木工教室から(22年5月)

前回報告から早くも3カ月、次々に作品が生まれています。

1.キャビネット

木工女子Kさんのキャビネット。框(かまち)づくりが得意で小さな紙に書いた簡単な図面だけで複雑なほぞ構造も難なく仕上げられますが、今回は大作とあって珍しく大きな図面を書かれました。今回もキレイにすっきりと仕上がりました。

スライドレールを使って軽やかに開く引き出し2段。ご友人からの依頼作だそうです。

2.サイドテーブルなど

こちらも木工女子、Tさんの新作。とてもお洒落なサイドテーブルです。クルミの木を初使用。十字に組んだ足元は中心部が少し宙に浮いた軽やかな構造。天板を支える柱は旋盤を使いこなして微妙なカーブの円柱で、八角形の天板の面取りも素敵です。

その前に作られた足踏み式アルコールスタンドは、今回で4作目。フットペダルを踏めばピアノ鍵盤が下がってアルコールがスプレーされます。前作を見たり使った方から依頼が続いています。随分前に作られた1作目も毎日踏まれながら何の問題もなく活躍しているそうです。

3.格子模様の裁縫箱

奥様へプレゼントとして製作されたCさんの格子模様裁縫箱。とても手が掛かっていますが、あざやかな出来上がりです。重箱のように重ねられます。裁縫箱というより宝箱? 工芸品の香りです。

4.小引き出し競作

コロナも昨年秋ごろから少し感染の恐怖感が落ち着いてきたからなのか、4名の方が前後2カ月ほどの違いで教室に参加されました。新規スタート後しばらくは決まった課題作で道具の使い方などを覚えてもらうのですが、その課題も4作目になると手の込んだ小引き出しに挑戦してもらいます。その小引き出し4作品が相前後して完成しました。

最初はT1さんの山桜の引き出し。黒檀のストライプ状の引手がカッコいいです。

Yさんのナラ材引き出し。

  

そしてT2さんの山桜製。

  

最後は先週完成したT3さん(3人の名字が「た」!)。ナラです。

  

この作品からは、材料の板も製材所から届く帯鋸で切断しただけの荒材を初めて使ってもらいます。本体のアラレ組みや引き出しの精密加工を初めての木工機械を多用しつつ、更につまみの旋盤加工など色々と新しい技に挑まれます。

すき間なくピッタリ作ると引き出しは、こんな芸も可能です。

5.座卓ほか

上の小引き出しのT1さんがその後作られた栗材のコタツ。38mm厚の栗の板を高山の材木屋さんから初購入。適当な枚数を買ったら幅広のいい材が使いきれないほど届いたとのこと。当分、栗の作品が続きそう。このコタツの天板、栗の板を3枚矧いで両側の耳を残して個性的な作品になりました。

また壊れてほぼバラバラに近い海外製の椅子を修理再生もされました。

6.番外編

工房近所のY氏。実は高校の同級生なのだが時々工房に遊びに来てくれたり、自宅裏山で切り出したヒノキを持ってきてくれる。先月、木工がしたいという事で教室番外編でヒノキのオリジナル踏み台を作られました。デカくて頑丈だけどカッコいい。5月からは、彼も毎週教室に通って来てくれることになったのでした。顔出し、許されたし!

7.番外編の番外編

ゴールデンウィークに親戚の甥っ子一家が東京から四国へ戻る道中に我が家を訪ねて来てくれた。小6の息子が木工をやって見たいということで一家でいちにち木工三昧。近所に住む孫兄弟も駆けつけて来て5人が同時木工。いろんなものが出来ました。 脚つきまな板(母)、カードゲームのスタンド(父)、壁掛け棚(小6)、本箱(小6/4孫兄弟)。顔出し許せ!

