太鼓台のお題③つづき

3月に「太鼓台のお題③」と称して太鼓を乗せる三角台の試作台について書いたのだが、続編を書くのをサボってしまった。先月には、1ダース全てがようやく完成した。

こんな風に1ダース分の材料を用意して、今回の三角形のクランピングが段取りよく出来るように治具を作った上で次々と接着していくわけである。

一番上が、製作承認をもらうための試作機で、そのOKをもらった後で残り11台の製作を進めた。最後にウォルナット色に塗装した上で、下部に3個のキャスターを取り付ける。

最後に太鼓に当たる部分にフェルトを張ればようやく完成である。

デビューした暁には、この写真に写っている太鼓の一番下の白っぽい台の後継者となるはずである。

椅子の籐を張替え

工房の近くにお住いの方の依頼で椅子の張替え修理をしました。カリモクのしっかりした椅子ながら長年の使用で座面の革張りはそれなりに痛み、背中の籐の編み物もかなり破断した状態。

座面の張替えは、これまでに結構な脚数をこなし経験も積んだのでそれなりの自信もあるのだが、籐の張替えは今回が初。以前、知人から近江八幡市内に籐製品や張替え用の籐材料を扱う会社があると教えてもらい、いずれ籐張りのスツールでも作ろうとその会社を訪れて張替え方法をそこの職人さんに教えてもらい材料も仕入れていたので、この依頼を受けたとき即答で請け負ったのでした。

四ツ目編みという幅2mmほどの薄い板状の籐を4mmピッチで縦横に編んだもので、手持ちのカゴメ編み(縦横斜めに編んだもの)とはタイプが違うので同等品を仕入れて作業スタート。

最初に、破断した籐の除去。これがメチャクチャ大変。背中部分の板材の溝に籐がはめ込まれているのだが、その溝の中にタッカーが(頑丈なホッチキスの爪ですね)、ビッシリと打たれていた。籐屋さんから稀にタッカーが打たれている場合があると聞いていたのだが、まさにそのケース。深さ5-6mmの溝の底のタッカーを外すには、ドライバーのような尖った工具を使って溝を潰さないよう慎重にひとつづつ抜かないといけないのである。

因みにこの籐の素材は、幅2ミリ厚さ厚紙程度で、例えれば爪楊枝を平たくプレスしたようなものなので指先で曲げればいとも簡単に折れてしまう。これを編み物にしてしっかり張り込むことで十年や二十年は持つというのだから、先人の知恵は凄まじい。

ロール状に巻いた籐の編み物を水に浸して柔らかくしたうえで、綺麗に掃除した溝に少し細めの丸芯(籐の丸棒)を当ててクサビで少しづつ打ち込んでいく。溝に沿ってきれいに打ち込み終われば、この仮の丸芯を取り外した後に、ボンドを塗った上でジャストサイズの丸芯を再度打ち込むわけである。

張り終えた直後は、まだ湿気を含んだ籐が幾分フニャリとしているが乾燥すれば障子張りと同じように力強くピンと張った籐に変身するのである。

あわせて椅子の座面も張り替えれば、無事修理完了。随分遅くなってしまったが、左義長まつりまでにというご希望に辛うじて間に合ったのでした。

 

きょうの太鼓台

今日完成したばかりの太鼓台。先に書いたお題①~③とは別の和太鼓チームからのご依頼。とはいってもやはりプロ和太鼓奏者Oさんが関わられている安土町のチームである。

チームで使われている大太鼓とその太鼓台のセットがあるのだが、別の少し小さめの太鼓をその台に乗せると打面が低くなりすぎるので、ちょうどいい高さになるよう作ってほしいとの依頼である。

他の楽器類と比べると太鼓の種類は、小さなものから大きなものまで、また平たいものから深いものまで、実に多種多彩だが、それに呼応して太鼓台も実に多岐にわたる(と分かって来た)。

という事で、完成した太鼓台がこちら。栗の荒々しい木目が濃いめ色のオイルで一段と映えていると思う。ひとつの台と脱着可能なもう一枚の支え板使って、3通りの乗せ方が出来るのである。

