カテゴリー別アーカイブ: 製作記

テンセグリティー・テーブル

台風10号が近づいてきて一気に暑さが引いた今日、前から気になっていたテンセグリティー構造のテーブル模型を作ってみた。テンセグリティー構造というのは、「圧縮材が互いに接続されておらず、張力材とのバランスによって成立しているような構造システム」という事らしいのだが、ネット検索の最初に出てくるこんなサンプルが分かりやすだろう。

針金で出来た上の三角と下の三角ふたつを4本のヒモやゴム糸(3つの角と中央を結んでいる)でつないでいるのだが、4本全て張力だけで上の三角を支えている。

で、この構造を家具に当てはめればどうなるかということで考えてみたのがこれ。天板サイズが、15x20cm程度のヒノキの端材で作った小さな模型である。

天板と十字脚にそれぞれに「コ」の字状の部品を取り付け、その「コ」の字中央の穴を通したひもで連結し、更に天板の4か所から釣り糸で真下の十字脚の部分と結び付けている。写真では、多分よくわからないので動画も貼り付けておきます。

テーブル下部構造と天板構造の間をこのように、ひもと釣り糸の合計5本で吊り下げて(実際は吊り上げてる訳ですが)、全て張力だけで支えているので、剛構造にはなり得なくてこのように天板がユラユラ揺れるけど、それなりの強度は確保出来ているので天板上に物を乗せても問題ない訳ですね。

これを実寸に拡大したような家具を欲しいと思う人は、酔狂な例外を除いて存在しないと思うが、そんな酔狂な方が、もしおられましたらご是非連絡お待ちしてます。その時は、ヒモじゃなくて鎖とかピアノ線を使うことになると思います。それでもユラユラは止められないと思いますが。。。

 

山桜のダイニング・テーブル

工房近くにお住まいのご夫婦の依頼でダイニング・テーブルを製作した。これまで使われていたテーブルは、おふたりに戻った生活にはもはや大きすぎるので、小さめのサイズでとのご依頼である。

これまでにも幾つかの家具をを山桜でお作りしたことがあるので今回もすんなりと山桜に決定。いつもお世話になっている材木屋さんに注文して45mm厚の立派な山桜が届いた。よく使う27mm厚の小径木と違って幅50cmほどもある良材である。実は,38mm厚を注文したのだが、テーブル天板に向いた在庫がないという事でこの材を送っていただいたのである。

木の芯の部分が通っている柾目板なので中央に割れが入っているが、乾燥時の反りを取るためいずれにしろ中央付近で一旦切断する。天板に使う部分と脚に加工する部材を木目を見ながら決定してカット。天板を作る板3枚を木取りした。

若干ねじれた板をねじれの中間ぐらいで平面になるように、手押し鉋に慎重に幾度も通す。出来るだけ厚い平板を取るための工夫である。

木工教室や学習机、ベッドでだいぶ鉋刃を酷使したので、途中で手押し鉋と自動鉋の鉋刃も研ぎ終えたものと交換。切れ味がよくなったところで最後の鉋掛け。3枚の板を矧いで天板とする。

脚は4隅に置いたものにしてほしいというご依頼なので、天板への取り付け方法は、幕板に専用金具を使って脚を取り付ける方法に決定。ほぼほぼこんな感じ、上下逆ですが。脚をほぼ目いっぱい外寄りに取り付けたので天板は小さめでもいざという時には多人数で周りを囲んで使えます。

脚も角を丸く面取りして取付ボルトを埋め込みます。

ほぼ柾目の厚板には縞杢も入っていたのでオイル塗装をすることで一段と杢の映える天板となったのでした。事前に了解を得て、一ヶ所小さめの節も残しています。

カーブ付けや面取り、脚取り付け、オイル塗装と何やかや作業を続けて無事完成し、ご希望のお盆までに滑り込みで搬入いたしました。

やや重めの山桜の厚板を使ったのでちょっと重くなってしまったけど、まあ滅多に移動しないだろうからお許しください。

気に入っていただいて、一安心。

地産地消で孫のベッド

一昨年の台風で近江八幡の里山に生えていた檜が根ごと倒れた。島学区に住む高校時代の同級生Y氏がその檜を使わないかと声を掛けてくれて、彼の誘いでその裏山の檜を切って運び出してから既に1年近くになる。チェーンソーで切らせてもらったり、彼が予め切っていた板材も大量に頂戴したのだが、その時のいきさつは先のブログに書いたとおりである。

