カテゴリー別アーカイブ: 製作記

ギターのピックガード

いろいろな木工依頼を受けて知識が広がっていく。今度は、ギターのピックガードに初挑戦の機会を得た。ギター演奏時にピックでギター本体が傷つくのを防ぐために設けられた小さな板のことである。依頼主は、野洲市でギターアンプの修理やオリジナル品を販売しているGamps の徳田さん。依頼を受けてからしばらく手を付けられないでいたら拳銃じゃなくてギターを手に工房にやって来た。「死にたくなければ今すぐに作るんだ」というような顔つきだったので(ホンマかいな?)、速攻で製作させていただきました。

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ヒョウタンを半分に割ったような形なのがピックガード。モデルによって形はいろいろあるらしい。オリジナルの合成樹脂だとごく僅かながら静電気によるノイズがでるらしい。実は、以前工房に来てもらった際に工房にあるいろいろな木の中からお好みのを幾つか選んでもらい、既に薄板状に鉋掛けを済ませていたのであるが、その中からゼブラウッドに決定。その名の通り、シマウマのように縞状の木目が入っているのでゼブラウッド。オリジナルの形状を写してカーブを切り抜き、取り付け用の穴をあけ、端面や表面をサンディングして形を整えオイル塗装で仕上げのがこれ。

img_1273 上はオリジナル品

というわけで晴れてギターに装着された姿がこの写真。

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ウーン、カッコいいやん !!

実は、別モデルの違った形のピックガードの依頼も受けていて、こちらはケヤキで製作予定。それはまた後日出来上がってから。

 

新幹線の洋服ラック

この春から幼稚園に通い始めた下の孫の洋服掛け、4月に欲しいと(親から)言われていたのが半年遅れでやっと完成。2年半前に作ったお兄ちゃん用のと同サイズで、引き出しだけ気まぐれに少し変更してみた。 引き出し前板に取り付ける模型は、自動車がいいか新幹線がいいか本人に任せておもちゃ屋で選んでもらった。 ホントは、ドクターイエローが欲しかったようだが、あいにく売り切れで別のに決定。 新幹線模型のアルミボディーにネジを切って裏からネジ止めしてあるので簡単には取れない(はず)。 新幹線の下にはウォルナットの象嵌でレールも付けてみた。

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ちなみにふたつ上のお兄ちゃんのは、これ(完成当時)。

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ハンガー掛けと引き出し取っ手が、今回木製から金属製に。さあ、何年生になるまで使ってもらえるか?

工房来客の手作り額縁

先週末、工房で作業をしていたら突然の来客。名古屋から工房の近所に越して来たばかりという同年輩の男性F氏。たまたま工房の看板を見つけて来られたのであるが、ご自分で製作した木工品を漆で仕上げ場合によっては1メートル近い漆の作品を名だたる展覧会などに出展されたりしているという経歴の持ち主。巨大な木の塊からノミで一気に作品を削り出し、時に野性的に時に滑らかなカーブで仕上げた表面にご自分で漆を塗って仕上げるとのこと。 幾つか作品を見せてもらったのだが、全くの芸術品である。 私の木工は、基本直線と平面の構成が主でせいぜいここにR(=円や円弧)が加わった要素からなる木工品や家具ばかりだが、彼の作品は感性に従って刃物を自在に操った造形で事前の図面など書いたこともない、とのこと。今月17日から始まるBiwako ビエンナーレ展(近江八幡にて)にも漆の器を出展されるとのこと。全くの芸術家である。

