木工旋盤で削り出しです。木工品で初めてベアリングを組み込みました。ほんの僅かだけベアリングより小さな径のドリルで穴を開けて2個圧入しました。

なぜこれで糸撚りが出来るのか分からないまま完成したのですが、完成後にお使いになる様子の写真を頂戴して初めて理解しました。納品後にこの垂直に取り付けた棒の上部にご自分で別の滑車を4個取り付けられています。大きな滑車を手で回すとヒモで上部の4つの滑車が回転してその滑車の軸に取り付けた糸(隣の部屋まで張られています)に撚りが掛かり、縄を撚るのと同じ原理で糸が撚られていくのです。な~るほど、ザ・ワールド、でした。

  • ベンチとコーヒーテーブル

こちらもやはり女性の方からのご依頼です。市販の家具にはない様な野性的な板を使ったベンチとコーヒーテーブルです。

コーヒーテーブルは、山桜をご希望。工房に合った何枚かの板材からこの板のこの部分を使って、という明快な選択をされました。

納入後のお使いの様子の写真も頂戴しました。

 

もう一方のコーヒーテーブルはこれ。工房での打ち合わせの際に半分冗談で見ていただいた欅の丸太断面材。径がおよそ45cm ~ 50cm ぐらいの厚板ですが、乾燥割れのヒビが全面に入った強烈なもの。何とこれがいい、と即決で決まったのでした。この写真は元の板を欅角棒に乗せた状態の製作前の状態です。

全面に入っている沢山のヒビの処理をどうしようか随分悩みましたが、レジン樹脂をヒビに何度も流し込んでは固まるのを待って再度流し込むというのを繰り返して隙間を埋めてみました。入手前に(多分)雨水などが染込んで出来たシミもあちこちあるのですがこれは個性という事でご了承済み。

完成したのが、これ。なかなか強烈でしょう?

でもすっかり気に入っていただいたようで納品後にこの写真を頂きました。「お部屋に馴染んで、とても気に入っております」との嬉しいお言葉。こちらも超嬉し~、です。

  • 桶胴太鼓台

何度も色々な太鼓台をご依頼いただいている市内在住のプロ和太鼓奏者の方からの今回のお題は「6尺2寸桶胴太鼓台」。本番前に棒状の脚台ふたつをX型に組んでボルトを締めて垂直脚の上に桶胴太鼓を乗せれば、ご希望の傾斜と高さに鼓面が来ます。

念のため、塗装前に太鼓を工房で台に乗せて寸法チェック。少し窮屈だったので4mmほど広げて調整しました。

てから黒塗装してキャスターを取り付けて2セット完成。栗材です(最近は殆ど栗を選ばれてます)。

同じ太鼓を地上160cmぐらいの位置にのせる櫓(やぐら)太鼓台も次回製作予定です(まだ設計調整中)。

  • 日本画用超巨大額

昨年末に納品した日本画用の額と同時に依頼を受けていた超巨大額。およそ1.3m x 2mほどの巨大な日本画を展示するための額です。個展の日程が決まっていたのでその日に合わせて納品する約束で製作しました。大きすぎて車では絵も額も乗せられないので絵はこのサイズの1/3の大きさのものを3枚並べて額に入れます。額も畳よりはるかに大きいので分解式にせねばなりません。山桜を選ばれたのでとっておきの巨大厚板材を使いました。

どういう構造にするかいろいろ悩みましたが丸ナットと呼ぶ特殊なナットを額の裏から差し入れて長いボルトで四隅を組むというデザインにしました。

京都御所のすぐ近くで開かれた個展にも伺いました。大きな日本画が収まり大迫力です。実は、11月に次の個展があるのでそれまでに同じものをもう一組作る予定です。

暮れに納品した小さい方の額(といっても45cm x 72cmほどあるので十分大きいのですが)にも何枚も日本画が入って飾られてました。一番好きだったのがこの絵、売約済みでした。どこへ嫁いで行くのだろう?

  • 左官おかもち

これも初もの。県内の左官屋さんからのご依頼でおかもち。最初、おかもちと言われて麺や丼などの出前用のおかもち???と思ったのですが、左官コテを収納して持ち運ぶ左官屋さん用の工具箱をこう呼ぶようです。

細かいところまでご希望がはっきりしていたので材を決めてもらって(やはり山桜に決定)、図面を書いてやり取りして修正の上製作しました。ご自分でベニヤ板を切って作ろうとされたらしいのですが、多忙で1年経っても完成しないので頼む事にした、とか。

取っ手を通しほぞにしてクサビを入れたり側面に丸い切り抜きを入れるとか、結構こだわりのデザインをご希望になったのでした。内側の側面にコテ掛けが3つ取り付けてあるので、ここに各種サイズのコテが沢山掛けられることになってます。お聞きしたら2百数十のコテを使い分けられるのだそうです、ビックリ! 工房にもたくさんの鉋・ノミありますが100種類もないと思うなぁ。手前の開いてる側に溝があるのですが、ここには自作されるコテ板が収まるようです。今度、使われている様子の写真をお願いしてみよう。

 塗装前

 塗装後

他に何脚もの椅子の修理とか、隣町の土鍋屋さんからの釜台や敷板とか作りましたが、ご紹介済みなので省略させて下さい。

現在取組中のものは、また次回に。

こだわりの手作り家具工房