彼が使う巨大まな板などに少し使っただけで乾燥が進むのを待っていたのだが、コロナ禍のなか木工教室もしばらく休むことになり時間も出来たのを機に市内に住む小学生の孫用のベッド製作を始めたのである。もっともベッドを息子夫婦から依頼されたのはもう何年も前である。

チェーンソーで板状や半丸太状に切った檜は、製材所の帯鋸で平らにした板と違って平らに板にするまでが何しろ大変。工房にある細刃の帯鋸(バンド・ソー)は、通常の板を切るには何の不足もないが面が平らでないチェーンソー材から平板に切るのはすこぶる大変であった。

木の体積の半分近くがおが屑になったのではないかというぐらい切って切って鉋盤で削って削って、何とか平らな板を作り上げては、ヘッド部材に少しずつ加工していった。

管理されて枝打ちされた檜ではないので至る所節だらけで、目立つところは節を避け、乾燥割れを取り除き、板を貼り合わせたりして、何とかヘッドボードとフットボードは、節無しで出来上がり。

この両ボードをつなぐ部材は長さ2mほどの丈夫な厚板が必要(マットレスが乗りひとの体重も丸々掛かる)なのだが、大きな節を避けての2mの厚材はどうしても取れなかった。大きな節があるとそこで木が曲がったり(後日曲がってくる可能性も高い)節がポロリと抜けて強度的に持たなくなる可能性もある。仕方ないのでこの長尺材だけは、製材したナラを使った。

という訳で本体がほぼ完成。

ここにスノコ状のマットレス受けを取り付ければいいわけである。スノコにする材も結構な枚数が要るので節を避けてはとても出来ない。そもそもマットレスを置けば見えなくなる部材なので気にせず節材も大切に使わせてもらう。

この写真は、板を並べて置いてみた状態。完成までもう一歩なので、完成イベントはベッドの持ち主一家に手伝ってもらわねばならない。ということでスノコのネジ止め作業は息子一家に委ねて遂に完成。

このベッドの設計、無論私ではあるのだが持ち主の樹君(小4)の意見を大きく取り入れている。ヘッドボードには、半分は本棚を、残り半分はトミカの棚を作ってほしいという厳命が下りていた。なので最後にトミカの棚を取り付けたのでありました。

下が、彼の部屋に運び込んでマットレスも載せて本当に完成したの図。

トミカの陳列も無事なされたのでした。

これまで親と一緒に寝ていた彼は、ベッドが出来てもすぐには自分の部屋で寝なかったらしいのだが、1週間ほど経って遂に檜の香りに包まれて一人寝出来るようになったと聞いております。よかったよかった。これから何歳になるまで使ってくれるかなぁ? 大人サイズなので、一応一生ものと思ったりもするのだが(なのでトミカの棚は取り外し可能にしてある)、むろんそれを見届けることは爺ちゃんには出来ない。

 

山桜の学習机

小学生の学習机を作る機会をいただいた。学習机なら丈夫で気品があって明るい色調の山桜で作ってみたいと以前から思っていたのだが、いくつかの木材サンプルをみてもらった中から山桜の木に決定した。

脚のデザインなどを変えて3通りほど書いた提案から気に入ったものを選んでもらい、それをベースにさらに希望を聞きながら最終デザインが決定した。机の下部奥に収納スペースを設けるため後ろ脚を幅広の板脚にして、棚板を2段置けるようにした。棚上段は、金属ダボを付け替えれば高さも変えられるように工夫。

まずは、手持ちの山桜の材を立てかけて木取りの検討から。節のない木目のそろった板を選んで天板に。節があってもまっすぐな木目の板は、節を避けて前脚へ、といった具合である。

