カテゴリー別アーカイブ: 作品

小さな木工品

小さな木工品の依頼を受けて、幾つか作りました。ひとつは、ダーニング・マッシュルーム。湖西の慧夢工房さんから紹介をうけて作らせてもらったのだが、初めて聞く言葉で最初は何のことかわからなかった。衣類のほころびをかけはぎで繕う為の裁縫道具、ということらしい。マツタケの形のカサの部分を例えば穴のあいた靴下に当てて手でかけはぎをする、らしい。

ネットの写真を参考にして旋盤で作ってみた。カサの部分をひとつはウォルナット、もう一つはケヤキ。軸部分は色と雰囲気がマツタケっぽい栗のツートンカラー。出来上がったのがこれ。

 高さ10cmあまり

いつまでもなくならない松茸、お好みの樹種で作りますが、如何?

もう一つは、デザイン会社からの依頼で作った40cm足らずの木工品。なんでも神社のお守りだかストラップを陳列するのに使うらしい。神社とくれば、欅が似合うだろうという事でナラを所望されたが欅を提案して樹種変更。欅の和風テーストがいいなあ。小さな家具を作るようなものではあるが、小さいが故にホゾ継ぎなど小さく正確に加工しないといけないので却って難しく感じた。

一品料理、むちゃブリ大歓迎。ということでご紹介まで。

 

 

桶太鼓用吊り台

ひと月半ぶりのブログである。暑い夏の間、すっかり書込みもサボってしまった。工房は平屋で屋根も鉄板張り(多分)、壁には断熱材なし、おまけに日当たりはバッチリで西日が八幡山に隠れるまであたり続ける。組み立て室の方には、一応エアコンを設置してあるが、この酷暑には全く勝てず汗ダラダラ。おまけに機械室は空調なしで時に40度に迫る厚さである。汗だらけの手をうっかり鉄の常盤につけると、翌日にはサビの手形になっている (T_T)

今回の太鼓台は、またまた新しいものに挑戦。吊り台というもので、桶太鼓の鼓面同士を縛り上げたロープに革ベルトを通して、台に吊るすのである。3本の脚の先端にある金属ピンで固定された革ベルトに太鼓がユラユラとぶら下がっているわけである。太鼓が宙に浮いているような趣なので、私の耳には木の台に置かれたときの太鼓の音より張りのある音に聞こえる。

で、持ち込まれた直径65cmほどの太鼓に合う台を作るのがお題。いくつか条件があって、①吊るした時の鼓面中央の高さは84cmが基本、ただし、奏者によって高さが変えられるように革ベルトに穴を幾つもあけて調整できること、②鼓面の傾斜は15度程度に傾けて吊れるようにする、ただし脚は直立、③取り付ける太鼓の高さは37cmほどだが、将来55cmぐらいの背の高さのものを使うのでそれにも合わせられること。実はもうひとつ径48cmの太鼓もあって、これも同様に二種類の高さに対応できること。

要はふたつ同時に違う大きさの台を作る訳である。3本脚と書いたが、実際は2本脚の物をふたつ丁番でつないで折り畳み式にして、開いたときにそのうちの3本の脚から吊るすわけである。まっすぐに立つ3本の脚に円筒状の太鼓を傾けてぶら下げて、脚に太鼓が当たらないように、なおかつ隙間が広すぎるとカッコ悪いので脚と太鼓の間に適度な間隔を持てるようにサイズ決定しないといけない。これは、なかなか難問ではある。私の数学力では解けそうにない。

こんな時の頼もしい助っ人が、いつも使っている”sketchup”という3Dの設計ツールである。こいつを使えば、予め傾けた状態の太鼓を用意してそれを三角形に開いた太鼓台のセンターに置いてみて脚の間隔をちょうどいい具合になるように調整すればいいわけである。図面から太鼓と脚の間隔も読み取れるので、自信をもって製作に移れる訳です。といいつつ、木を切るときは一抹の不安もあり、仮組みで太鼓が収まった時には安堵しました。下のが、設計図。太鼓の下側が二重になってるのは、背の低いのと高いのを兼ねているため。

という訳で、想定通り(?)一発でドンピシャサイズの台が完成した。因みに材は、定番の栗。ただし、今回初のスペシャル配合の黒色オイル塗装。25日の演奏会で使いたいので前日までに完成させてほしいとの注文主の依頼に何とか滑り込みで応えることが出来た。前日夜の引き渡し時には、まだオイルが乾燥しきっておらず、おまけに黒色塗装だったので、積み込んだ際には手が少し黒くなるという生乾き状態での納品となった。

塗装前

  大小ふたつ完成

 注文主の大橋さん

でも黒いオイル塗装の栗、なかなか気に入ったなあ、今度家具でも使ってみよう。ということで久しぶりのブログでした。

写真撮影会

家具展への搬入を前に作ったスツールの撮影会。 超久しぶりにグラデーション背景紙をセットして撮ってみた。 背景紙のサイズが小さいので、スツール両端にほんのわずかしか余白が残らなくて苦労した。

