カテゴリー別アーカイブ: 木工教室

木工教室再開!

新型コロナビールス感染拡大で4月ごろから木工教室に来られていた方達が徐々に休まれるようになり、緊急事態宣言に至って教室自体も閉鎖させていただいた。6月以降少し落ち着いて来たので恐る恐る再開している。作業机の配列も少し変更して幾分間隔も広く取るようにしてみた。

とは言え、再開された方達の新たな作品も次々と生まれつつあるのでいくつかを紹介したい。

まずは木工女子Kさんのマガジンラック。前面に依頼主のリクエストでニコニコマーク(ニコちゃんマークとも)の切抜が!

次も彼女の四方転び八角形の鉢カバー。四方転びというのは、八角形が(何角形でもいいのですが)末広がりになるような立体を表す言葉である。単なる八角形の筒ならば中学生の算数程度で角度計算できるのだが、四方転びとなるとかなり難問となる。この時代、ネットで少し検索すれば色々な人が計算表つきで作り方を解説してくれているので、まあ理屈抜きでも製作方法は分かるのである。とは言え工房初の四方転び、テーブルソーの刃を計算角度分だけ傾け、更に面が台形になるように刃に対して板も斜めに切断しないといけないので、組み上げてみるまでは正しく出来たかどうかも分からない。それでも、組み上げると見事に一発で写真のようにぴたりと接着面が合う鉢カバーが出来たのでした。キャスター付きなので重い鉢植えの移動も簡単。工夫が光ってます。

 

次は、Mさんのスツール連作。ひとつ目は、初めて角のみ盤でホゾ穴を掘り、テーブルソーでほぞをカットして組み上げた四角のヒノキ・スツール。スポンジと合皮の張り込みも初チャレンジしてもらった。ふたつ目は趣向を変えておむすび型の丸ほぞを使ったケヤキ製三角スツール(脚はヒノキ)、みっつめはまだ完成していないが同じく丸ほぞの四角スツールの予定である。

そしてコロナ騒ぎの直前ぐらいから教室に来られるようになったTさんの作品。課題作のティッシュケースもウォルナットならその次の丸ほぞスツールもウォルナットである。

女性作の家具は、やはりどこか優しく上品になるような気がするのだが、そんなことも言ってはいけないのかな、今の時代?

他にも凝った作品を次々と製作中です。完成したらまたいずれ。

木工教室しばらく休みます

誠に残念ですが、新型コロナウィルス感染防止対応で当工房の木工教室も休講しています。 皆さん、教室でいろいろな身の回り品やご家族のご希望に応えた家具などを作られているさ中でしたが、少し落ち着くまでの間、多くの方には製作途中での中断となっています。

退職後、もっぱらご自宅で過ごされているMさんが、県内に住むお孫さん達のためにと作られていたうさぎベンチを作られたのが、最後の教室となりました。お孫さん姉妹へのおじいちゃんからの愛情あふれるプレゼントが、何とか休講前に完成しました。実は、Mさんの奥様のお父上が現役時代に林業に携わっておられて、その当時伐採された杉・ヒノキを使われています。親子3代に渡るファミリーヒストリーの中で生まれた家具ということになります。

完成したその日のうちにお孫さんに届けに行かれたそうですが、コロナによる休校で家で過ごすしかないお孫さん達に最高のプレゼントだったに違いありません。実はこのうさぎバージョンの前週には、アンパンマン・バージョンも完成しているのですが、残念ながら写真を撮り損ねました。

他にも作ってほしいという注文が既におじいちゃんに届いていて、それが次の作品の予定なのですが、しばらく保留となってしまいました。そんな話を聞いているので、この写真を見ていると何だか瞼が熱くなってきます。

コロナウイルス蔓延が収まり、教室再開の日の遠からんことを心から祈ります。

教室作品2020①

年明けから少しバタバタとしていたので今頃になって今年初の投稿です。木工教室をスタートしてから今年で3年目に突入し、最初の頃からの方達は今では次々に大物に挑戦されています。メンバーも徐々に増えてきたので作品バラエティーもますます広がっています。という事で最近の作品紹介を。

  • ペーパーコード・スツール

同時に2脚のスツールを作られた教室歴2年Tさんの作品。2通りの編み方に挑戦して見事に完成。ご自宅で活躍中です。染色したペーパーコードを使われたのでおしゃれ度がとても高い作品になりました。肘掛け付きで木の耳を残したものと肘掛け無しです。

  • 台所キャビネット

こちらは木工女子Kさんの大作。知人が台所でお使いになる収納キャビネットですが、框づくりでとても手が掛かっています。木の骨格部分に同じ木の薄板をはめ込み軽量化とおしゃれ感を同時に達成。ほぞ組がとても複雑でしたが、全く間違いなしに(しかも正確な図面など書かずじまいで)組み上げ成功。素晴らしいです。

