工房の来客・額縁

8月に入って立て続けに珍しい来客があった。家具の注文ではなく、進路として木工をやろうとしている30歳前後の若い方達である。ひとりは、高山の職業訓練校で木工修行中で卒業後の進路について思案中の若者が工房の見学を兼ねて来てくれた。今日来てくれたもうひとりは、インテリアの設計会社に勤めながら今後の進路を考えるうえで訓練校に行って職人の技量を身に付けるべきかどうか悩んでいるとのこと。 彼らにアドバイスできるようなこの分野における知識も経験もないのだが、ここ数年それなりにこの分野の知り合いを得たり個人で家具を作ってひとにそれを買ってもらうという事の入り口付近をさまよっている身として、あるいは送って来た人生の長さゆえの幾分の経験を踏まえて少しは参考にしてもらえばと喜んでお迎えした次第である。息子たちとほぼ同年輩の彼らにホンのわずかなりでも役立てればこんな嬉しいことはない。このホームページ、アクセス数は極めて少数ながら、検索で見つけたうえはるばるやって来てくれる人が少しでもいるという事が分かって、これまた感激ではある。

一方、こちらは製作中の額。

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ふたりの方からの依頼で製作中。細長い方は、個人写真集のお気に入りのページを開いた状態でこの額縁に入れられる深い額縁。 もう一方は(まだ45°で切っただけの状態)、自分で描かれた絵を入れて飾るための額。もう少しで完成予定、どんなサイズでもどんな木でもご希望の枠デザインでお作りしますよ、と少し宣伝。

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ちなみに、こうやって45度で切ってまた裏面に溝を入れます。

音響関連木工その2:ギターアンプ・ケース完成

隣町の野洲市で手作りギターアンプのオリジナル品製作やメーカー製アンプの修理などをされているGAMPSの徳田さんからの依頼でこのところ掛かり切りだったギターアンプ・ケースがきょう遂に完成した。クルミを使った本体は、アラレ組みでクラッシックに組んでみた。オイル仕上げのクルミがなかなかいい感じ。 この後、徳田さんのオリジナル真空管アンプが天板下に取り付けられ、前面に30cmほどの巨大スピーカーが取り付けられその前面はスピーカーネットで覆われる予定。ネットは編み目が大きいので内側の木が幾分透けて見えるので目立たないように濃色のオイルステインで塗装した。このところ、偶然にもアンプケースとかJBLのスピーカー台とかオーディオものを連続して製作する機会に恵まれた。これらを家具と呼んでいいのかどうかわからないが、木工品の幅が広がるのは面白くまた嬉しいものである。

ギターアンプとして完成した暁には、一段とカッコよくなるはずなのでまた写真を頂いて追加掲載したい。

IMG_6145<正面>

IMG_6152 <後ろ側>

スピーカーは、閉じた箱に入れるのではなく、このようなオープンな筐体で後ろに音が抜けるようにするらしい。

IMG_6148<ほぞ部分>

アンプとして完成して音が出る時には、是非また見て聴いてみたいものである。

 

 

椅子修理

購入して20年近いという椅子の修理を2脚頼まれていたのだが、先日修理完了。 いわゆるウィンザー・チェア系統のもので飛騨高山の家具メーカー製のものだったが、Winds 太平というその会社は既に消滅したらしい。背板を支える座面からの丸棒が損傷していたり部分的に接着が外れたりしていて、カーブした背板がグラグラの状態ではあるが、脚は極めてしっかりした状態で下半身は全く問題ない。 叩いたり引っ張ったりといろいろ苦労して背中部分を分解し、損傷したパーツを同じナラの木を使って元の形に削り出した。両端の丸背棒が背板に突き刺さる部分の丸ほぞが、10ミリ足らずの径で強度不足だったのが、共通してこの部分が破損した原因と思われたので若干元より太いほぞに変更し、元のパーツが使える部分もほぞが甘くなっているので固まった時に収縮しないエポキシ接着剤をたっぷりつけて再接着した。自分で作る家具の塗装は基本オイル塗装をするのだが、今回は元のウレタン塗装に合わせて似た色のウレタンニスで仕上げた。色調はある程度選べるのだが、3度塗り重ねても元の色ほど濃く仕上がらなかった。 木材塗装は下地の木材色と基本(半)透明の塗装材の両方の相乗効果で色やツヤ・濃さに差が出て、特に修理などではまだまだ修行が必要である。 とはいえ、親の代に入手されたという思い出ある椅子が、また毎日の使用に耐える家具として蘇った。家具修理は、作った人の考えや工作法を見ることが出来てなかなか面白いものではある。

<分解した背中部分>

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<旋盤で同じ形に削り出し>

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<仮組み>

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<塗装して2脚完成>

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