トリミングして何とか背景紙を飛び出さないようにした中から数枚。

 

 

まもなく家具展

家具展まで残り1週間余りになってしまった、オロオロ。

今日は、ウォルナットの自然木ベンチが完成。やや薄い板なので座板に脚を丸ほぞで直接差し込むのは止めて脚の部材を別の厚板と反り止めの幕板に固定してから座板を乗せる構造にしてみた。

使ったウォルナット材は木の股の部分の割れ目が入っていたのだが、その割れに赤みのあるカリン材でチキリを作ってアクセントにしてみた。節や股の部分など木の内部に応力が掛かる箇所には面白い木目や杢が現れるのだが、まさにそういうややこしい木目が描かれている。

あと、電波時計の置時計も製作中。何年も前に手に入れた欅の瘤部分の板を使った。いつか時計を作ろうと決めていたのだが、この機会のようやく実現。電波時計のムーブメントなので誤差のない時計となる。あとひとつ、これと似た樺の瘤材もあるのでこれも同じく置時計に加工予定(間に合えば)。

黒檀棒を8mm径に削り出して、盤面に埋め込んで3/6/9/12時のマーキング。塗装したばかりで濡れているのでムーブメントと針の取り付けは明日。

あと、丸い革座のスツールも作らねば。

スツール勢ぞろい

家具展に向けて各種スツール類がようやく出来上がったので、並べて記念撮影。板座面・お尻にフィットする凹凸を付けた板座面・革座面・ペーパーコード座面、ベンチをひとつだけおまけで。どれが嫁入りできるのか想像してみる。

まだ着手していないが、ナラとウォルナット以外の材であとふたつほど作りたいが、出来るかなあ? それから丸座面のも。

ペーパーコードは、強く張る際に手や指先が痛くなるので、しばらくやりたくない。。。

取りあえず、スツールは一段落して次は小物を作る予定。

家具展の準備中

来月はじめの家具展に向けてこのGWも黙々と製作中。去年の反省を生かして品揃えを増やすべく、ま四角っぽいスツールをいろいろな座面(板、革、ペーパーコード)の組み合わせで作ってみつつある。初めて革張りにも挑戦。ウレタンマットとスポンジを座板に貼り付けた後、渾身の力で革を引っ張ってタッカーで座板に留めていく。角部の処理が結構難しく、シワをうまく散らしながら固定しないと角に大きなシワが入ってしまう。この黄色いのが二層目のスポンジであんこのチップウレタンの周りを囲っている。
で、ほぼ完成した革座面スツールがこれ。木部はまだ塗装前。手元に持っていた革でスツールに貼れる大きさがあったのはこれひとつ。
もうひとつ同サイズでウォルナット版も本体部分は出来上がっていて、隣の革工房cogocoroの田中さんに革を張って貰っているところ。革屋さんなのでいろいろな色のが揃っている中で、彼の強いお勧めで黄色の革に決定。自分一人のセンスではとても選べなかったパンチあるスツールとなるに違いない(まだ出来てない)。
他にも、4本の脚をナラの耳を残した厚い座板に斜めに差し込んで固定したスツールとベンチも完成。この後時間があれば、栗やウォルナット版も作る予定。三角形のスツールは以前作ったのが残ってるので、取りあえず十数脚は出来そう。骨組みだけのスツールは、きょう接着が終わったばかりで、今週中にもペーパーコードで座面を編む予定。
 これらが完成したら、やり掛けのままの小物類も仕上げねば。夏野菜もそろそろ植えつけないといけないし、今月は忙しい。

テレビ台完成

ここしばらく製作が続いていたテレビ台がようやく完成。

上に置くテレビサイズや台の下に設置する機器類はハッキリしていたので縦横サイズはすんなり決まったので全体のデザインを何通りか提案。ガラス戸付きからスタートして、前面を覆うガラスはない方がいいという事で・・・

こんな箱状のも書いてみたが、側板も棚板も無くして下部に置く機器をたくさん重ねて置けて(いずれプリンターも)四方からアクセス出来るのがいい、ということで最終的にとてもシンプルなデザインに落ち着いた。

基本は、天板と底板を4本の角丸脚でつなぐだけだが、板の反り防止や剛性を持たせるために天板・底板下には目立たない程度の貫を入れた。 材は栗に決定。で、完成したのがこれ。リビングとダイニングの両方で向きを変えて見られるようにキャスター付き。45x85cmほどの板サイズを栗で作ったのだが、栗の味がとてもいい。野性的ながら素朴で温かみを感じる材である。