  • 台所スライド収納

そしてこちらも教室歴2年のHさんの大作。奥様に秘密で製作・完成させて驚かせたとのこと。前面扉の大パネルは、硬くて有名なブナの木ですがこれを手鉋で何時間もひたすら削り続けてこの斜めの面をしっかりと仕上げられました(もう片方は機械も使いましたが仕上げは手鉋)。スライドレールにL字状の棚板が乗っていて前面中央にはキャスターがあるので軽く出し入れできるのが自慢の成果です。

 

  • H工房チーム

経営者ご夫妻と社員の方おふたりで教室に来られて木工技術を磨かれています。このキュースタンド(玉突きのキュー)、sketchupという3Dソフトを初めて使ってから驚きの2週間程度で設計されました。若いおふたりの合同作業です。楔を外せばバラバラになって持ち運び容易なのが特徴です。

こちらは、Hさんの電波置時計2作。トチ銘木を使った贅沢時計です。時刻を示す部分も柿などを使った木象嵌で仕上げられています。少し斜めに置いて文字盤が見やすい工夫が施されています。

奥様の作品は、初めての旋盤で削り出した木の皿・一輪挿し、そして愛犬のえさ台。焼きペンで名前まで入った高級食台です。

次々と素晴らしい作品、大作が出来上がって行くのに立ち会えるのはありがたい事でもあり、同時に色々な木工知識や実践上の工夫も必要になるので工房主にとっても大変勉強になります。

 

 

木工教室から

この夏の暑さに工房のエアコンは太刀打ちできてないが、木工教室では、暑さに負けない作品がどんどん完成しています。

1.小引き出し

教室に通い始めてまだ1年足らずのMさん、筋金入りの森林女子でもある彼女の最新作は小引出を3つ備えた小箱。もちろん初の引き出し製作である。朴の木を材料に選んで、手加工メインで素敵に完成。引き出しは幅や奥行をちょうどいい按配に仕上げないと見た目とスムーズな引き出しの出し入れが両立しないのだが、ほぼ一発でうまく完成。引き出し奥のスペースが繋がっているので大きな引き出しを出し入れすると小さな引き出しが連動して動くのである。出来上がって塗装前の初の動き具合がこれ。

(当ホームページ初の動画貼り付けに挑戦、うまく行くかな?)


このあとオイル塗装してバッチリ完成したのでした、素晴らしい。

2.カッティングボード

小引出が完成した後の箸休めにカッティングボードをチョイチョイと作られました。森林管理をされている彼女自身が、チェーンソーで森から切り出した板を鉋掛けして利用。元の材のカーブを生かした造詣が秀逸。クルミオイルを塗って出来上がり。

3.アクセサリースタンド

同じく木工女子Kさんのアクセサリースタンド。友人からの依頼で作られたとのこと。8角形の台座がユニーク。

4.椅子

多分、木工教室開始以来初の背もたれ付き椅子。ビーチ材(ブナ材のヨーロッパ版かな)を自在にほぞで組まれています。背板のカーブは、バンドソーで荒切りした後反り鉋で滑らかカーブに仕上げられてます。以前作られたテーブルと組み合わせてご自宅で使われるとのこと。仕上げ塗装は次回の予定。

 

木工教室追加写真

前回の木工教室作品を紹介した直後にも、いくつか完成したものがああるのでそれらの写真を追加します。

1.折り畳みテーブル

今回は天板が折り畳み式でサイズを変えられるテーブルです。パイン集成材とツーバイフォー材を使ったやや小ぶりのテーブル。6本足のうち2本が写真のように丁番で取り付けられていて、それを広げる事で伸ばした天板を支える構造です。

2.キャリー方式道具箱

同じくパイン集成材で組んだキャスター付き道具箱。初挑戦の引き出しを4段設けて、スライドレールを使う事で軽くスムーズに出し入れが可能。外側の枠はアラレ組みで強固に組み上げ、引き出しの箱の継ぎは、こちらもアリ組み初挑戦でしたが、がっしりしていて重い工具類の荷重に耐える構造です。

毎回どこかに「からくり」を施すTさんですが、今回は伸縮式の取っ手が付いてキャスター付きの工具箱を引っ張って運べます。さらに取っ手横には得意のレアメタル磁石が埋め込まれていて金尺もくっつけられます。取っ手の反対側面には、いずれデニム生地で作る袋を取り付けて長尺の鋸なども収納可能になる予定。3カ月を掛けた力作です。これまで段ボール箱に入れた道具類を持って教室に来られていましたが、翌週からはこの道具箱が大活躍しています。

