小ダンス納品

ここしばらく製作を続けていた小ダンスがようやく完成して今日納品が完了した。部屋の置き場に合わせた寸法のおよそ55cm角、高さ1mちょっとの小振りなタンスである。材は北海道産のクルミを使いクリアー色のオイル塗装で仕上げ。今回のチャレンジは、扉の鏡板。調達したクルミ材の中に少しだけ柾目の板があったので厚さを半分に割って左右対称のブックマッチにした板を準備し、新たに用意したRaised panel bit と呼ばれる大型のルータービットで四辺に斜めカットを施して扉枠に掘った溝に板の収縮の影響を避けるため接着せず収めた。どんな木もある意味野性味と上品さが同居しているが、クルミは、その対比が際立った材で、そこが魅力のひとつかと思う。

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因みに木目の中にクルミの妖精を数人見つけた。

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家具展に初挑戦

昨年4月に工房をオープンしてあっという間に丸一年経過した。この間、工房に来ていただいた方々や勇敢にも家具を依頼してくださった皆様にお礼し尽せない思いです。 改めてお礼申し上げます。

実は今回、家具展に初めてエントリーして初出展させてもらうことに決まったので報告します。趣味で週末木工していた何年も前からほぼ毎年のように見に行っていた「木工家ウィークNAGOYA」というかなり大規模な合同木工展の10近い企画のひとつの「木の家具40人展2016」という催しです。今週、パンフレットやDMハガキも送られて来て同時に緊張感もやって来た。ちなみに審査に合格したとかそういうのではなくて、早い目に申し込めば参加できる、ということです念のため。

DM裏

「木の家具40人展2016」というのは、毎年常連で出展されている超の付くベテランの方から、若い方まで総勢40人の家具作家兼職人が一会場にブースを並べて見て回れるという見ごたえのある家具展です。別会場では、同時に別の椅子展などの企画もあり、とても一日では全部見て回れないほど大規模な合同展です。滋賀在住の方は、関西文化圏のひとつということなのか京阪神に出掛ける機会は多くても名古屋に行く機会は概して少ないような気がしますが、(新)快速を2本乗り継げばすぐ名古屋です。手作り家具に興味の或るかた方、興味はないけどヒマのある方、是非どうぞ。

「木工家ウィークNAGOYA」のホームページはこちら

「木工家ウィークNAGOYA」パンフレットはここ

ところで出品する家具や木工品、いくつかのの在庫品以外は、まだ製作中とか図面だけとか前途洋々(むしろ多難というべき)。 気合を入れねば>自分。

 

箱モノふたつ製作中

このところ依頼を受けたふたつの箱モノをほぼ並行して製作中。 ひとつは小ぶりの台所収納棚でもうひとつはこれも小さめの洋服掛けである。 どちらもクルミを使うことに決まり、材の鉋掛け後の板剝ぎも完了し加工作業中である。クルミは、いってみれば和製ウォルナットかと思うが、色合いは違うものの板の雰囲気はよく似ている。加工心地も似ているのかと思っていたが、意外と似て非なる感触である。クルミのほうが気持ちソフトでやや乾燥肌っぽくて野性味が少し強いと思う。

台所収納棚は下記のようなデザインに決定しており、これに沿って本体部材の最終カットとホゾ加工が完了したばかりのところである。組み立て・接着までにもう少し仕上げの面取りやサンディングをする予定。中央の引き出し前板と右側の本棚扉は木目がつながるように木取りしているが、本体組み立て完了後に最終カットして寸法を揃える予定。まだもうしばらくかかりそう。写真では引き台前板と扉をただ積んで置いているだけなので少しでも揺れると板が作業台から落下しかねないので、用心のためクランプや差し金で支えている。

収納棚 20160328

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もう一方の洋服掛けは、こんな感じ。 まだ切った材を並べて置いているだけでホゾ加工もまだである。なので倒れないように作業台の谷間に置いて板の組み合わせ具合の確認中のものである。

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両方が完成するまでは、ほかの家具に着手出来なさそう。

 

手押し鉋盤スイッチ

古い手押し鉋盤の電源スイッチを取り換えた。 購入直後にオリジナルの回転式電源スイッチを押しボタン式に交換して更に大きめのパネルをその上に設置し非常時にパネルを手か膝で押せば簡単にモーターを止められるようにしていたが、さらに今回電磁接触器というリレーのようなものでOn/Off 出来るようにして見た。特段、使い勝手が変わる訳ではないが、停電時などにモーターが止まり復電したときにいきなり動き始めないようにする安全上の仕掛けである。これで刃物がむき出しで手が刃物に触れかねない類の機械は全部同じ仕組みとなった。モノタロウという通販会社で千円ちょっとで三菱の電磁接触器を売っていたのでつい買ってしまった次第。木の工作ばかりしていると時々機械もいじりたくなってしまう。