斜め下に向かって叩くとき

下に向けて叩くとき

水平に叩くとき(時には、両側から)

この初号機台を実際に使ってもらった上で、更に複数台の製作となる予定である。

因みにこれらは、製作中の様子。

カーブ部分は、左に置かれている型板を用いて左右対称にルーターを用いて加工。

太鼓を乗せる部分は太鼓胴のRに合わせて手道具(南京鉋と四方反り鉋)で掘り込んだ。

太鼓台のお題③

太鼓台のお題①②に続いて今回は③。引き続き和太鼓プロ演奏者Oさんのご依頼である。こんな感じで大太鼓を乗せてステージ上を移動するキャスター付きの三角形の台なのだが(写真の一番下の台部分)、長年の使用で随分傷んできたので一新したいとの有り難いご注文。

例によって、曲線で構成された太鼓を乗せるには普通の図面では描き切れないのでSketchup 3Dソフトの出番となる(単純なものでも使うのですが、何しろすぐに描けて間違いが出にくい)。

こんな感じで図面を書いて作った試作品がこれ。直角ばかりの木工と違って、三角形になっただけでややこしい加工が必要になって来る。

早速太鼓の現物を乗せて見て、問題ないことは確認できたのだが、三角の先が尖り過ぎているのでもう少し平らにしてほしいとのこと。運搬時など、尖った方を下にして積み込んだり、一時的に置いたりする必要があり、早速改造が必要となった。う~ん、配慮が足りぬ。

というような経過を経て、完成したのが(塗装前)これ。このようにふた通りの乗せ方があるのである。

OKをもらってから、最後に塗装して完成したのがこれ。

トータルで1ダース作らないといけないのだが、まだ製作途上。片付ける時にピッタリ重ねられるようにするつもりなのだが、その仕掛けがまだ未確定だったりもする。そういう意味では、まだ3合目あたりかも。

 

 

ステンドグラス窓枠

いつもユニークな木工品の注文をしてくれる市内のJazz Café Yugeyaマスターの川岸さんから次の指令が飛んできた。京都の骨董屋で手に入れた英国製のステンドグラスを建物の窓として取り付けたいのでその窓枠を、とのこと。建築屋さんとの打ち合わせも行った上で何とか納期に間に合わせて納品できた。

道路から見上げるような高い場所に取り付けられるとのことで存在感のある幅広で厚みのある枠とした。最初は、額縁のように四隅を45度の留でカットして貼り合わせるデザインにしようかと思ったが、設置後は太陽光が当たり続け、時には雨も降りかかりそうなので建具風にしっかりほぞを入れて接着剤に頼らなくても(もちろん使うけど)頑丈さを維持できるように変更。

この後、四隅の内側を45度にカットしたあと大きく面取りすれば額部分はほぼ完成。建物の間柱に取り付けられるように大きな枠を後ろ側に取り付けた。

100年ほど経過しているというステンドグラスの金属接合部は結構痛んでいて、持ち上げただけでも大きくたわみ、枠で押さえつけるだけではバラバラになりかねない。というか実際にあちこちの接合部の半田が取れかけていた。マスターの昔とった杵柄というやつで(ステンドグラスとちょっと分野は違うが半田付け技能士らしい)、デカい半田ごてを手に工房にやって来て接合部の修復をしてくれた。念のため、更にガラスを前面に入れてステンドグラスを保護することに変更。

てなわけで、無事完成。ステンドグラスを置いてみると、う~んスバラシ。今回、額部分はち密な木目の松を使ったのだが、建物に取り付ける前に白ペンキを塗るらしいので、ちょっと悲し。

完成して披露されるのは、いつかな? ちょっと遅れ気味らしい。

 

 

教室から(今年の新人)

2018年1月からスタートした木工教室ですが、今年の年明けとともに新しく加わってくれた方たちでメンバーも倍増しました。最初に挑戦してもらったのは、ノコギリ練習課題の馬づくりです。4人の方の4匹の馬。縦・横・斜めにノコでまっすぐ切る練習です。