大黒柱から楕円形の座卓作り

隣町からご夫婦が工房にやって来られたのはふた月ほど前だったろうか? 建替え前のご自宅に使われていた太い欅柱を残しているので記念に小さな臼と杵を作ってほしいというユニークなご依頼からスタートしたのでした。

実際に餅をつくつもりはないが、欅柱の記念として身の回りに置いて置きたいとのこと。ギリギリ旋盤に掛かる太さなので出来ないことはないけれど実際に使う家具にも出来ますよ、というような話をしたところからトントン拍子に話が進み座卓を作ることになったのでした。楕円形の座卓がご希望とのこと。

という経過を経て、やがてトラックに乗った24cm角ほどの立派な欅の大黒柱が1.7mほどの長さにチェーンソーで切られて工房に運ばれてきました。ド迫力!

サイズと比重から計算するとざっと60kg。とてもじゃないけどひとりじゃ運べません(ギックリ腰必定!)。丸鋸と手鋸でまずは天板と脚の材のふたつに切断。短くはなったものの重すぎてまだひとりでは作業台から床に降ろせません。木工教室の際に手伝ってもらってようやく床上に。

脚の方は、短く軽いのでバンドソーで4本分の脚を切り出します。

天板は、仕上がり厚に合わせて4枚開きに。ただ、元が柱なので中央近くに芯があり、芯近くはヒビが入ったり小木の時の枝が小節として数多く残されているので家具材としては不適当で切り除きます。魚の背骨を外す感じですね、まるで。

築後数十年(百年近いのかも)も経て表面はいい色が出ていましたが、平らに鉋掛けをして板に仕上げて行きます。同じ厚さの板が揃ったところで木目を見ながら天板にする板の並びを幾度も並べ替えながら慎重に決定。ここらが出来上がりを決める一番の山場かも。

板を貼り合わせて目違いを取れば、次は楕円の墨付けをしてバンドソーでラフカット。ようやく全ての部材が勢揃い。脚は、まだ真四角、楕円もまだほぼ楕円という段階。

エクセルで楕円の公式を使って楕円形の座標を求め四分の一楕円の型を作り、これを使ってルーターで習い加工してきれいな楕円形に削り出し。削りくずとの闘い!

天板と脚の固定は、レッグジョイントという優れた金物を使います。脚と天板の両方に埋め込んだ金具同士をボルトで締め付けることで取り外し可能な脚が可能になります。四角の座卓なら脚の取り付け位置は簡単に決まるのですが(四隅ですから)、隅のない楕円形、さんざん悩みました。脚を天板の上に乗せてここがよさそうと思っても本来の天板下に置いてみると印象が全く違ってきます。

というように悪戦苦闘しながらも遂に座卓完成! 欅は材によって木目や杢、色合いに差がありますが、今回の欅は複雑な杢が出ていて仕上げのオイルを塗ったとたん、まるで黄金の座卓です。因みに脚は大きく角を丸く取りつつ、先細りにしています。

お引取りの際もご夫婦で来られましたがとても気に入ってもらえたようです。綺麗な木目だったので、この欅の残材でティッシュボックスを作って、おまけで差し上げたのでした。チャンチャン。

最近つくったものたち

ここ数カ月、工房で作ったものたち。

1.孫娘につくったドールハウス

実は大阪にいる孫に昨年末のクリスマスプレゼントとしてつくったもの。注文製作の合間を縫って2歳になる初の女の子のために(子も孫もそれまで100%男だったもので)爺ちゃんが愛情を込めて作りました。山桜の板を平らに鉋を掛けてカットして並べたところ。

屋根と側板が傾斜しているのでほぞで組むには些か大変なのでビスケットを(簡易ホゾですね,言ってみれば)傾けて差し込むことにしました。

で何やかやと中断しつつも昨クリスマス前に完成。その前の匠の祭用に1ダースほど作った小さなクリスマスツリー(売れ残りともいう)とお菓子のブーツも買って大阪まで届けました。

 

ま、当面はキリンさんのおうちかな? このお気に入りのぬいぐるみが入るように背の高い塔状の部屋を作ったのです。いつか、このおうちに並べる小さなテーブルと椅子も作ってあげるね。