最近製作した額縁を見てもらったところ、もっと自由に傷を付けたり元の木の個性を生かしたりしたらどう? との感想。という事で手元にあったひびの入った欅の板を渡したところ、手作りの巨大ノミ(7cm幅ほどの鉋の刃に鉄棒を溶接した手作り工具)でガンガンと表面に削りを入れて小一時間で野性的な額が出来上がった。定規すら使わず手書きの線を書き入れる程度で一気呵成に完成。裏面にガラスや絵を入れる溝だけは工房の機械で私が加工(見えない側)。 自由造形物を作るには絵心も必須とのことで、描かれたばかりという長命寺のスケッチを見せてもらったが、これも数十分で書き上げたとのことである。そんな訳で出来上がった額にたちまち(見ていなかったのだが数十秒で完成)野良猫の絵が出来上がった。この欅の額にオイルを塗装して出来上がったものを製作中の写真とともに以下に並べる。私の四角四面の額縁と全く違う、味わいに満ちた額である。因みに絵の大きさは、25cmx8cm ぐらい。

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img_6224 巨大ノミで掘り込み中、隣はたまたまやって来た四谷氏

2年前には、食事処中心だったあきんどの里のテナント、今ではすっかり様変わりして、革工房・木工房(私のところ)・今月中旬には新たにシルバーアクセサリー工房がオープン予定。いつの間にか工房の里に変身しているのである(食べ物屋さんは今では1軒のみ)。ひょっとして、あきんどの里の空き部屋に漆工房を構えられることにでもなれば誠に面白いのだが。こちらは工房に寄られる前に長命寺やその下の港で描かれたという大きなスケッチ。

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いやぁ、実に刺激的というか度肝を抜かれた1日でした。

 

工房の来客・額縁

8月に入って立て続けに珍しい来客があった。家具の注文ではなく、進路として木工をやろうとしている30歳前後の若い方達である。ひとりは、高山の職業訓練校で木工修行中で卒業後の進路について思案中の若者が工房の見学を兼ねて来てくれた。今日来てくれたもうひとりは、インテリアの設計会社に勤めながら今後の進路を考えるうえで訓練校に行って職人の技量を身に付けるべきかどうか悩んでいるとのこと。 彼らにアドバイスできるようなこの分野における知識も経験もないのだが、ここ数年それなりにこの分野の知り合いを得たり個人で家具を作ってひとにそれを買ってもらうという事の入り口付近をさまよっている身として、あるいは送って来た人生の長さゆえの幾分の経験を踏まえて少しは参考にしてもらえばと喜んでお迎えした次第である。息子たちとほぼ同年輩の彼らにホンのわずかなりでも役立てればこんな嬉しいことはない。このホームページ、アクセス数は極めて少数ながら、検索で見つけたうえはるばるやって来てくれる人が少しでもいるという事が分かって、これまた感激ではある。

一方、こちらは製作中の額。

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ふたりの方からの依頼で製作中。細長い方は、個人写真集のお気に入りのページを開いた状態でこの額縁に入れられる深い額縁。 もう一方は(まだ45°で切っただけの状態)、自分で描かれた絵を入れて飾るための額。もう少しで完成予定、どんなサイズでもどんな木でもご希望の枠デザインでお作りしますよ、と少し宣伝。

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ちなみに、こうやって45度で切ってまた裏面に溝を入れます。

音響関連木工その2:ギターアンプ・ケース完成

隣町の野洲市で手作りギターアンプのオリジナル品製作やメーカー製アンプの修理などをされているGAMPSの徳田さんからの依頼でこのところ掛かり切りだったギターアンプ・ケースがきょう遂に完成した。クルミを使った本体は、アラレ組みでクラッシックに組んでみた。オイル仕上げのクルミがなかなかいい感じ。 この後、徳田さんのオリジナル真空管アンプが天板下に取り付けられ、前面に30cmほどの巨大スピーカーが取り付けられその前面はスピーカーネットで覆われる予定。ネットは編み目が大きいので内側の木が幾分透けて見えるので目立たないように濃色のオイルステインで塗装した。このところ、偶然にもアンプケースとかJBLのスピーカー台とかオーディオものを連続して製作する機会に恵まれた。これらを家具と呼んでいいのかどうかわからないが、木工品の幅が広がるのは面白くまた嬉しいものである。