次は、A4用紙が楽に入る書類箱の製作。ここでは、上端留五枚継ぎという伝統的な組継ぎを題材にノコギリ、ノミ、それにカンナといった代表的な手道具の練習と共に墨付けの基本を学んでもらいます。ほぞ部分の墨付けに使うのは、伝統的な加工法ではケビキを使うのですが、ケビキの使いこなしはなかなか難しいので教室ではケガキゲージという超便利な墨付け道具を使ってもらいます。これは、一度使うとこれ無なしではやっていけないほどハマる道具です。

ホゾ加工を墨付け通りに加工するのはなかなか難度の高い加工なので、仮組をした段階ではそれなりに隙間があちこちに出来たりしますが、はたがね(小型クランプ)で締めあげ、残った隙間には木の粉をノリで練ってふさいだ上、手鉋で丁寧に仕上げると、驚くほど立派な家具の完成です。

3つ目の課題として、ティッシュボックスに挑戦してもらっています。書類箱の組継ぎと違って、45度で切った留接ぎという接合なので接着する際には、四辺をバランスよくクランプで締めて行かないと四隅をピタッと合わなくなってしまいます。4枚の板の8辺を45度に仕上げるのは、このような留削り台を使い手鉋で斜めに仕上げてもらいます。ティッシュペーパーの箱サイズは、メーカーによってかなり幅があるため、ご家庭で普段使われているサイズに合わせて調整してもらっています。

先行しているおふたりのが、まず完成したところです。木工をスタートしてふた月経過すると、このような加工が手道具だけで出来るようになります。

 

教室から(ベテラン組)

前回ブログをアップしたのは昨年末だったので、ほぼ2ヵ月半ぶり となってしまいました。まずベテラン組の皆さんの作品紹介をしたいと思います。ふた月余りの間にいろいろなものが完成しました。

1.折り畳み脚の屋外用小テーブル

栗の木を使った力作の小テーブルです。毎回何かの新仕掛けを必ず設計に入れ込むTさんですが、今回は折りたたみ脚に挑戦ですね。小さめの天板に四角い脚を通す穴が開いていて脚の先端が顔をのぞかせるのが洒落てます。持ち上げても脚が固定されるよう得意の磁石仕掛けが施されています。さらに折りたたんだ時にも脚が勝手に動かないよう、ここにも磁石で折りたたんだ脚を固定しています。濃色オイルで塗装した栗がとても素敵です。

脚を立てる際の動画もあるのですが、編集してサイズを縮めないとアップできなかった・・・。またいずれ。

2.水槽カバー

滋賀県で知らない人のいない飛び出し坊やに琵琶湖のシルエットを背景パネルにした水槽カバーを作ったHさんです。上下の桟にはきれいなタイルも埋め込まれています。水を入れた水槽を置くとご覧の通り。

3.看板ふたつ

知り合いの方から依頼を受けて看板をつくられたベテランKさんの作品です。女性らしい実に丁寧な作りで、依頼者からとても喜んでもらえたそうです。木の色と白く塗装した文字が実に上品な仕上がり。これらの文字を彫刻刀で掘り込むだけでも随分時間が掛かりましたが、その甲斐がありました。

4.スマホ・タブレットスタンド

こちらもHさんの作品。お使いのスマホやタブレット端末、それにリモコンなども並べて置けるように工夫されています。

5.座卓

ブナ材を使った大きめのご自宅用座卓です。脚はボルトで取り外しが効きますので使わない時には分解して片付けられます。耳付きで野性味も感じる色調のブナの仕上げで落ち着いた雰囲気を醸し出しています。幅広材でやや反りのある板だったので天板を平らにする際に厚さを残すため普段見えない天板裏には多少平らでない部分を残すなどして工夫されています。

3人とも3月に入って新作に取組中です。完成をお楽しみに。

 

今年も残りわずか

今年もあと数時間でおしまい。28日が工房の仕事納めで最後の納品は、今月分のボールペン50本。これで延べ250本の納品となった。もうあと少しだぞ。

本年最後の仕事は、機械整備と工房掃除。木工機械の摺動部全部(多分?)に注油し、定盤にも油をぬる。最後に自動鉋盤のベアリングが浸っているオイルバスの潤滑油入れ替え。最後に床掃除をして工房を引き上げたのでありました。