2.テンセグリティ・テーブル2号機

今年になってから千葉のお医者様からテンセグリティ・テーブルの注文を頂いたのでした。以前作った1号機のページを検索でご覧になっての依頼のようでした。1号機と同じデザインで構わないとのことでしたので同じ寸法で今回はヨーロピアン・ビーチ材(日本のブナの木と同じですね、輸入材の方がはるかに良材ですが)で作ることになりました。お医者様ゆえなのか肌色に近い木がいいとのこと。

構造上斜めに組むほぞが多いのですが、直角に組むのと違って切るのも組むのも手間が何倍も掛かります。2回目なので時に手加工も交えながらもそれなりに順調に製作進行。

 

前回と同じような動画ですが。前回どうやって音楽を入れたのか思い出せない (T_T)

今月に入ってお届けしたのですが、お受け取り後に「とてもよい仕上げで最高にいいです!」とのご連絡が。嬉しい一瞬です。後になって教えていただいたTwitter を読んでみたところ、江の島にテンセグリティーのオブジェが置いてあってそれがきっかけでのご依頼と判明しました。ネットの時代なればこそ、ですね。

3.離乳食スプーン

今月、お孫さん向けの離乳食スプーンを納品しました。今回は、ブラックチェリー、山桜、ウォルナットのご希望でした。ケースは、杢の入った山桜です。スプーンの下面には、お孫さんの名前も入ってます。今回は、お孫さん誕生の何カ月も前からご依頼をいただいて、誕生直後から製作開始。使ってもらえるのはまだしばらく先ですね。

 

木工教室から(22年2月)

教室で生まれた作品のここ数カ月分をご紹介します。

教室開始時からのメンバーで5年目に入ったTさんの渾身の力作がこちら。上部はウォルナットとブナを格子状に組み合わせた精緻な細工がされています。一見すると小さな箱に見えますが、独自のからくり構造が今回も施されて、魔法のようにあちこちが開いたり回転する小物入れです。

ご自宅ダイニングのカウンター下の棚スペースにピッタリ納まりペンや小物類が納められるのだとか。また、手間の掛かる木の象嵌が下部のブナの扉部に施されています。

もうひとり5年目に入ったHさんの作品も家のあちこちで活躍中です。大きな作品も増えてきたので最近は空きスペースを生かす作品が増えてきたようです。という訳でやはりダイニングのカウンター下スペースを活用された棚です。これまでに作られた小物類も並んでいます。

八幡の里山に生えていたリョウブの木の鉢ケース。表皮を一部残して旋盤で削り出されたものです。

青森に行った際に青森ヒバに出会って以来、この木にすっかり惚れ込んだというCさんは、趣味のキャンプで使うアウトドア用の調味料ケースを青森ヒバで組まれました。閉じたケースを開くと各種サイズの調味料類が収まります。鉋を掛けた後に少し反りが入ってしまった板のカーブを生かして敢えて丸味を残したまま苦労してほぞ状の削りを入れて左右の鏡板とされました。内部に入れる小さな引き出しがまだ出来上がっていませんが、本体は完成したので先んじてご紹介を。

知り合いの方達から次々と依頼が続く木工女子Kさんの最新作はハープスタンド。持ち運びの際は分解して板同士をダボで組み合わせると小さくまとまる心配りがされています。

もうひとりの木工女子Tさんの作品も次々と出来上がってます。これは、以前作られたピアノ鍵盤を模した足踏み式のアルコール・スタンドが好評で追加で2セット製作されました(左側は完成直前)。

こちらは栗の小箱。

   

最新作は、額縁状の立体鉢植えとイーゼル・スタンド。満開の花が植えられたところを想像したくなる素敵な仕上がりです。

次は木のおもちゃ類を作ってネット通販での販売にもチャレンジされているYさんの作品。斜面を木の車が滑り降りて最後に木琴上で音を奏でます。改良しつつ幾つも作られました。

こちらはそのおもちゃパーツの整理箱とか。

今も続々出来つつあります、また次回に。

新年のご挨拶(&キャビネット製作記)