ギターアンプとして完成した暁には、一段とカッコよくなるはずなのでまた写真を頂いて追加掲載したい。

IMG_6145<正面>

IMG_6152 <後ろ側>

スピーカーは、閉じた箱に入れるのではなく、このようなオープンな筐体で後ろに音が抜けるようにするらしい。

IMG_6148<ほぞ部分>

アンプとして完成して音が出る時には、是非また見て聴いてみたいものである。

 

 

椅子修理

購入して20年近いという椅子の修理を2脚頼まれていたのだが、先日修理完了。 いわゆるウィンザー・チェア系統のもので飛騨高山の家具メーカー製のものだったが、Winds 太平というその会社は既に消滅したらしい。背板を支える座面からの丸棒が損傷していたり部分的に接着が外れたりしていて、カーブした背板がグラグラの状態ではあるが、脚は極めてしっかりした状態で下半身は全く問題ない。 叩いたり引っ張ったりといろいろ苦労して背中部分を分解し、損傷したパーツを同じナラの木を使って元の形に削り出した。両端の丸背棒が背板に突き刺さる部分の丸ほぞが、10ミリ足らずの径で強度不足だったのが、共通してこの部分が破損した原因と思われたので若干元より太いほぞに変更し、元のパーツが使える部分もほぞが甘くなっているので固まった時に収縮しないエポキシ接着剤をたっぷりつけて再接着した。自分で作る家具の塗装は基本オイル塗装をするのだが、今回は元のウレタン塗装に合わせて似た色のウレタンニスで仕上げた。色調はある程度選べるのだが、3度塗り重ねても元の色ほど濃く仕上がらなかった。 木材塗装は下地の木材色と基本(半)透明の塗装材の両方の相乗効果で色やツヤ・濃さに差が出て、特に修理などではまだまだ修行が必要である。 とはいえ、親の代に入手されたという思い出ある椅子が、また毎日の使用に耐える家具として蘇った。家具修理は、作った人の考えや工作法を見ることが出来てなかなか面白いものではある。

<分解した背中部分>

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<旋盤で同じ形に削り出し>

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<仮組み>

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<塗装して2脚完成>

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音響関連木工 その1

数カ月前に近所のジャズカフェ・YUGEYA のマスター川岸さんから音響関連のお題をふたつ頂戴した。ひとつが、手作りアンプを収める木のケース。 もうひとつは、最近調達した巨大スピーカーを乗せる台である。このスピーカー、JBL4344という知る人ぞ知る20世紀の名器らしいが重量がひとつで100kg 近いとのこと。

いくつもの木材の中からアンプケースは、山桜に決定。超重量級スピーカーを乗せるには相当硬くて重い材がいいだろうという事で、輸入材のブナ(ビーチですね)の55mm 厚のものを別途仕入れて使用することになった。でようやく完成したのがこれらである。

IMG_4552 完成間近、鉋で仕上げ中

IMG_4557 寸法ピッタリで安堵、カッコいい

一方のスピーカー台は、何しろ丈夫に仕上げないといけないので深めの2枚ホゾを固めに加工してパイプクランプでギリギリと締め上げて、頑丈な構造に。 90mm角の角棒で重量を受け止めるのだが、メチャクチャ重い。 また、カフェの床塗装やスピーカーの塗装とバランスが取れるように濃色塗装を希望されたので、いつも使うオイル仕上げでは不十分と考えてオイルステインで濃く塗装した上にウレタンスプレーとした。キャスターも65mm径のウレタン巻きの上等のを採用。

