テーブル完成

ようやくウォルナット製のテーブルが完成。二本脚風で実は四本脚なのだが、脚の取り付けは、レッグジョイント金具を使ってみた。天板裏に円盤型の金具を、脚側には棒状の金具を8cmほどねじ込んで(更に側面からテーパーピンで抜け止めを施す)両者をボルトで締め付けて天板にガッチリと脚を固定するわけである。伝統技法の吸い付きアリ桟にホゾ穴を掘って脚を固定してアリ桟を天板に固定するやり方も頑丈な仕上がりでいいのだが、運搬時などに脚部分をそう簡単には取り外し出来ないのが玉にキズ、なのである。

金具を使うと手のひらに乗るような小さな六角レンチひとつで脚の付け外しや締め増し(将来的に木が収縮してもボルトを締め増しすればOK)が可能という大きなメリットがある。脚さえ外せば天井の低いワンボックスカーでもテーブル運搬は容易になる。

ということで、近江八幡市文化会館で今週からスタートしたおやじ連の作品展に以前作ったスツールと一緒に搬入して来た。毎年の恒例行事である。巨大な節が目だつ、「大節テーブル」である。

おやじ連の作品展には色々な作品が展示されるのだが、一番人気は、この爪楊枝でできた建物であろう。

彦根城や法隆寺金堂、市内歴史建造物の白雲館などこれまでの大作をまとめて見ることが出来る。大型家具製作など比較にならないほどの周到な準備と根気と長時間にわたる製作時間を掛けて完成に至ると製作者のSさんから聞いている。

テーブル製作中

昨年11月ごろから小さめのウォルナットの一枚板テーブルに手を付けている。なかなか前進しなかったが、ようやく完成に近づきつつある。この板には10cm近い巨大な節が中央にあり、最初は節を除いてテーブルの脚にでも使おうと思っていたのだが、自分用の机になら(勉強なんてしないので多分電子工作机になるはず)この節を残した一癖あるテーブルも面白いそうと思い天板に昇格したのである。

大き過ぎて鉋盤には掛けられらないので、反り返ったこの一枚板を暇を見ては手鉋で徐々に削って平面に近づけるのだが、手鉋だけで何ミリも削り落とすのはなかなかの力仕事。大面積の鉋掛けなど滅多にやらないので鉋掛けと研ぎの修行でもある。で、数日掛かりで何とかほぼ平らになったのがこれ。

合わせて、テーブル脚のウォルナット材の選択。天板に大節があるので脚もそれに負けない癖のある材にしようと巨大な割れ目の入ったこんな厚板を探し出してきた。これを脚材にしようと準備をしていたら近くに住む漆工芸家のF氏が工房にやって来た。

こんな面白い木を脚に使うのはもったいない、これには花器がいい、と工房前の木の枝とシャコバサボテンの花をちぎって来てこんな花器が即興で出来た。

そんな訳でこの材はお蔵入りして、脚材変更。もう少しまともな材を(でも癖のある部分で)引っ張り出してきて、ホゾ加工して組み立てたのがこの脚材。ヒビの代わりという訳でもないが、真ん中でふたつに切り分けて脚の間に隙間を入れてみた。まだここから面取りやら丸みを付けたりする予定だが、概ねこんな感じ。

ということで、天板(その後更に鉋掛けを続けて遂に表も裏も平らになりました)と脚が姿を現してきたので、脚の上に天板を乗せてついでに天板を濡らして塗装後のイメージを見てみたのがこれ。

ウーン、いいじゃないかと勝手に喜ぶ、の図である。

で、ようやく脚材の取り付け加工に取り掛かったのが今日である。実は、来週12日から近江八幡市の文化会館で開催される「生きがい発見フェスティバル」の展覧会におやじ連のメンバーとしてこのテーブルを出展予定である。急がねば間に合わないぞ >自分。

今年はこんなに雪が降るし、ストーブを付けても工房は冷え冷えとして、なかなか作業が進まないのです。

木工教室から

木工教室、1月はアラレ組みによる書類箱の製作課題に挑戦してもらいました。シラガキというナイフのような刃物で板に墨付けをしてもらった後(墨は使いませんが言葉は生き残ってます)ノコで細かくカットしてノミで凸凹部を墨線に従ってきれいに仕上げてもらい、底板をはめ込む溝を機械で掘ってから底板をはめ込んでいよいよ最終組み立て工程へ。