2022年、明けましておめでとうございます。昨年はいろいろとお世話になり有難うございました。コロナの広がりがこれ以上大きくならず、皆様にとっていい年となることを祈りたいと思います。工房のある近江八幡は、大晦日からこの冬3度目の雪が降り始め、元旦の朝には10cmほどの積雪となりました。

昨夜遅くに昨年最後の製作について書きましたが、これはその少し前に作ったキャビネットです。洗面台横のスペースにピッタリ納まるナラ材指定のキャビネットを依頼されました。

材料のナラ材の板、全部で7枚必要です。箱モノを無垢板で作るには思いのほか沢山の板が必要になります。

両面を鉋盤に掛けて木目を見ながら貼り合わせる板の組み合わせを決めて行きます。木目や時には避けられない節も見ながら決めて行きます。

最高の板目板は、天板に。ナラ材特有の柾目にのみ出現する虎模様の杢部分は量が限られているので扉部分に当てがいます。

扉は、取っ手のないスッキリしたデザインをというご希望に合わせて扉上端に掘り込みを入れたものにしました。

洗面台左のスペースが設置場所。うまくここに入るのかドキドキしながら置きます。

無事にうまく納まりました。幅も高さもちょうど。フローリングのナラ材と同じ材で相性もピッタリ、喜んで頂きました。

という事で、無事ミッションコンプリート。この時期に建築されたばかり家らしく玄関に手洗い場があるのです。訪れた人の目に必ず触れる一等地に置かれるキャビネット、となったのでした。

 

今年最後の製作

2021年も残り30分足らずとなりましたが、今年最後の製作となったのは、太鼓台。大きなケヤキの丸太をくり抜いた直径56cmほどもある重量級の大太鼓が乗る台、しかも4台同時製作。12月26日に開催された和太鼓コンサートの主催者である大橋さんから開催直前に依頼されたのでした。気合で何とか間に合わせますと言ったもののさすがに同時4台は時間が掛かって4台中2台はコンサート前々日、残りの2台は前日夜納品という超綱渡り!となりました。

四角い箱状の台は、太鼓鼓面が傾斜14度、中央高さ83cmが演奏するうえで必要な寸法という事でそうなるように設計します。更に太鼓を台の枠内側ではなく枠の縁に乗せて欲しいとのこと。更にややこしいことに4台の太鼓の寸法が微妙に違ってます。なので一番大きな太鼓が乗るように枠に太鼓の外形に合わせたカーブを掘り込んでその内側にも細板を当てがって太鼓を受け止めます。底面は治具を当てがってルーターを使って掘りますが、太鼓のふくらみを受け止めるカーブは、丸のみとバイオリン鉋を使ってひとつずつコリコリと掘っていきます、彫刻のように。

ようやく2台の組み立てが終了。栗の木で作った台は、ご希望に合わせて黒く塗装してから太鼓が当たる部分にフェルトを貼って、キャスターを取り付ければ完成。コンサート開催の前々日納品でした(2台は約束通り)。

そして最後の2台が完成したのはコンサート前日夜。連日深夜まで作業を続けたものの直前納品となり迷惑を掛けてしまいました。

前日ようやく完成

そして待望のコンサート当日。コロナ禍でしばらく大規模コンサートが出来なかったので久しぶりの開催に出演者全員のあふれるような笑顔と充実感のこもった演奏がとても感動的でした。通常は、完成後に太鼓を乗せて問題ないことを確認するのですが、今回は時間がなくてぶっつけ本番。無事に太鼓が乗っている姿を見て心底安堵しつつ達成感を味わいました。

中央寄りの四角い2台が今回のものです。

2021年、お世話になりました。皆さま、そうぞ良い年をお迎え下さい。コロナが収まる年になる事を祈りつつ。

 

 

陶器をのせる台いろいろ

県内で陶器製の鍋類などをお作りのお店から時々鍋敷とか鍋台とかの依頼を頂戴することがあります。その都度、違った用途やサイズですが、これもまた知恵を絞って作ることになります。

一番最近作ったのは、ご飯鍋を乗せる台。このようなどっしりした羽釜というんでしょうか、炊きあがったお釜を乗せる台ということでした。直火で炊ける厚手のしっかりしたお釜です。