必要サイズより少し大きめに木取して鉋を掛け、数日シーズニングして落ち着かせてから最終の鉋掛け。

左右の脚のほぞ加工をして・・・

天板は、板3枚の配列に悩みつつも矧いで一枚の板に接着。

引き出しは、丈夫なアリ継ぎ。

幅広な引き出しにしたので左右の間隔を変えられるように仕切りは可動式。引き出しの前板を取り付ければ、引き出しはほぼ完成。

机本体の組み立て・接着後に引き出しをスライドレールで取り付ければ、ほぼ出来上がり。

ランドセル掛けの要望があったのでキノコのような部材を旋盤で削り出して机の側面に取り付けた。

最後にオイル塗装を2回行い艶やかに出来上がり。

いよいよ、引き取りの日。この机を使ってくれるHちゃんがお父さんと一緒に京都から引き取りにやって来てくれた。製作途中の経過は写真付きで何回も報告しているので、彼女も大体のイメージは持ってくれている。幸いすっかり気に入ってくれたのでほっと安堵したのでした。

取りに来てくれた翌日が彼女の9歳の誕生日と事前に聞いていたので、机を作った際の山桜でペンケースを作って誕生プレゼント。それを手に持ってくれてふたりで記念写真。作った側も使ってくれる彼女もニコニコ顔でハッピーな瞬間。

実は、工房に来てくれた時に手紙を持ってきてくれていたのです。その場で読もうとしたら後で読んでといわれたので、帰った後で少しドキドキしながら封筒をあけたらこんなかわいい手紙が入っていた。

「世界で一つだけしかないつくえです。一生使いたいと思います。」だって。涙で字が霞んでしまう。ありがとう~。実はHちゃん、数十年前に同じ職場で苦楽を共にした今は亡き親友のお孫さんなのである。幾重にも嬉しい。

(写真や手紙の掲載は、了承いただきました)

久しぶりの積み木

お孫さんの誕生日プレゼント用に積み木を、と昔の同僚から1年ほど前にを注文をもらった。幸い忘れることもなく、先月製作開始。

積み木は、3cm基尺で作っているので最小寸法は3cm角のサイコロ状態の小さなパーツ。テーブルソーで切る際には指先1cmほどのところを刃物が通るので安全治具を使うもののなかなかに恐ろしい。3cm径の丸棒を作るのもノギスで頻繁に寸法を取りながら削り過ぎないよう神経を使う。

ホワイトオークの厚材から50個近いパーツを切り出して、サンディングして、ケースも作ってと思いのほか手が掛かるのである。今回は、ケースに車輪もとリクエストを受けたので木のタイヤも取り付けた。

で、10月2日の誕生日の数日前に滑り込みで納品完了。積み木で遊ぶ可愛らしい写真を先ほど頂いた。工房で作る木工品の最も若い利用者である。この先、小学校に入るぐらいまでは、遊んでもらえたら嬉しいなあ。子供の創作欲を刺激して指先が器用に使えるようになる効用もあるに違いない?

小嶋さん、どうも有り難うございました。

私の初孫が生まれた9年近く前に作ったのが初積み木だが、工房開設以来多分10数セットしか作っていない。年に数セットがちょうどのペース。お孫さん用に今から予約を、という方にだけ年に数セット限定でお作りしますよ。と、超低空営業。すみません修行不足です。

スプーンとお箸

このところ注文をこなすのと週2日の木工教室で日が過ぎていき、自分の作りたいものになかなか手が付けられない。というのは、言い訳なのだが、久しぶりに小物を作った。

次男のところに今年3月第一子が生まれたのだが、子・孫通じて初の女児。その孫の離乳食がそろそろ始まるというではないか。爺ちゃんとして何か作ってやらねばならぬ。ということで離乳食スプーンに挑戦。

取りあえず、材料は導管の少ない材のカエデと山桜を選んでみた。カミさんと相談すると親が持って離乳食を口に運ぶタイプの長めの丸いスプーンと、スプーンの背で食べ物を押しつぶしやすい背の平らなスプーンがいい、という。更にこの先赤ん坊が自分で持って口に運ぶ短い湾曲したスプーンの3つを作ることにした。