接着できたら次は初めての鉋掛けに挑戦してもらいます。継ぎ部分の寸法は少し余裕を取った分、木口を0.5ミリほど鉋で削って側面をまっ平らに仕上げる訳です。

で、晴れて無事完成。A4書類がホルダーごと収まります。

おひとりは塗装なしで無垢仕上げのまま、もう一人は濃色のオイル塗装を選ばれました。初めての木工と思えないきれいな仕上がりの書類箱が完成しました。

次回は、旋盤を使ったボールペン製作に挑戦してもらう予定。

 

ドン!と一発 和太鼓響演

2月4日に近江八幡市文化会館で開催された「ドン!と一発 和太鼓響演」を聴きに行ってきました。毎年恒例となった太鼓演奏会で、市内在住のプロ太鼓奏者の大橋さん主催の発表会コンサート。工房でもいろいろな太鼓台を作らせていただいたり、台の修理や改造をやらせてもらっているのです。

出演者は、保育園の幼い子供のチームから小学生、障がい児チーム、中学生、成人チーム、シニアチーム、最後はプロチームと年齢層も構成も幅広い素晴らしいコンサートでした。今回初めて一緒に行った孫たちは、聴き入ったり眠ったり騒いだりといつものように活発に(?)太鼓初体験を楽しみました。

この3年間に作らせてもらったいろいろな太鼓台に再会できるのも大きな楽しみのひとつ。最後のプロチームの演奏ステージでも工房のオリジナル太鼓台が複数登場してダイナミックな音響とともに密かに酔いしれたのでありました。

 

工房仕事納め

瞬く間に時が過ぎ、今年も残りわずかとなりました。29日が工房の仕事納め。12月は、珍しくなんやかやと仕事があって納品を済ませたのが29日となりました。どういう訳か、最後に手掛けたのは、どちらも自宅のすぐ近所の方からのご依頼。

ひとつ目は、色紙用の額を6セット。山桜とブラックウォルナットそれぞれで三つずつ、面取りのパターンも指定してもらいました。いつもガラスを入れるのですが、今回はアクリル板をご希望です。テーブルソーで難なく切れはするものの、断面が熱で溶けたアクリルのせいで多少凸凹になるのでスクレーパーを掛けて綺麗にするのだが、その削りかすが静電気であちこちにくっついて掃除機でもなかなかきれいに吸い取れないという、木屑とは違った難しさを実感した。無事完成と言いたいところだが、実は失敗あり。ルーターで行う表側の四辺の面取りをついうっかり、額縁の裏側でやらかしてしまった。途中で気づいて冷や汗が流れたがもう遅い。追加のひとつ分を木取りからやり直すハメに。。。

もうひとつの29日納品は、椅子の貼り替え。オリジナルのレザー生地は、長年の使用に耐えかねてみすぼらしい姿に。張替えの布地は依頼主にお好きな柄を買って支給してもらった。革張りのスツールを何脚か製作して練習したので張り作業は想定内の作業だったが、背板部分が接着剤でがっちりと固定されていたため、分解時に元の背板の木製部分がバラバラになってしまい、曲面の背板を作り直さねばならずなかなかのチャレンジ。ビフォア・アフターは以下の通り。

スポンジなども全部新しいものに交換したので座り心地もすっかりよみがえった(はず)。 実は、もう一脚依頼されているのだが(違った布地も支給済み)、張り替え済の椅子と交換で29日に受け取ったばかりで、そちらは年明けの初仕事。

年末には、自動鉋のオイルバスのオイル交換もやろうと思っていたのだが(刃の交換もそろそろやらねば)、これも越年決定。

という訳で、30日からようやく我が家の大掃除に取り掛かった。家の外回りや窓の掃除をして夜には随分前から妻に頼まれていた包丁研ぎをやっとこさ完了。明日もたくさんやることがあるぞ。

これが、今年最後のブログとなります。皆様、一年間有難うございました。どうぞ、よい年をお迎えください。

Wishing You a Happy New Year !!