どんな形をご希望かお聞きしたところ四角形の台で下すぼみのをご希望だったので、木工でいわゆる四方転びという形状のものを作らせてもらいました。これが完成品。山桜を使わせてもらいました。

角が直角の箱は、接着する際のクランピングは容易で縦横にクランプを掛けて締め付けるだけですが、こういう形状の場合は面と面が平行ではないので普通にやると、滑ってしまいクランプが掛かりません。

なのでクランプの為だけに別の傾斜カットした板を当て木として張り付けた上で、角部分を締め付けないといけません。写真のような感じでなかなか大変です。最初は両面テープで当て木を側面に貼り付けてみましたが徐々にずれて行きしばらくすると外れてしまうので少しだけ接着剤を付けて貼り付けてしまいます(外すのがまた大変ですが)。

恥ずかしながら失敗談があります。完成時にお釜を乗せて確認してもらったところ丸くくり抜いた部分が大きすぎたのです。原因は、曲尺(かねじゃく)でお釜の直径を図った際に寸法を2cm大きく測り間違えていたのです(内外両方に付いた目盛りの反対側で読んでしまうというチョンボ)。丸くて大きくくり抜いた天板を作り直すことになりました。

で、不要になった丸穴が開いた板、端材入れの段ボール箱に放り込もうかとも思いましたが、悪知恵絞って額縁に変身させました。ふたつ出来たのでひとつは我が家で家族写真を入れて壁に掛けてます。知る人ぞ知る、釜台額!

一方こちらは、炭火コンロ台。こんなのを食卓に置いて焼き鳥でもすれば旨いだろうなぁ。

 栗の木

こちらは以前作らせていただいた八角皿。やはり陶器の器が乗ります(乗ったところを見てないのですが)。

というように街の木工屋として様々な注文にお応えします。けったいなもの、こんなの出来るかな、といったもの大歓迎です。ただし、木で作るもの限定です、もちろん。

 

 

 

 

太鼓台と鐘台の製作

工房をスタートして間もないころから市内のプロ和太鼓奏者Oさんから色々なお題で太鼓台の修理・改造・新規製作の機会を頂き、その都度色々なタイプの台を作って来ました。彼から紹介された別の奏者からも依頼をもらったり、つい最近はブログを読まれた仙台の方から(工房の最北ご依頼記録!)も。

  • 締め太鼓台改造

で、最初はそのOさんからの改造依頼。市販の締め太鼓台をご希望の高さと打面傾斜となるように改造し、キャスターも新たに取り付けました。木ねじを外してから接着部に衝撃を与えて分解します。

その後、寸法を切り詰めたり、太鼓を乗せる部材を低い場所に付け替えたり、キャスターが取り付けられるように添え木をしたりして、ようやく完成。

新規製作は、図面通りに切って組み立てればいいのですが、改造の場合はそれに加えて改造前の念入りな採寸も必要な上、改造部を同じような色合いで塗ったり、ネジ穴をパテで埋めたりもせねばなりません。ある意味、新規製作以上に気を使わねばなりません。

  • 鐘吊り台製作

京都在住のプロ和太鼓奏者の方からは、太鼓台ではなくて何と巨大な真鍮製の鐘吊り台のご依頼。木で出来た太鼓よりはるかに重く、最大直径35cm以上もある鐘です。以前お作りした桶太鼓の台に無理やりこの鐘を吊り下げたところ。

これをご希望の高さや角度になるように台の寸法を考えて新たに専用台を作りました。例によってSketchupで3D図面を書いてから鐘が脚に当たらない寸法を見極めて、製作に入ります。

黒いオイル仕上げで無事完成。残念ながら鐘が乗っている状態の写真がありません。仮組の時点で問題ないことの確認が出来たので引き渡し時に鐘は乗せずじまい(うまく乗ったと聞いてます、もちろん)。