という訳で山桜から長短ふたつのスプーン、カエデの細い枝材から背の平らなスプーンをざっくり掘り出した。最近、グリーンウッドワーキング(切ったばかりの柔らかい生木を使う木材加工)でスプーンを作るというのがあちこちのワークショップで凄い人気らしい。このカエデは慧夢工房のストーブ用の生木だったのだがもらって数カ月経つうちすっかり乾燥して硬くなってしまった。なのでグリーンウッドとは呼べそうにない。

近所に住む漆作家の藤井さんの影響で、去年から拭き漆も見様見真似でやるようになったので、これらのスプーンも拭き漆を施した。

最初に塗った時は、このような艶のないムラだらけの仕上がりだが、5度6度と塗り重ね、時に表面を研いでから塗り重ねていくうちに味が出てくる。多分、7度ぐらい塗り重ねたと思うのだが、これで完成。

離乳食に使うには、ちょっと地味すぎるというか渋すぎる気もするが安心安全な食器である。生まれた時から漆器に親しめば、きっと生涯漆器を側で使ってくれるかも、という期待も込めて爺ちゃんからのプレゼント。

大阪に住む孫娘に昨日届いて、さっそくぺろぺろ。お爺ちゃんの愛情たっぷり注いでるから口当たりいいでしょ。気に入ってくれたようでしみじみ嬉しい。

ところでスプーンに先駆けて、お箸にも挑戦。6年ほど前、訓練校での箸づくり(漆塗り実習とセットだった)で作って以来である。木工教室の一人がお箸を作りたいという事で、同時に作ったのでした。

これにも拭き漆を重ねたのだが、ちょうど藤井さんが工房に来た際に根来塗りの巨大な器を作り始めているという話に刺激を得て、お箸の1組(妻用)に根来塗り(もどき)を施してみた。さらに拭き漆の箸には、銀箔張りも初挑戦。薄すぎて魚の形がうまく貼れず、おまけにこすって貼り付けようとした際に一部がはがれてみっともないが、まあそれなりに味がある、という事にしておこう。1週間ほど前から夫婦でこれらを毎日使っている。痛んで来たらまた漆を塗ればいいので、一生使えるかも?

右のスプーンは、数年前に彫ったスプーン。木固めエースという食器に使えるウレタン塗装を当時塗ったのだが、数年使っているうちに剥げてきたので、去年軽くサンディングしてから拭き漆を数回して蘇ったもの。頻繁に使っているが、漆は実に丈夫。因みに箸ケースは栗。いつぞや出展用に作った際の売れ残りである。

台づくし

最近、すっかり街の木工屋さん的存在に落ち着きつつある私の工房だが、このところ家具ならぬ台の依頼が次々と舞い込んで来た。

1.太鼓台

これはまあ、お陰様で木工房YZの看板商品(?)となりつつあるかも、です。以前報告したプロ和太鼓奏者Oさん依頼の三角台。今月25日の和太鼓発表会で晴れ姿を見せていただいた。かれこれ4~5年台の修理や新しい台を作らせてもらったので、覚えのある台が他にも登場して、ひときわ嬉しく聴いたのでした。下の写真で太鼓を一番下で支えている台ですね。

これに続いて、安土信長出陣太鼓チームから依頼いただいた2台目の太鼓台も先日納品を完了。基本的には、その前に納品した1台目と同じだが、見本の台と同じ厚さで作った1台目は重すぎて、運ぶのが大変だったので次は極力軽くして欲しい、ということであちこち板厚を薄くしたのでした。キャスターを支える部材も薄くしてプレート式が使えなくなったので(プレートの方が大きくてはみ出す)、ねじ込み式に変更。

また、Oさんの紹介で京都在住の和太鼓奏者の方からも太鼓台を依頼されていたのが、ようやく完成目前。下の写真の左側の桶太鼓と右側の締め太鼓をベルトで吊るす形状の折り畳み台である(下2枚目)。小さな締め太鼓の方が鉄材が多く使われていて、はるかに重いのでそちらは貫を上下に設けて頑丈な構造にしてみた。

