今年に入ってから7月までに納入した主な家具(?)たちのご紹介です。色々なご依頼をいただいて作って来たのですが、なかなかバラエティーに富んでいるような気がします(笑)。
- 糸撚り器
工房初物なる糸撚り器。彦根の女性の方からご依頼を受けて図面を書いて相談の上、製作しました。ご自分で繊維を撚って糸を作り、それを織って敷物などをお作りになるのだそうです、凄い!
お持ちいただいた板材プラス工房のパープルハート材を使って製作しました。大きな滑車と取っ手は木工旋盤で削り出しです。木工品で初めてベアリングを組み込みました。ほんの僅かだけベアリングより小さな径のドリルで穴を開けて2個圧入しました。
なぜこれで糸撚りが出来るのか分からないまま完成したのですが、完成後にお使いになる様子の写真を頂戴して初めて理解しました。納品後にこの垂直に取り付けた棒の上部にご自分で別の滑車を4個取り付けられています。大きな滑車を手で回すとヒモで上部の4つの滑車が回転してその滑車の軸に取り付けた糸(隣の部屋まで張られています)に撚りが掛かり、縄を撚るのと同じ原理で糸が撚られていくのです。な~るほど、ザ・ワールド、でした。
- ベンチとコーヒーテーブル
こちらもやはり女性の方からのご依頼です。市販の家具にはない様な野性的な板を使ったベンチとコーヒーテーブルです。
コーヒーテーブルは、山桜をご希望。工房に合った何枚かの板材からこの板のこの部分を使って、という明快な選択をされました。
納入後のお使いの様子の写真も頂戴しました。
もう一方のコーヒーテーブルはこれ。工房での打ち合わせの際に半分冗談で見ていただいた欅の丸太断面材。径がおよそ45cm ~ 50cm ぐらいの厚板ですが、乾燥割れのヒビが全面に入った強烈なもの。何とこれがいい、と即決で決まったのでした。この写真は元の板を欅角棒に乗せた状態の製作前の状態です。
全面に入っている沢山のヒビの処理をどうしようか随分悩みましたが、レジン樹脂をヒビに何度も流し込んでは固まるのを待って再度流し込むというのを繰り返して隙間を埋めてみました。入手前に(多分)雨水などが染込んで出来たシミもあちこちあるのですがこれは個性という事でご了承済み。
完成したのが、これ。なかなか強烈でしょう?
でもすっかり気に入っていただいたようで納品後にこの写真を頂きました。「お部屋に馴染んで、とても気に入っております」との嬉しいお言葉。こちらも超嬉し~、です。
- 桶胴太鼓台
何度も色々な太鼓台をご依頼いただいている市内在住のプロ和太鼓奏者の方からの今回のお題は「6尺2寸桶胴太鼓台」。本番前に棒状の脚台ふたつをX型に組んでボルトを締めて垂直脚の上に桶胴太鼓を乗せれば、ご希望の傾斜と高さに鼓面が来ます。
念のため、塗装前に太鼓を工房で台に乗せて寸法チェック。少し窮屈だったので4mmほど広げて調整しました。
てから黒塗装してキャスターを取り付けて2セット完成。栗材です(最近は殆ど栗を選ばれてます)。
同じ太鼓を地上160cmぐらいの位置にのせる櫓(やぐら)太鼓台も次回製作予定です(まだ設計調整中)。
- 日本画用超巨大額
昨年末に納品した日本画用の額と同時に依頼を受けていた超巨大額。およそ1.3m x 2mほどの巨大な日本画を展示するための額です。個展の日程が決まっていたのでその日に合わせて納品する約束で製作しました。大きすぎて車では絵も額も乗せられないので絵はこのサイズの1/3の大きさのものを3枚並べて額に入れます。額も畳よりはるかに大きいので分解式にせねばなりません。山桜を選ばれたのでとっておきの巨大厚板材を使いました。
どういう構造にするかいろいろ悩みましたが丸ナットと呼ぶ特殊なナットを額の裏から差し入れて長いボルトで四隅を組むというデザインにしました。
京都御所のすぐ近くで開かれた個展にも伺いました。大きな日本画が収まり大迫力です。実は、11月に次の個展があるのでそれまでに同じものをもう一組作る予定です。
暮れに納品した小さい方の額(といっても45cm x 72cmほどあるので十分大きいのですが)にも何枚も日本画が入って飾られてました。一番好きだったのがこの絵、売約済みでした。どこへ嫁いで行くのだろう?
- 左官おかもち
これも初もの。県内の左官屋さんからのご依頼でおかもち。最初、おかもちと言われて麺や丼などの出前用のおかもち???と思ったのですが、左官コテを収納して持ち運ぶ左官屋さん用の工具箱をこう呼ぶようです。
細かいところまでご希望がはっきりしていたので材を決めてもらって(やはり山桜に決定)、図面を書いてやり取りして修正の上製作しました。ご自分でベニヤ板を切って作ろうとされたらしいのですが、多忙で1年経っても完成しないので頼む事にした、とか。
取っ手を通しほぞにしてクサビを入れたり側面に丸い切り抜きを入れるとか、結構こだわりのデザインをご希望になったのでした。内側の側面にコテ掛けが3つ取り付けてあるので、ここに各種サイズのコテが沢山掛けられることになってます。お聞きしたら2百数十のコテを使い分けられるのだそうです、ビックリ! 工房にもたくさんの鉋・ノミありますが100種類もないと思うなぁ。手前の開いてる側に溝があるのですが、ここには自作されるコテ板が収まるようです。今度、使われている様子の写真をお願いしてみよう。
他に何脚もの椅子の修理とか、隣町の土鍋屋さんからの釜台や敷板とか作りましたが、ご紹介済みなので省略させて下さい。
現在取組中のものは、また次回に。