  • 仙台からの締太鼓台ご依頼

なんと工房新記録となる最北地・宮城県は仙台市からメールでご依頼いただきました。太鼓の現物を見ることなく製作した初のケースです。採寸してもらった寸法を信じて製作を進めます。今回はユニークなご依頼として、太鼓を乗せる部材を角棒ではなく丸棒にして欲しいとのこと。

丸棒を栗材から削り出して、ご指定の高さ・角度になるように脚の角度を決めて固定できるように組んでいきます。

オイル塗装してキャスターを取り付けて完成。太鼓を乗せた写真を送っていただきました。

締め太鼓というのは、このように金属製のボルトで革の鼓面を締め付けるのですが、その鉄の部材の寸法などを詳細に聞かずに作ったので、完成後に太鼓を乗せてもらったところもう少し丸棒と丸棒の距離を縮めた方が安定して乗せられるとの声が寄せられました。そのため、改造用の部材(脚の開きを若干狭くするための数mm厚の小さな板)をお送りして貼り付けてもらい、無事事なきを得ました。

  • 桶太鼓台

続いて同じ方からご依頼の桶太鼓台。折り畳み式の吊り台は何度も作りましたが、今回は分解式の置台です。ふたつほど素案を出した中から選んでもらって、やり取りしながら各寸法を決定しました。

塗装前の栗材で組んだ台です。下の写真のように分解出来るので持ち運びに便利です。

やはり完成後に太鼓を乗せた写真を送っていただきました。

ひとつ先に完成した締め太鼓台との2ショットもいただきました。鼓面中央は、同じ高さ・同じ傾斜の台となります。

ちなみにご自分で木工もされるという依頼主からのご希望で折りたたみ式桶太鼓台の設計のみ(これも工房初ケース)もやらせていただきました。

Yさん、はるばる仙台からのご依頼、有難うございました。

 

エークと離乳食スプーン、その後

今年の5月に離乳食スプーンとエーク(櫂)のことを書いたが、その続編。作り終えてからだいぶ経ってしまったが、山桜のエークもその後製作しました。朴と比べると比較にならないほど木は堅く、おまけにきれいな杢の入った材だったせいで木目がややこしく交差していて鉋を掛けてもすぐに逆目になったりと随分苦労しましたが、追加で2本の山桜エークが再び沖縄に旅立ちました。

当時、たまたま材木屋さんに厚手の山桜の在庫がなかったので、テーブル用に残していた杢の入ったデカい板を涙を呑んで切断。

こんな感じの綺麗な杢が入ってました。

朴と比べたら何倍も堅い木ですが必死に鉋を掛け続けます。平鉋と丸鉋を駆使して・・・。

やっと出来上がり。片方は丸みを帯びた凸面。反対側は逆の丸味の凹面に。

もう一方の離乳食スプーン。前の投稿を見た別のご夫婦からやはりお孫さんへのプレゼントとして依頼を頂戴しました。

ありゃ、塗装後の写真を撮ってない。名前を書き込んでから塗装した裏側の写真はあるのに。。。

プレゼントされた息子さんのお嫁さんからの伝言として「今まで使ったスプーンのなかで断トツ!であげやすく、使いやすかった!」と嬉しい知らせを頂きました。森さん、有難う!

実は、最近別のご夫婦からも依頼を頂きました。離乳食どころかまだ誕生前なので製作はまだ先ですが。皆さん、お孫さん向けですね、やっぱり。

 

「匠の祭・第9回」開催

コロナ禍で昨年は開催中止になった匠の祭ですが、今年は開催が決定しました。これまで奥永源寺の空き家などをお借りして室内開催でしたが、今年はお寺などの会場以外は基本屋外開催となっています。
永源寺ダムから更に山奥に進み、途中で道を間違えたかと思えるような狭い山道を抜けたところにあります。緊急事態宣言も解除されたし行ってみるか、という方お待ちしています。陶芸・ガラス・革・漆・木工関連と幅広い手づくり品が出展されます。
・日時:10月8日(金)~11日(月) の4日間 10:00~16:00
・場所:東近江市蛭谷町 筒井神社周辺
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こだわりの手作り家具工房