最近の製作(24年12月)

今年も残すところあと3時間足らず。我が家の大掃除も何とか先ほど終えて、最後の製作報告を書いて今年を締めたいと思います。

  • 大黒柱から座卓を

数年前に欅の大黒柱から楕円の座卓を作ってほしいという依頼を受けたことがあるのだが、同じ方から今度は円形の座卓をという注文を頂戴しました。欅という木は、日本の木の中では重くて堅い材の代表格で30cm角の大黒柱はとんでもない重さ。工房の作業台の上に依頼主と二人掛かりで運び込んだものの一人では台の上で転がすのがやっと。今回の柱には梁を受けるほぞ穴が開いていたりして先に短く切りたくなかったので長い柱のままで板状に切り出す必要がある。手押し鉋盤で一面を平らにしてからバンドソーで板状にカットするのだが何しろ重い。近所に住む友人の助けを借りて二人掛かりでようやく作業を進めることが出来た。

2枚の厚板にカットすると中から巨大な虫穴登場! 生きた芋虫は幸い出てこなかったが、鉄砲虫に違いない。

鉋を掛けた柱に太い釘が残っていることに気付かず鉋盤に通したので交換して間もない刃物3枚が大きく欠けました(涙・涙)。

ある程度薄い板になれば軽くひとりでの取り扱いもOK。同じ厚さに鉋を掛けた板を5枚貼り合わせて大きな板へ。

虫穴やほぞ穴を避けつつ木目の組み合わせを選んでの組み合わせ。接着が終われば直径85cmの円形をひび割れなどを避けつつ書いていきます。

後はルーターで円形に切り出して大きな欅円盤に加工して更に脚を取り付けるレッグジョイントと呼ばれる金具を天板と脚に取り付けて行きます。

脚を先細りにして大きく丸面取りをして塗装すれば完成。欅の個性的な木目が金色に輝いてとてもいい感じです。無事、座卓に生まれ変わりこれから数十年、座卓としてお役に立てる日々を過ごすことでしょう。

  • 超大型額2号機

前回作らせていただいた超大型額ですが、秋の作品展に向けて2号機を作りました。およそ1.4m x 2mという畳の1.5倍ほど大きなものです。車で運べるように分解・組立て式にしないといけないので設計に苦心しました。大阪での発表会では日本画が納められた晴れ姿を見せていただきました。こんな絵を自宅に飾ってみたいものですが、大きな壁面自体がないですね。

  画家の松井さんと

  • 太鼓台

名古屋在住のプロ和太鼓奏者の方からの依頼で三角台と呼ばれる太鼓台を製作しました。栗材を使用してます。

運搬時に場所を取り過ぎないように重ねて収納可能になってます。太鼓の現物で寸法確認できないので最初の1台目で問題なく乗ることを確認してもらってから残りを一気に製作したのですが、太鼓の外形は微妙なカーブがあるのでやはり数ミリメートルの修正が(幸い大きくする方でしたが)必要でした。

  • 孫の椅子

2024年最後は、最年少の(今のところ)1歳の孫用に子供椅子を製作しました。動物の耳形の背板を取り付けた椅子にすることにしたのですが、5歳になる彼のお姉ちゃんからポケモンに登場するニャオハの耳にしてという指令が飛んできました。という訳でデザインツールにニャオハを取り込んで耳型を取り込みました。

耳を取り付けて塗装し、完成したのは大晦日の前日。元旦には我が家にやって来るので滑り込みの完成となりました。喜んでくれればいいのだけれど、はてさてどうなるかな? 因みに栗です。

他にもリピート注文や椅子修理も手掛けましたがここでは省略。

あと3時間足らずで2025年です。本年も大勢の方々のお陰で木工を続けて来れました。厚く御礼申し上げます。

皆様、どうぞ良い年をお迎えください。

 

木工教室から(24年12月)

今年も残り僅かになりました。ここ最近の教室で生まれた作品を紹介します。教室に通われる方達のスキルがどんどん向上し、数カ月掛かり~半年掛かりなどというのも珍しくありません。また、ご自分専用の工具を揃える方も徐々に増え中には自分専用の工房を構える猛者も登場されてます。デザインや技術も高度化してきてこちらも色々と鍛えられます。

まずは、奥様の茶道用道具を次々と作られているCさんの作品。これは前回紹介したひょうたん型の茶棚(と言うのかな?)ですが、塗装も終えて実際に茶道で使われている時の写真をもらいました。決して詳しくないのですが、基本分解できる必要があるそうで分解すると薄い2枚の板を重ねた状態になります。左にある電気コンロのカバーも以前の作品です。侘び寂びの精神を感じますね。

最新作は、これと同様に分解式の棚ですが、ウォルナット製の非常に凝った作り方です。四方の細い脚は先端が棚板に差し込める非常に精密な加工がされています。塗装前なので一見地味に見えますが、塗装すると見違えるようになること間違いなしです。

次は、ご自分の工房もお持ちのTさんの作品。以前紹介した欅の重厚な大型椅子にご自分で拭き漆を施されました。実はこの作品、今年の滋賀県展に出品されて昨年に続いて見事に入賞されました。この写真も県展で展示されている際のものです(facebookからもらいました)。工房の旋盤で製作した木皿を初めて拭き漆をしてもらったのですが、漆塗りの技は今や私のはるか彼方を走られてます。

彼は、今年の教室でアイロン曲木に挑戦されたのですが、いきなり3次元曲げ木(一度曲げて、次は違う向きに曲げるという離れ業)のブナ製椅子を作られました。最初は少し曲木部分に不具合もあったのですが元の太い棒材を薄く削り上げることで見事に完成まで持って行かれました。見事な透明の光沢仕上げです。来年には同じデザインで2脚目も作られる予定で一層上達した技を見せてもらえそうです。

Hさんの最新作のハイチェアがこちら。ビーチ材(輸入材のブナですね)で組んで天板はウォルナットの厚板です。ハイチェアでは足置きが必要になるので丸棒を試行錯誤で決めた丁度の高さに取り付けられています。

ご自宅用の工具キャビネットを作られたKさんの作品はこちら。引き出しが開いた状態の写真も撮ったのですが、ピンボケでした(失礼)。引手のない引き出しに見えてどうやって開くのかと思われるでしょうが、プッシュ式の高級スライドレールの採用で、押し込むと引き出しが出てきます。自宅から教室まで重い材量を運ぶ必要がようやくなくなりました。

木工女子Tさんのプリンタ台はこちら。角部分は45度にカットした山桜の板をビスケットという簡易ホゾで組んだ上に更に前面にはウォルナットのチキリで補強と意匠が施されています。キャスターで移動も容易になってます。

前後して組まれたこちらは同じ材の書類スタンド。コーナー部分を敢えてウォルナットでつなぐという手の込んだ加工をされました。

他にも多くの作品があったかと思うのですが、塗装をご自宅でされたりして写真を撮り損なったり、少し集中を欠いていたかも知れません、どうもスミマセン。