IMG_4561 2枚ホゾの胴付き

IMG_4598 塗装後キャスターも取り付けて完成

昨日納品も終えたのだが、塗装がまだ充分乾燥していなかったので、スピーカーを乗せた雄姿はまた後日に。

実は、並行して別の方からの注文でギターアンプケースを製作中。これはまた次回、音響関連木工2にて。

<8/4 追記>

ようやくスピーカーが乗っている台の写真を撮ったので追加。

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台をアップするとこれ。

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小引き出し修理

4月に小ダンスを納品した際に、壊れた小引き出しの修理を頼まれ持ち帰っていた。亡くなられた母親から受け継いだ大切なものだが、引き出しの前板が取れてしまい使えない状態。預かった引き出しは板の接着があちこち外れた上に、元の前板は長年の経時変化で激しく反ったりひねりが出て平らにする事はとても出来そうにない。
ようやくその引き出しの修理に手をつけることが出来た。新たにクルミの薄板を削り出して、寸法を合わせて段付き加工し、取っ手は元のものを取り外して、錆や汚れを落とした後に黒く再塗装して新しい板に取り付けた。修理が終わった引き出し4つを重ねるとまるで顔のよう。 今日、無事届け終え喜んでもらう事が出来た。

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台所収納棚を納品

昨年ウォルナットのリビングテーブルを作らせていただいた方から引き続き台所用収納棚の注文を頂戴したのだが、今週ようやく完成して納品できた。 納品時にうっかり写真を撮らせてもらうのを忘れて、厚かましくも写真をお願いして送っていただいたのがこれである。早速使いはじめていただいていることが分かり大変嬉しい写真である。

設置後

幅約1m、高さ80cmの小ぶりな棚で中央に引き出し、右に扉付きの本棚、左にはスライド棚のあるビッシリ収納可能な北海道産クルミの棚である(ウォルナット色塗装)。引き出しや扉の寸法や取っ手のデザインが固まるまで何度かやり取りをした後にこのように突起の一切ないシンプルで左右に引き手が直線で並ぶデザインとなった。

実は、2週間ほど前に本体は完成したのだが、これまた厚かましくも家具展出展をお願いし快諾を得て、納品前に名古屋往復してきたのである。工房に持ち帰ったのち、スライド棚奥に電気製品用のコンセントを取り付けてこのたび晴れて嫁入りすることが出来ました。

ちなみに製作中の写真も何枚か添付させて下さい。

材料切断

切断直後のクルミ材。板により当然ながら木目や色調に違いがあるので、組み合わせを決めるのは面白くも難しい作業。選りすぐりの美人板は一番よく目につく天板を担ってもらう。

仮組み背面

ほぞ・ほぞ穴を刻んで仮組中の背面写真。このころはまだ板単体で扱うので重さを感じることもない。計算上は完成時の重さは50kgを超えるので(未実測だけど)ある程度組み上がってくると移動困難となる。

仮組正面

引き出しと扉は、木目がつながるように木取り。扉を丁番で取り付けた後、引き出し前板を並べて立て掛け木目の確認をした際の写真。作業台においた高さ調整用のテキトーな板材の上に立て掛けただけなので左右で少しずれてますが。

引出製作中

本体の組み立てと塗装も終わり、引き出しの製作中。手前に並ぶのは引き手加工と濃色のオイル塗装を終えたばかりの引き出し前板4枚と扉2枚。

完成(オープン)

次いで、スライド棚・引き出し・扉の取り付け、上下左右前後の取り付け位置を微調整して完成。名古屋に行く直前のもの。

おなじ方から(今回は奥様が主たる依頼主のようですが)注文いただくというのは、しみじみと嬉しさ・有り難さが沸いてくるものですね。

で、次はアンプケース2題(偶然重なった)に着手。

 

小ダンス納品

ここしばらく製作を続けていた小ダンスがようやく完成して今日納品が完了した。部屋の置き場に合わせた寸法のおよそ55cm角、高さ1mちょっとの小振りなタンスである。材は北海道産のクルミを使いクリアー色のオイル塗装で仕上げ。今回のチャレンジは、扉の鏡板。調達したクルミ材の中に少しだけ柾目の板があったので厚さを半分に割って左右対称のブックマッチにした板を準備し、新たに用意したRaised panel bit と呼ばれる大型のルータービットで四辺に斜めカットを施して扉枠に掘った溝に板の収縮の影響を避けるため接着せず収めた。どんな木もある意味野性味と上品さが同居しているが、クルミは、その対比が際立った材で、そこが魅力のひとつかと思う。

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因みに木目の中にクルミの妖精を数人見つけた。

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