3.トイレットペーパーホルダー

ポストが完成したばかりのKさんが次に作られたのは、ご自宅用のトイレットペーパーホルダー。軸部分は、木工旋盤初トライの成果でもあります。女性らしい洒落たデザインです。ロールの上にかぶさる部分の柔らかなカーブは、外丸鉋と平鉋を使った手作業の成果です。

4. 蓋つき小箱

今年1月から木工教室に来られているMさんも徐々に難しい木工に取り組まれています。今回の課題は、工房主が昔通った職業訓練校の課題作でもあったフタ付き小箱。アラレ組みの箱本体は、これまでに経験してもらった箱づくりの延長ですが、フタ部分は、留の(角が45度で組んである部分のこと)外枠の内側に鏡板を入れるという難しさがあります。この鏡板は、2枚目の写真のように中央部分だけが盛り上がるように4辺を斜めに削るのですが、これは何を隠そう(隠してないけど)全て手鉋で外枠の溝にちょうど収まるように削ります。上手に斜めに鉋を掛けて行かないと、稜線がだれたり、削り過ぎて外枠の中で固定されず動くようになったりと難しいのですが、キレイに出来上がっています。鉋遣いがどんどん上達されています。

木工教室から

これまた久しぶりの木工教室だより。

学校の教師をされているHさん。作られる作品の何分の1かは、勤務先の学校用品、ということで脚部の部品が壊れて廃品となっていたホワイトボードを木のパーツで再生されました。再び教室に戻ることが出来てボード自身も喜んでいることでしょう。

そして折り畳み式の丸テーブル。いい出来で、もはや折りたたむことはなくなったのだとか。。。

 

続いてベテラン教室生Kさんのご自宅用ポスト。前方の郵便物取り出し扉中央の凹みには、このあと名前を焼き付けたタイルが収まります。しっかり鍵も掛かるんです。下方の透明窓からは中の様子が分かり、郵便が入っていれば一目でわかる工夫がされています。全て20mm以上の厚材で頑丈に出来ています。また、見た目以上にあちこち凝った作りになっています。

そして今年から来られている女性の力作。カッティングボード3枚。それに知人に頼まれたというキャッシュボックス。残念ながら仕事の都合でこのキャッシュボックスが最後となりました。

完成写真を撮り損ねた作品は、また写真をもらってからご紹介したいと思います。

 

教室から(今年の新人)

2018年1月からスタートした木工教室ですが、今年の年明けとともに新しく加わってくれた方たちでメンバーも倍増しました。最初に挑戦してもらったのは、ノコギリ練習課題の馬づくりです。4人の方の4匹の馬。縦・横・斜めにノコでまっすぐ切る練習です。

次は、A4用紙が楽に入る書類箱の製作。ここでは、上端留五枚継ぎという伝統的な組継ぎを題材にノコギリ、ノミ、それにカンナといった代表的な手道具の練習と共に墨付けの基本を学んでもらいます。ほぞ部分の墨付けに使うのは、伝統的な加工法ではケビキを使うのですが、ケビキの使いこなしはなかなか難しいので教室ではケガキゲージという超便利な墨付け道具を使ってもらいます。これは、一度使うとこれ無なしではやっていけないほどハマる道具です。

ホゾ加工を墨付け通りに加工するのはなかなか難度の高い加工なので、仮組をした段階ではそれなりに隙間があちこちに出来たりしますが、はたがね(小型クランプ)で締めあげ、残った隙間には木の粉をノリで練ってふさいだ上、手鉋で丁寧に仕上げると、驚くほど立派な家具の完成です。

3つ目の課題として、ティッシュボックスに挑戦してもらっています。書類箱の組継ぎと違って、45度で切った留接ぎという接合なので接着する際には、四辺をバランスよくクランプで締めて行かないと四隅をピタッと合わなくなってしまいます。4枚の板の8辺を45度に仕上げるのは、このような留削り台を使い手鉋で斜めに仕上げてもらいます。ティッシュペーパーの箱サイズは、メーカーによってかなり幅があるため、ご家庭で普段使われているサイズに合わせて調整してもらっています。

先行しているおふたりのが、まず完成したところです。木工をスタートしてふた月経過すると、このような加工が手道具だけで出来るようになります。

 

教室から(ベテラン組)

前回ブログをアップしたのは昨年末だったので、ほぼ2ヵ月半ぶり となってしまいました。まずベテラン組の皆さんの作品紹介をしたいと思います。ふた月余りの間にいろいろなものが完成しました。