半年ほど前に木材市で幅40~50cm で厚さ44mmの板を何枚か購入して現在乾燥中なのだが、使える日がとても待ち遠しい。

アンプ修理架台

当工房にいつもユニークな木工品を注文してくれる隣り町野洲市でギターアンプの製作・販売・修理をされているGampsの徳田さんからまたまたユニークな依頼を受けた。

アンプの修理をする際に金属製のシャーシーを裏返して傾斜台に乗せることで修理の際の半田付けなどの作業が随分やり易くなる(らしい)のだが、その架台を作らせてもらう機会を得た。

私が知らなかっただけのことで、Google博士に”amplifier chassis cradle” と入れてみると確かにいろいろと登場する。アメリカなどでは多分市民権を得たものなのであろう。どれも実用性第一という存在感のあるものばかりである。徳田さん所有のアメリカ製の台は、年季は入ってはいてもメープル材の大変しっかりしたものだった。

手づくり家具屋の端くれとしてもう少し端正なものを、ということで山桜を使ったアンプ架台に挑戦した。最初は、実用的であればヨカンベ、と木ねじでゴリゴリと組み立てることで了承をもらったのだが、いざ板の鉋掛けが終わった段階で変心。ホゾはさすがに手が掛かりすぎるのでビスケットとダボを用いて木ねじは一切使わないことに勝手に変更。

で、本日出来上がったのがこれ。左右の間隔が自由に調整出来、なおかつL字部分の傾斜角度を必要に合わせて調整することでアンプ・シャーシー内の作業がしやすく出来るようになっている。日本語で検索しても全くヒットしなかったので、日本でこのような架台を使う人は、極めて少ないに違いない。

ということでまたまた貴重な経験を積んだのでありました。どこぞにこれ欲しいという人、いませんか?  いたとしてもこのホームページに来る確率はゼロだわな。

ベンチ椅子

今月に入り工房近くの女性が訪ねて来られて、ベンチ椅子の注文をいただいた。四角四面なベンチではなくて、工房作業場の壁に立てかけてあった節穴のある野趣あふれるナラの板を見て、それを選ばれたのであった。予算に合わせて、シンプルな構造ながら長さ1メートルほどの頑丈な椅子が出来上がった。

普段、直線・平面で構成された家具ばかりを作っているのでこういう元の板を生かし、節なども残して作るのはなかなかに面白かった。

数日前に降った雪が残る工房前で記念撮影した後、納入完了。

こちらは製作中。通し丸ほぞにクサビを打ち込んで接着後、飛び出した部分をカットし、オイル塗装後脚を高さ40cmでカットして完成。

太鼓台ようやく完成

2月中旬になって今年初のブログアップ。昨12月、出来るだけ頻繁に投稿しようと努めた結果、年明けはすっかり気が緩んでしまい瞬く間に50日ほど過ぎ去ってしまった、のでありました。

で、今回は12月に本体が完成した太鼓台塗装の顛末。濃色塗装を何種も試みたものの満足いくものにならず、年明けに納品予定のオイルステイン待ちと書いたのがこれまでの経過だった。

で、年明けに到着したそのステインを試しみるも残念ながら期待に届かず。ホームセンターでまた別のウレタンスプレーを買って試すもやはりダメ。ということで途方にくれてしまい、ついに某大手塗装メーカ相談窓口にアドバイスをお願いした。

そのメーカーのオイルステインを塗ったブナ木片を同封し、ラベルに印刷されているような色に染まらないのだが、どうすればいいか助言してもらえないか、また適当な濃色塗装可能なものを推奨してもらえないかとブナ板を数枚送らせてもらったのである。

同社から(名前は出さないでと言われたので書きませんが)期待を上回る懇切丁寧な対応をもらうことが出来、同社製の塗装剤を塗った10通り以上の塗装サンプルを送っていただいた(感謝!!!)。ブナは、非常に稠密な材で塗料の染込みが悪く基本的に塗装が難しいようで、これぞベストというスッキリした仕上がりのものは残念ながらその中になかったのでありました。木材に塗る以上は、木目が透けて見えて欲しいのだが、濃色となるものはほぼ不透明で木材感が失われ、木目が見えるものでは色が薄かったり見るからに塗りむらを感じるのである。

 送ってもらった塗装サンプル

ということでいささか途方にくれていた時にやって来てくれたのは、近所に住む漆工芸家の藤井氏。漆に混ぜて使うカーボン粉末を持っているからこれを使ってみたら、と持ってきてくれた。早速、同社のウレタンニス(これだけでは濃色にならず)にカーボンを適量混ぜ込んで塗った後軽く拭き取ることで遂に濃色ながら木目が見える塗装となった。

刷毛への塗装剤の含ませ方、刷毛運び、拭き取りの加減が難しく場所によって出来具合に差があるものの、苦節一カ月、ようやく締め太鼓用太鼓台が完成したのでありました。

これは、近江八幡文化会館で2月5日に行われた和太鼓イベントでの晴れ姿。もっともステージ一番奥に置かれているので殆ど見えません。八中太鼓の演奏、例年に違わず若さとエネルギーあふれる感動の演奏だった。