 こんな感じ

2.トロフィー台

自動車の改造コンクール(正しいかな?)の賞品トロフィーが何とアルミホイルを切断したものらしいのだが、それを乗せる台を作ってほしいという注文を頂いた。これは昨年納めた台にそのトロフィーが取り付けられたアワード。わかる人にしかわからなさそうなフォルムだが、何やらカッコいい。

という事で、今年も再注文いただいた。山桜を使うことになっているのだが、国産の山桜は大木など滅多にないので細い板材のしかも反りが大きく入っている部分は中央で切ったりして、更に色合いや木目の組み合わせを考える必要があり、単純な四角い板を作るだけだが、思いのほか難しい。

こんな風に40cm角の板10枚分を作るため30枚ほどの板を色々と取り替えながら組み合わせを決めた後に接着し、平らに鉋を掛けて面取りをする訳である。完成したのがこれ。この先、どんな車の持ち主のところへ行くのだろう?

3.カード台

お子さんの結婚式でテーブルに並べるカードを立てるスタンドを作ってほしいというお目出たい依頼を受けた。参列者に持って帰ってもらえるようなシンプルな無垢のスタンド、という事でこうなった。

これは、試しに工房の案内ハガキを立ててみたところ。実際にはもう少し小さいカードらしい。延べ100個以上、積み木かジェンガみたい。

4.万年筆陳列台

これも、以前書いたので省略。

こんな風に台というのか、スタンドというのか、立て続けに作らせていただいた。まあ、確かにこういうカスタム注文、受けて作る工房なんて多くはないだろうなあ。存在価値、ここにあり! かも。

ペン陳列台の製作

私の工房の注文主は、基本的に市内あるいは近隣の方が殆どなのだが、ごくごくまれに遠くの方から依頼をいただくことがある。曲りなりにホームページを構えて製作記録のような感じで作品紹介やブログで製作時の苦労話を書いたりしているので、それを偶然に検索などで見つけるという(検索で上位に出てくるとは到底思えない)、私にとっては奇跡のような出来事が重なって、県外からの問い合わせメールを年に数回頂くのである。その奇跡の記録。

今回のペン陳列台の依頼主は、何と東京で文具店を営まれている方からであった。私が時々旋盤で作るボールペンや万年筆を陳列するために作ったペン陳列台の写真をホームページで見つけ、興味を持っていただいたらしい。電話やメールのやり取りを数回重ねて、寸法や使用材(山桜)が確定し、製作を開始。工房にとっては、大量注文ともいえる1ダースもの陳列台である。

偶然、このころにいくつか重なった注文で山桜を選ばれる方が多く、在庫も払底しいつもの材木屋さんから山桜が(私にとっては)どっさり届いた。理想を言えば幅30cm以上で真っ直ぐで反りもなく節が全くない板材が欲しいものだが、そんな木はまず存在しない。大なり小なり節や割れ、曲がりや反りがあり、幅も20cm足らずからのこのような板から製作物に合わせて適当なものを選ぶわけである。とは言え今回の山桜小径木ながら山桜らしい色合いの癖の少ない上材ではある。

 

今回は、台幅が18cmなので適当なものを選んで貼り合わせなしの1枚板だけで1ダース揃えることが出来た。

上記の図面のようにペンを乗せる半円状の掘り込みが連続する薄い受け部材を全部で2ダース作らねばならないが、それだけの数量の半円(全部で360個!)をキレイにカットするのは手作業では、容易ではない。ドリルで開けるかルーターの丸ビットで開けるか、思案のしどころではある。無い知恵をいろいろ絞って、板を2枚並べて板の境目にドリルで穴をあける(すなわち半円を2個同時にあける)治具を作ってオマケに一度に数枚重ねて掘るという奇策を思いついた。

というような苦労を重ねつつ、部材の準備ほぼ完了。工房のペンを数本置いてみた。

台は、ガラスケース内に陳列した際に商品が見やすいように傾斜をつけて欲しいとも言われているので傾斜カットした脚も準備し、これらの部材を定位置に取り付ける治具も考案して無事組み立て接着し、オイル塗装して並べてみた。

何とか、滑り込みで納期に間に合って、お江戸に発送出来たのでした。お客様に台が届いたその日のうちに万年筆などが並べられた写真もいただいた上、「とても素敵な仕上がりで、スタッフ一同感激しております!」という大変嬉しいご連絡までいただきました。職人冥利を感じる一瞬です。高級万年筆などが200本近く陳列されたド迫力です、あな嬉し!!