 

 

 

久しぶりの積み木

先日の工房での就業体験生の学校の先生からしばらく前に積み木の注文をいただいたのだが、今日ようやく出来上がった。お孫さんへのプレゼントといういつものパターンと違い、先生のボランティア活動でお子さん相手に使われるとのこと。数学の先生でもあり、今回の積み木は全ての積み木サイズと数量の指定があり、なかなかの大作である。 出掛けた先で使うという用途にあわせてケースも持ち運び出来るように取っ手付きでとの注文となった。

ということで出来上がったのが下のオーク材の積み木。

 2段積み、総数73ピース

いつもは、このような箱入りで完成なのだが(取っ手はなくて、木の車輪や引っ張りひも付きのケースも)、今回はふた付き。

持ち運ぶときはアタッシュケース風に。

今回、自分でも気に入ったのがこの取っ手。どんな取っ手にしようか悩んでいる時にふと目の前の積み木を見てひらめいた。積み木がケースに乗っているように見えるので、きっと積み木だと思って取ろうとする子がいるに違いない、といういたずら心である。残材活用だなんて思わないでほしい(!?)

因みに持ち運び時にケースには結構な力が掛かりそうなので、いつもはアラレ組み継ぎの接着だけだが、今回は金物(木ねじ)で補強して取っ手も同じように補強しておいた。手鉋で仕上げたケースも柾目がなかなかに美しいと思うのだが、気に入ってもらえるかなあ。

木工教室スタート

11月に木工教室募集開始の案内をブログに掲載したところ、県内からおふたりの方から連絡をいただき、記念すべき第一期生として12月後半から教室をスタートできることになりました。

これを機に教室の進め方など、もう少し具体的な内容を独立した「木工教室」ページとして用意してみました。今後も意見をお聞きしながらさらに整えていきたいと思います。

来訪者も極めて限られた工房で、これまでひとり気ままな、同時に若干の寂しさも覚えながらの日々でしたが、これからリズムと会話が工房にやって来るのだと思うと嬉しくなります。

<年末に追加しました>

で、初回の製作はこれ。訓練校の授業でやった鋸の練習課題です。おひとりの方は、来年の干支に合わせて馬じゃなくて犬にしたいという事で、デザインも考えてもらいました。ひと目で犬とわかるかわいい作品になりました。12年間続ければ、十二支全部が揃うかも?

就業体験生と一週間

就業体験プログラムでやって来たN君との5日間が、あっという間に過ぎ去った。今日の夕方無事に出来上がった苦労作を手に満足げな顔つきの彼とサヨナラをした。

前のブログに書いた通り最初の2日間は馬づくりで鋸・ノミに慣れ親しんでもらい、3日目から予定通りスツール作りである。皮つき板のナラ天板と同じくナラの角棒4本からスツールを作ってもらうという趣向である。今度使う道具は、鉋。曲面も削れる南京鉋と平らな面削りが得意な平鉋のふたつを渡して、まずは天板の皮を南京鉋で削り落として耳をきれいに仕上げてもらう。その次は4本の角棒を両鉋で自分の好きな形の丸棒に手鉋で加工してもらった。

天板と脚4本をカッコよく仕上げるのにほぼ丸2日近く、辛抱強く鉋掛けをしてくれた。徐々に自分の思い描く形に木を削っていく鉋掛けは、やっていてなかなか楽しい作業なのだが、彼も鉋屑を足元に堆積させながら、集中を切らすことなく黙々と作業に励んでくれた。後で聞いてみると、一番気に入ったのはノミで次が鉋掛けだったとのこと。鋸は線通りに切るのが難しいので3番目、納得である。いくらでも写真を撮るチャンスがあったのに撮り損なってしまった。で、削り終えた材がこれである。先に完成した馬2匹も一緒に。

座板への傾斜した穴あけ(丸ほぞ穴)も初めてのボール盤でやってもらう。この穴に差し込めるように脚側の上端を穴径と同じサイズで丸く削る(丸ほぞ)作業は、手鉋ではちょっと厳しいので旋盤でやるのだが、それも粗削り部分は経験してもらった。

で、脚を取り付けた後、脚切りで高さを調整すればもはや完成寸前である。得意の手鋸で脚切りも任せとけ、の図。

最後は、仕上げのサンドペーパー掛けをしてオイル塗装をしたら遂に完成。そうそう、その前に座板裏面に今日の日付と製作者名を電動彫刻刀で入れてもらった。

上の写真の右下に見えるのは馬を作った際に切り落とした馬の顔部分を仕上げてアクセサリーとした、家族へのお土産である。

という事で5日めの夕方、定刻までに無事全てのプログラム完了したのであった。これから先、N君の成長を世界でひとつのこのオリジナル・スツールが見守ってくれであろう。

ところで、普段ひとり作業でタラタラ不規則に過ごしていた工房生活が、彼が来てくれたこの5日間実に規則正しい生活を送ることが出来た。早寝してよく寝て早起きできた(普段よりね)。N君に感謝である。また遊びに来てね。