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太鼓台完成・納品完了

長太鼓用のオリジナル太鼓台がようやく完成して本日納品完了した。演奏に適した鼓面の高さと二通りの角度に変更出来るように、との注文に応じて知恵を絞り、希望に沿った(と思う)台が完成した。 角度調整の機構をボルトを使ったものにしようか、蝶番(ちょうつがい)式にしようか、とかいろいろとデザインを書いてみたが、工具なしで変更できる単純な方式に落ち着いた。 いつものプロ和太鼓奏者さんからの依頼ではあるが、実際の注文主は八幡の某有名和菓子屋さんである(詳細は少し先に了解をもらってから書きたい)。

和太鼓を載せる台なので、今回も栗の木を濃色オイルで仕上げ、さらに和風テーストを強調するため荒いアラレ組のほぞにしてほぞ先を5mmほど出っ張るデザインにしてみた。曲線で構成される太鼓を乗せ、しかも角度を変えた際にも収まり具合に問題が出ないかどうかの確認は、毎回使っている3Dデザインソフトあればこそである。傾けた太鼓を受ける板部分にはカーブを掘って太鼓の胴を受けるように加工したが、この部分のカーブなどこのデザインツールのお陰で容易に割り出すことが出来る。とは言え、台の完成は実際の太鼓(欅をくり抜いた最高級太鼓)が注文主に届いたのと同時だったので初めて太鼓を乗せる際はいささか緊張した。皮を張る際の引っ張り部分が予想外に大きく出っ張っていてドキリとしたが、ほぼドンピシャ・サイズで胸をなで下ろした。

IMG_4251 フェルトを貼り、キャスターを取り付け完成

IMG_4244 太鼓胴を受ける曲線はミニ四方鉋でコリコリと

文字塗りつぶし 実際に乗せて確認作業(完成前)

想定していた手間の数倍掛かったが、製作者としては満足の仕上がり。また腕が上がった、に違いない。かな。

 

集塵機冷却ファン

1月末ごろに集塵機モーターのベアリング交換について書いたが、あれ以来壊れた冷却ファンを取り外したままで集塵機を使ってきた。だんだん春の気配が増してきて、長時間動かしているとモーターが結構熱くなっていることに気づいた。というわけで急遽冷却ファン対策をした。 Google 先生に聞いてもモーターに直接取り付ける「冷却ファン」は見つからない。代わりにバイクのエンジン用の冷却ファンを発見。大きさもよさげ、軽そうだし、安い。ということでamazonで調達。割ってしまったファンと並べるとこんな感じ。

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このままでは、モーター軸には取り付けられないので木で軸部分を作ってみた。木工旋盤でチョイチョイと加工。

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ということで、無事にセミ手作り冷却ファンの完成。木のパーツの耐久性に自信はないが、取りあえず風を送るようになったので役割は果たしているようである。カバーを取り付けてしまうとこの派手なファンが見えなくなってしまうのが残念ではある。

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欅のダイニングテーブル

先日からケヤキのダイニングテーブルに挑戦中。 実はこのケヤキ、今から6年近く前に長さ2mほどの丸太を買い6cmほどの厚さの板に製材してもらったものを自宅の軒下で乾燥していたのである。 趣味で木工を楽しんでいたころの出来心、というやつである。その頃の写真がこれ。

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譲ってもらった方に当時(2010年4月)送ってもらった写真である。こうやって苦労して軽トラに乗せたとその時のメールに書いてある。モザイクを掛けるソフトがないのでいい加減な白抜きの顔にしてしまいすみません。

現地で製材して滋賀まで送ってもらい、我が家の駐車場で割れ防止のカスガイ(鎹という漢字を当時初めて知った)を打ち込み、狭い軒下で5年以上放置して乾燥させた(つもり)。 いかにも風通しの悪そうな狭い軒下だが仕方ない、邪魔なことこの上なしである。