29日からは、自宅の年末仕事が待っている。毎度のことながら元旦配達が間に合いそうにもない年賀状印刷、庭木の剪定に落ち葉の清掃、風呂場の大掃除(因みに最近の風呂場清掃用の薬剤凄い進歩、カビキラーとこれを使い分ければ石鹸カスからカビ黒ずみまですっかりキレイ)、網戸やサッシの掃除、とバタバタしているうちに、今年も残り6時間足らずでR。

お世話になった皆様、今年もいろいろと有難うございました。それなりに元気にこの一年を過ごせたことを感謝せねばなりません。来年も皆様にとっていい年となりますことを祈念しつつ、今年最後のブログといたします。有難うございました。

木工教室から

木工教室から今年最後の作品ご紹介。

まず、Kさんの作品2点。両方同じ程度の大きさのスツールですが、ひとつは肘掛け無しで座面が開閉式になっていて座面を持ち上げるとこのような収納スペースが現れます。

もうひとつは、肘掛け付きで座面は固定ながらやはり座面下に収納スペースがあり、前面から出し入れ可能です。細部にわたって非常に丁寧な作りで女性らしい細やかさと大胆さを兼ね備えたステキなスツールです。

肘掛け部分には、特徴のある木材部位を利用して個性的です。丁寧にサンディングしてあるのでヒビ割れの部分も指にやさしいのです。

一方、こちらは木工教室歴1年になるHさんのコーナー棚。ホゾとホゾ穴加工をものにして、キレイに組み上げられました。フローリング材を利用した棚板は、これまた初めてのダボを使った固定で木ねじ類は一切利用していません。ご自宅のテラス・コーナーにピッタリと合っていい雰囲気です。

この12月になぜかほぼ同時に3名の方から教室への申し込みがあり、年明けから木工をスタートされます。春ごろには、基本を身に付けて、ひとりひとり個性あふれる家具の製作を始められるようになるかと思います。その階段を一緒に上がっていけるのは、工房にとって大変光栄なことです。

アンプ・クレードル

去年の春ごろに野洲市でギターアンプの製作や修理をされているGamps 徳田さんの依頼でアンプ・クレードルの製作をしたのですが(Gamps のクレードルに関するブログ記事はここ)、そのブログを見た大阪の印刷屋さんから同じクレードルの注文をいただきました。これを何とか年内に完成し先日納品しました。

久しぶりに作ることになり、木工部分の図面は無論残っているのですが、細かな金具の選定など、どうしようかと考えているころにタイミングよく工房に徳田さんがやってきました。スピーカボックスを工房の一日教室で自作したい、ということでそのついでに以前納品したクレードルを持ってきてくれたのです。

前回、山桜を使いましたが、今回は白い木肌が硬くてきれいなブナ材を使います。という事で製作開始。

荒材を切って鉋掛けをして所定の長さに切ったり、溝を掘ったり。思いのほか細かなパーツがあるので、家具とは少し違った要素もあります。で、出来上がった塗装前のクレードルとお借りしたものを並べてみました。

桜材は、年数と共に木の色が濃くなって行くので製作直後と比べると大分貫禄が出てきています。まだ塗装前の新しい方はなんだか嫁入り前の白無垢の花嫁さんのように見えなくもない(私だけ?)。

塗装後、うっかり写真を撮り忘れてしまったので納品後に依頼主に写真を撮って送ってもらいました(Oさん、お手数かけて申し訳ありません)。畳の上に溶け込むように落ち着いた雰囲気の、オイル塗装後の完成姿です。これからこの台の上でどんなアンプが置かれるのか想像すると嬉しくなりますね。

この印刷屋さんでは、昔の活版印刷機の修理・復元もされているそうで、操作レバーに使う取っ手の注文もいただきました。完成後、こんな感じで重厚な鉄製のレバーに組み込まれて使われるようです。硬くて頑丈なオーク製なのでこの先何十年ももつことでしょう。

(アンプ・クレイドル)