就業体験生がやって来た

先日、県内の高等養護学校の先生が工房にやって来られた。学校行事として就業体験プログラム(就業前能力養成事業)があり、モノづくりが得意な生徒に工房で木工の仕事を体験させてもらえないかとのお話であった。二日前後ならお手伝い出来そうとお答えしたところ、押しの強い先生(?)から1週間5日間のプログラムなので、という事でお受けする運びとなった。

ひとりで切り盛りする個人工房で、決まった仕事がいろいろとある訳ではないので、工房にある道具や機械を使っての仕事内容やいろいろな木の特徴なども話しつつも、基本的には手道具の使い方の練習と簡単な木工をやってもらうプログラムで進めることにした。

17歳のN君は、趣味が鉄チャンということで電車の事なら何でも来いで、あちこちの鉄道に乗ったり、交通博物館に行ったりはもちろん、自分で電車や汽車のペーパークラフトを自分で設計して組み立てるという猛者であった。で、今週月曜日がその第1日。

工房の機械も道具も危ないものだらけ、という安全についての注意事項を説明したのち、早速鋸とノミの実習スタート。教材は、昔訓練校でやった木の馬づくりである。この木の馬、なかなかうまく考えられていて、縦ノコ・横ノコ・斜めノコの練習、それにノミの練習も出来るという打ってつけの教材である。

鋸もノミも使ったことがないらしいのだが、鋸の基本の力まずにまっすぐ前後に鋸を動かす事が最初から上手に出来るのでビックリ。いい鋸は、鋼材が固いのでヘタクソに木を切ると簡単に鋼が割れてしまうので、ホームセンターの鋸を使ってスタートしたのだが、しばらく練習したら上手に使えて来たので迷わずいい鋸と交換して使ってもらった。昔、訓練校の授業で鋸を使った時の仲間の誰かさんより、はっきり言ってウマい。

という事で、月曜の就業時間中に無事完成。火曜日にも2匹目の馬を作って作ってもらって、今日からは鉋の実習。南京鉋と平台鉋を使ってのスツール製作に挑戦中である。

金物市と木材市へ(2)

金物市の数日後、今度は各務ヶ原の平野木材で毎月一度開催されている木材市へ出掛けた。数年前まで毎週通っていた湖西の慧夢工房の松井さん(私の木工師匠です)と先般匠の祭でお会いした際に11月の市に行かれると聞いていたので、私も一年ぶりに早朝目覚ましを掛けて軽トラで駆け付けたのである。

人生の楽園というテレビ番組をご存知の方も多いと思うが、たまたま6月ごろの放送を見ていたら近江八幡市に隣接する東近江市で手作り弁当箱を作られている寺本さんというご夫婦の話だった。で、その方が弁当箱の材料を仕入れておられるのが、岐阜の平野木材でその木材市での競りの様子も放送されたのでビックリしたことを覚えている。案の定、放送以降この木材市にやって来る人がどっと増えたらしい。

この木材市では、板材と巨大な原木両方の市がたつのだが、当然ながらその板材の方に参加するわけである。午前中5時間で千を超す競りを終える必要があるのでひと競りを0.3分≒20秒以内で終える必要がある。私が買えそうなこじんまりした材など(一山単位の競りもしくは複数枚の塊を1枚当たりの値段で競り落とす)ものの10秒足らずで終わってしまうことになる。スタート時の値段で買い手がない時は、値段が下がっていくのだがその下がった値段で応札者がいるとその瞬間で競り完了となってしまう。値段が上がっていくときにも応札者の値付けの後コンマ数秒で競り終了となってしまい、瞬間的な反応で応札しないと競り落とせないという厳しい(と同時に面白い)世界(?)である。

 板、板、板

 慧夢工房のお二人も

何が何でも仕入れたいと思っている材がある訳でもなく、また下調べもせずに出かけたので、その場で悩みながらひとテンポ遅れた応札はコンマ数秒遅れで常に競り終了後となってしまい、瞬く間に1000番台へと移ってしまった。

空の軽トラで帰る訳に行かないのでウォルナットの幅広めの板(でも1.3m程度の短い)3枚セットを終了間際にゲットしてきたのでありました。1~2年後に椅子になってもらおうと今は思っているが、どうなりますか?

 本日の収穫

こだわりの手作り家具工房