1.折り畳み脚の屋外用小テーブル

栗の木を使った力作の小テーブルです。毎回何かの新仕掛けを必ず設計に入れ込むTさんですが、今回は折りたたみ脚に挑戦ですね。小さめの天板に四角い脚を通す穴が開いていて脚の先端が顔をのぞかせるのが洒落てます。持ち上げても脚が固定されるよう得意の磁石仕掛けが施されています。さらに折りたたんだ時にも脚が勝手に動かないよう、ここにも磁石で折りたたんだ脚を固定しています。濃色オイルで塗装した栗がとても素敵です。

脚を立てる際の動画もあるのですが、編集してサイズを縮めないとアップできなかった・・・。またいずれ。

2.水槽カバー

滋賀県で知らない人のいない飛び出し坊やに琵琶湖のシルエットを背景パネルにした水槽カバーを作ったHさんです。上下の桟にはきれいなタイルも埋め込まれています。水を入れた水槽を置くとご覧の通り。

3.看板ふたつ

知り合いの方から依頼を受けて看板をつくられたベテランKさんの作品です。女性らしい実に丁寧な作りで、依頼者からとても喜んでもらえたそうです。木の色と白く塗装した文字が実に上品な仕上がり。これらの文字を彫刻刀で掘り込むだけでも随分時間が掛かりましたが、その甲斐がありました。

4.スマホ・タブレットスタンド

こちらもHさんの作品。お使いのスマホやタブレット端末、それにリモコンなども並べて置けるように工夫されています。

5.座卓

ブナ材を使った大きめのご自宅用座卓です。脚はボルトで取り外しが効きますので使わない時には分解して片付けられます。耳付きで野性味も感じる色調のブナの仕上げで落ち着いた雰囲気を醸し出しています。幅広材でやや反りのある板だったので天板を平らにする際に厚さを残すため普段見えない天板裏には多少平らでない部分を残すなどして工夫されています。

3人とも3月に入って新作に取組中です。完成をお楽しみに。

 

木工教室から

木工教室から今年最後の作品ご紹介。

まず、Kさんの作品2点。両方同じ程度の大きさのスツールですが、ひとつは肘掛け無しで座面が開閉式になっていて座面を持ち上げるとこのような収納スペースが現れます。

もうひとつは、肘掛け付きで座面は固定ながらやはり座面下に収納スペースがあり、前面から出し入れ可能です。細部にわたって非常に丁寧な作りで女性らしい細やかさと大胆さを兼ね備えたステキなスツールです。

肘掛け部分には、特徴のある木材部位を利用して個性的です。丁寧にサンディングしてあるのでヒビ割れの部分も指にやさしいのです。

一方、こちらは木工教室歴1年になるHさんのコーナー棚。ホゾとホゾ穴加工をものにして、キレイに組み上げられました。フローリング材を利用した棚板は、これまた初めてのダボを使った固定で木ねじ類は一切利用していません。ご自宅のテラス・コーナーにピッタリと合っていい雰囲気です。

この12月になぜかほぼ同時に3名の方から教室への申し込みがあり、年明けから木工をスタートされます。春ごろには、基本を身に付けて、ひとりひとり個性あふれる家具の製作を始められるようになるかと思います。その階段を一緒に上がっていけるのは、工房にとって大変光栄なことです。

今月の木工教室

今月の木工教室で完成した、ふたつの力作を紹介したい。まずこちらは、3カ月の製作期間を経て完成した、栗材のログハウス風ポスト。

製作者のTさんは、毎回オリジナルの工夫や仕掛けを注ぎ込まれるのだが、今回のポストも創意工夫の塊である。①投入口(写真の屋根板のすぐ下の正面の高さ5cmの部分)は手で押すと開くのだが、手を離すと自動で閉じるようにレアメタルの強力磁石を埋め込み、郵便物の投入が終わればパタンとしっかり閉じる。②大きな郵便物の場合は屋根板を持ち上げて、そこに設置された可動式の滑り台のような部分を滑らせて投入できる。この滑り台は重さが掛かると下に傾き、投入が終わるとばねの力で元の位置に戻るという仕掛け。

③取り出し口の扉も凄い。下の写真で扉部分に四角の取っ手が付いているのが分かると思うが、この取っ手をある決まった複雑な動きをさせることによってはじめて開くことが出来るのである。些かアイディア倒れなのは、この扉を開かなくても屋根部分を開けば中身を取り出せるのだが、それは秘密にしておこう。

一方、女性教室生のOさんの大物家具は収納付きスツール。腰かける天板部分を開けば、収納スペースが現れる。女性らしい気配りは、この天板を開く際に開きすぎないようにストッパーの役割の金具を設け、さらにソフトクローザーを取り付けて、閉じる際にも優しく受け止める仕掛けとなっている。素晴らしい。

もうひとりの方の屋内用自転車スタンドも出来上がったのだが、自転車を掛けた状態の写真が未入手である。また、後日。