因みにこの東京の文具屋さん、「たがみ文具店」という品ぞろえ豊富でオシャレな文具店です。昔はデパートなどに行くと文具品売り場に行くのが好きでしたが、近江八幡には大きな文具店なんて無いし、デパートもまず行かない。。。東京にお住いの方、是非訪ねてみて下さい(学生時代の同級生ぐらいしか東京在住でここ見るひといないか?)。私も東京に行く機会があれば(滅多にないのですが)是非行きたいものです。いつの日か、木工房YZの手づくりペンも何本か置いてほしいなあ。。。

太鼓台のお題③つづき

3月に「太鼓台のお題③」と称して太鼓を乗せる三角台の試作台について書いたのだが、続編を書くのをサボってしまった。先月には、1ダース全てがようやく完成した。

こんな風に1ダース分の材料を用意して、今回の三角形のクランピングが段取りよく出来るように治具を作った上で次々と接着していくわけである。

一番上が、製作承認をもらうための試作機で、そのOKをもらった後で残り11台の製作を進めた。最後にウォルナット色に塗装した上で、下部に3個のキャスターを取り付ける。

最後に太鼓に当たる部分にフェルトを張ればようやく完成である。

デビューした暁には、この写真に写っている太鼓の一番下の白っぽい台の後継者となるはずである。

椅子の籐を張替え

工房の近くにお住いの方の依頼で椅子の張替え修理をしました。カリモクのしっかりした椅子ながら長年の使用で座面の革張りはそれなりに痛み、背中の籐の編み物もかなり破断した状態。

座面の張替えは、これまでに結構な脚数をこなし経験も積んだのでそれなりの自信もあるのだが、籐の張替えは今回が初。以前、知人から近江八幡市内に籐製品や張替え用の籐材料を扱う会社があると教えてもらい、いずれ籐張りのスツールでも作ろうとその会社を訪れて張替え方法をそこの職人さんに教えてもらい材料も仕入れていたので、この依頼を受けたとき即答で請け負ったのでした。

四ツ目編みという幅2mmほどの薄い板状の籐を4mmピッチで縦横に編んだもので、手持ちのカゴメ編み(縦横斜めに編んだもの)とはタイプが違うので同等品を仕入れて作業スタート。

最初に、破断した籐の除去。これがメチャクチャ大変。背中部分の板材の溝に籐がはめ込まれているのだが、その溝の中にタッカーが(頑丈なホッチキスの爪ですね)、ビッシリと打たれていた。籐屋さんから稀にタッカーが打たれている場合があると聞いていたのだが、まさにそのケース。深さ5-6mmの溝の底のタッカーを外すには、ドライバーのような尖った工具を使って溝を潰さないよう慎重にひとつづつ抜かないといけないのである。

因みにこの籐の素材は、幅2ミリ厚さ厚紙程度で、例えれば爪楊枝を平たくプレスしたようなものなので指先で曲げればいとも簡単に折れてしまう。これを編み物にしてしっかり張り込むことで十年や二十年は持つというのだから、先人の知恵は凄まじい。

ロール状に巻いた籐の編み物を水に浸して柔らかくしたうえで、綺麗に掃除した溝に少し細めの丸芯(籐の丸棒)を当ててクサビで少しづつ打ち込んでいく。溝に沿ってきれいに打ち込み終われば、この仮の丸芯を取り外した後に、ボンドを塗った上でジャストサイズの丸芯を再度打ち込むわけである。

張り終えた直後は、まだ湿気を含んだ籐が幾分フニャリとしているが乾燥すれば障子張りと同じように力強くピンと張った籐に変身するのである。

あわせて椅子の座面も張り替えれば、無事修理完了。随分遅くなってしまったが、左義長まつりまでにというご希望に辛うじて間に合ったのでした。