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このうちの2枚を昨年工房に持ち込んでいたのだが、ようやく今月になって手を付けたわけである。一枚板でそのまま食卓に出来るほどの幅はないので2枚を矧いで天板にするのだが何しろ重い。 そもそもケヤキは比重が大きいうえに体積もあるので計算すると多分1枚40kg程になる。元の板の幅は50-70cmほどあるので鉋盤に掛かる40cmほどに直線状にカットして2枚を貼り合わせることにした。切断面を左右に並べたいわゆるブックマッチと呼ぶ木目が左右対称形となる剝ぎ合わせである。

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これは、一枚を丸鋸でカットした後で鉋盤にかけて平らな状態にしてもう一枚の未加工の板と並んでいる時のもの。ケヤキは、非常に和風テーストの強い木なので間にウォルナットの板を挟み込んで少し洋風の味付けをすることにした。で、その張り合わせ中の写真がこれである。この状態で大きさおよそ180cm x 85cmの厚さ5cmほどである。 こうなるともう一人では作業台の上で裏表をひっくり返すのが関の山、台から降ろすことも出来ない。何カ所かテッポウムシ(多分)が食った跡の指先ほどの穴があるので別のケヤキを削って蓋をした。

ということで今はほぼ完成した天板を壁際に立て掛けた状態。これから依頼された別の家具に着手するので(材木がやっと今週手に入る予定)脚の製作はしばらく先の見込みである。注文があって作っているわけでなく、納期未定で自宅用となる見込み。

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朴のエンドテーブル

昨年から頼まれていた小ぶりのエンドテーブルが完成し、2月にようやく納品できた。いろいろな樹木がある中で朴の軽さを気に入ってもらい材は朴に決定。朴は、昔から彫刻板などによく使われる強いツートンカラーの材できわめて軽く、どんな向きからの切削にも強いという特徴ある。

天板サイズが30cmx40cm のコンパクトなテーブルで足元をソファーに差し入れたり安楽椅子の隣に置いたりと自由な移動を前提にした使い方を希望されてのご注文である。1月になって本体の製作が終わり、塗装色の希望を聞いたところ部屋に合わせて濃色のオイルを希望とのこと。 念のため端材を使って何色かのオイルを塗ってみたところ、クリアー色だと普通にきれいに塗装できるのだが、濃色オイルでは、激しい塗りムラが発生してしまうことが分かった。外周寄りの白っぽい部分が特にオイルの吸い込みに ムラが出て、見た目にもよろしくないと分かった。オイル仕上げにはOSMOオイルというヒマワリ油を主剤にしたものを使うことが多いが、濃色オイルを幾つか試したが全滅。過去使ったことのある別銘柄のオイルやウレタンスプレーとかステインとか濃色のものばかり幾つか試し塗りをしたがどれもいまいち。最後に下地に木工用プライマーを先にスプレーして木への吸い込みを抑えてから塗装することでようやくムラの目立たない塗装が出来た。 写真は納品後に依頼主のご自宅でのもの。落ち着いた部屋ともマッチしたようで気に入っていただけた。

木によって全く異なる塗装仕上がりという難しさを改めて知った次第である。

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集塵機モーター修理顛末

寒波の訪れとともに集塵機のモーターからガラガラという異音が聞こえ始めた。実は昨年の冬にも同じ現象が発生し、購入先の機械屋さんに相談してモーターのベアリングの摩耗によるものとわかっていた。だが、温かくなれば消えることも多いと聞き、事実3月になったらすっかり通常状態に戻ったのである。この冬は暖冬で好調さが続いていたのだが、年を越して寒波がやってきたせいで再び異音が始まった。そんなわけで一年越しの意を決して、ベアリング交換をやることにした。

早速モーターを取り外そうとするも巨大な鉄製の羽根車がモーター軸と固着して全く外れてくれない。羽根車をプーラーで引き抜こうにも引っ掛けるところがない。これは設計がイカンでしょと愚痴を言いながら親切な機械屋さんのアドバイスに従って集塵機の一部をモーターがつながったまま分解し水平な台に据えてモーター軸を渾身の力で叩いてようやくモーターから外すことが出来た。で、モーターの分解に移るも今度は冷却ファンがやはり抜けない。こじっても軸を叩き込んでもビクともしない。不安に感じつつギアプーラーで抜こうとしたら案の定アルミ鋳物のファンが割れてしまった、トホホ。割れてしまえば諦めも付いて木の楔を叩き込んでようやく引き抜き成功(失敗だけど)。

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あとはモーターをばらして、ベアリング交換。前回(グラインダーのベアリング交換)同様、木の治具も使って引き抜きは容易。新しいベアリングは、これも前回同様袋に入れてポットの熱湯で温めれば、手でスコンとはめ込むことが出来た、やったね。

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分解ついでに錆も落として全身ペンキをスプレーすれば一見新品同様である。というわけでモーター修理完了。モーターに通電しながら回転軸を少しサンディングしたところ羽根車もスムーズに手で挿入可能となった。元通り組み立て直し試運転してみるとバッチリ静かになってめでたく修理完了!!!  ただし、冷却ファンがないので夏までに木製ファンを作るか代替品を入手せねばならない。

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実は、冷却ファンについてはサイドストーリー(?)がある。モーターの銘板に製作会社名が書かれていたのでその会社のホームページの問い合わせ欄からファンの供給をお願いしてみた。親切にも電話があり、20年以上前のモデルだが探し回った結果在庫が見つかったとのこと。ただし、直接販売できないので集塵機メーカーを通してくれとのこと。仕方ないのでまたネットで検索して今度は集塵機メーカーの営業所に電話すると再び直接には販売できないので購入した機械屋さんを通してくれとのこと。ということで再び機械屋さんに電話して事情を話し快諾を得た。これで一件落着と思っていたらしばらくして機械屋さんから見積額の連絡がきた。直径10cmほどの小さな冷却ファンが、な、なんとウン万円。この機械屋さんから中古で買ったこの集塵機の半額ほどである。冷却ファンなんて無くても多分大丈夫だし、発注掛けてないからキャンセルしますか? と優しい機械屋さんは言ってくれる。電話口で1分ほど悩んで(2分掛かったかもしれない)、結局キャンセルしたのである。需給バランスが価格を決める、とはわかっているが工業製品である、骨とう品ではない(多少、近いかも知れないけど)。前回も書いたが超高精度のベアリング、今回のデカい方なんぞ外径72mmもあるのが800円ほどである。こんな値段で売ってもらっていいのか、と思わず首を垂れる価格である。それと比べてこのファンの価格設定、英語で言えばunacceptable である。この二人(ふたつ)同じモーター内で2cmほど隣り合って力を合わせて働いてもらうわねばならないのに、いくら何でもそんな差別は許されない。というのが赤字工房経営者の屁理屈であり、意地でもある。

IMG_4019 お役御免パーツ

謹賀新年

謹賀新年。

松の内が明けた頃に遅すぎでしょ、と叱られそうだが一応本年初投稿ということでお許しのほどを。正月前後も製作に明け暮れたうえ、自宅の大掃除やら元旦から息子家族達がやって来てあわただしく過ぎ去ったこの年末年始であった。

12月末に何とか仕上げたのは、何れもお孫さんへのプレゼント用の食卓椅子とお絵かきテーブル。食卓椅子は、以前自分の孫に作ったデザインを踏襲。背板にイニシャルを掘り込んだナラ材製で、依頼者の希望で濃色オイル仕上げ。小学入学ぐらいまでは、使えるかな。テーブルは、椅子と同じように傾斜させた脚を丸ほぞでパイン集成材の天板に留めて見た。何れも年明けにそれぞれのお孫さん宅へと旅立った。これらが初出荷となった。

幼児ハイチェア2  パインテーブル

一方、初完成家具となったのは、昨年購入したアフリカンチェリー材を使った小ぶりの2本足テーブル(約110cm x 60cm)。半年ほど作業机近くの壁に立てかけておいたものをテーブルに仕上げた。久しぶりに注文外の製作である。実は、近江八幡のおやじ連作品展が毎年市図書館で開催されるのだが、数カ月前のエントリー時点で適当にテーブルと書いて提出したのである。ところが上のふたつの家具に掛かり切りで、このテーブル製作開始は年末ぎりぎりとなってしまった。そんなわけで年明け3日からいきなり残業の連続で7日の搬入日朝にようやく仕上げ塗装して午後に運び込んだ次第である。アフリカンチェリー材は、天板分しかないので下半身は山桜にしてみた。天板は一見一枚板風だが、実際は2枚を中央で張り合わせている。まだら模様の杢が、個性的で非常に面白い。作品展が終わっても工房に置くには邪魔になりそうだし、自宅で使おうかなと密かに考えている。

ACテーブル

因みにおやじ連作品展の案内はがきも貼っておきます。お近くの方は是非どうぞ。あらゆる種類の創作品があります。風力発電機なんて言う凄いのもあります。

おやじ連作品展2016

こだわりの手作り家具工房