お寺の傘立て製作

12月に郵便ポストを納めたお寺さんに今月は傘立てを無事納品完了。お寺の行事で来客が多い際にも対応できるやや大ぶりの傘立てである。設置場所が玄関先の収納棚の隣の50cmほどの空きスペースにピッタリ収まるサイズで収納棚のナラの木目とも合わせるために同じナラ材を使った。

最初は、こんなデザインを書いてみたのだが、さしたる特徴もなく今ひとつ。複数の傘を立てると向きも乱雑になりリフォームされたばかりの新しい玄関がごたごたしそう。

 

で、書き直したのが、これ。傘を吊り下げられるようにしたので傘の向きが揃ってスッキリするはず。ご住職が袈裟を着て雨天にお使いの際の傘サイズは、通常の物よりひとまわり大きそうなので予めサイズを聞いたうえで十分に収まる高さにしてある。

ついでに玄関先に設置したイメージ図も作って見てもらい、これに決定。デザインツールに付属のペイント用の素材がイマイチなので木やタイルの質感はいまいちだけど、まあイメージなので。

いよいよ、ナラ材を使って製作開始。格子のあるデザインなので部品数やほぞ・ほぞ穴が沢山必要でそれなりに加工は手間取ったものの何とか準備完了。

接着手順を間違えないように順番に組み立てていく。

というような段階を経て無事完成しました。

細かい配慮も幾つか。。。折りたたみ傘を吊り下げるつまみも4個ほど取り付けてみた。

濡れた傘を入れると雨水が垂れるのでそれを受ける角皿を底部分に引き出しのように差し込めるようにした。これは、傘立てが完成してから底部の寸法を控えホームセンターを探し回って見つけたピッタリサイズのアルミ製。

塗装を終えて無事に玄関に収まりました。隙間スペースに設置する最初の瞬間はちょっとばかり緊張が走りましたが、無事最初の図面通りに置けて一安心。玄関キャビネットと色・質感も揃い、寸法もドンピシャ。

すっかり気に入っていただき、頼んでよかったとのありがたいお言葉を頂戴いたしました。こちらこそ有難うございました。

因みにこれが新しい作業台での最初の木工となった訳ですが、いやあ新しい万力ふたつ大活躍してくれました。そちらも満足満足!!

新しい作業台デビュー

工房に新しい作業台がデビュー。木工教室や注文製作の間隙を縫って、完成までに随分時間がが掛かってしまったが、1月に完成したばかりである。

巨大な万力をふたつ取り付けた。フロントバイスと呼ばれる左側の巨大な万力は、最大で30cm近く開くので大きな木工品もガッチリと固定できる。クイックリリース機構が付いているのでハンドルを左に一回転すると引き出しのように前後にずらして動かすことが出来る。

もう一つの万力は、エンドバイスと呼ばれるもの。実は6年も前にアメリカの木工ショップから通販で買って、いつか作ろうと思いつつこれまで果たせずにいた。日本の木の中では相当に硬い部類に属するナラの厚材を根性で(?)鋸とノミで刻んでアリ継ぎという丈夫な組み方でL字を作り、中に金属製の万力金具を組み込むというなかなか面倒な構造をとる必要があった。

この巨大なL字型の木の塊の中に極太の万力用ボルトが潜んでいてハンドル操作で前後に動くのだがフロントバイスと違ってこのバイスで直接対象物を挟み込むという使い方はしない。エンドバイスの側面に沿って穴がいくつか空いていて角棒が差し込んであるのが分かると思うが、この角棒に意味がある。

作業台の天板前面に貼り合わせたナラ材にも同様の角穴を設け、これらの穴にジャストサイズの角棒が差し込める。この穴を十数個、等間隔に並べ適当な穴に角棒を差し込み、その角棒間に工作物を挟んでエンドバイスで締め付けることで作業台に固定できる訳である。こんな感じ。

2m近い長さの木材も簡単に固定できるので両手を使って切ったり掘ったりの作業が極めて容易になる。完成してまだ10日程度しか使っていないのだが、この仕組みを使うと仮組したほぞを分解するのにも便利に使えることを今日発見した。圧縮はクランプなどで簡単にできるのだが、引っ張るのは意外に大変なのでこれは嬉しい発見。

この作業台を作るのに大いに参考にしたのが、この雑誌。記事に出てくる見本はアリ継ぎをそこいらじゅうに使ったものだが、そこまでの根性なく多少手抜きの組み方をした(天板と周囲の板間はビスケットで接着)。 エンドバイスはこの雑誌がなければ、まだ眠っていたかも。何しろ謎解きのような構造なのである。

因みに一番古い下の作業台は、作ってからかれこれ10年ほどになろうか、大きな万力を備えて今でも現役である。ツーバイフォー材(2x4)の3倍ほどの幅がある2x12の板を並べた天板は、すっかり貫録を増している。

工房で木工教室を始めるようになって作業台を3台に増やしたのだが、安直な2x4の作業馬の上にベニヤの厚板を乗せただけのもので通常の作業に大きな不便はないものの簡易万力を取り付けて使うのでしっかり材木を固定したりすることが出来ず、必要な時には上の作業台の万力を使ってもらっていた。この手のがふたつあるのだが、こちらは選手交代で引退してもらった。

ということで、木工作業効率大幅アップなるかな?

 

 

師走の木工

新年おめでとうございます。昨年何かとお世話になった皆様もそうでもない皆様も、大変有難うございました。お陰様で2021年を元気に迎えることが出来ました。

2020年、工房もコロナ禍と無縁ではいられませんでしたが、基本ひとり工房で製作に勤しむには影響はありません。木工教室は、そんな訳に行かずしばらく休んだり、人数が減ったりしましたが、有難いことにほぼほぼ以前のようにワイワイと(マスクしつつも)楽しく出来るようになりました。

そんな2020年の師走12月も工房近隣の方々から木工品のご依頼を頂戴し、街の木工屋としてはそれなりに役目を果たせたかもしれません。そんな中の幾つか、ではなくて、すべてをご紹介。

 

市内のお寺さんからのご依頼で大きな書類入り郵便物もすっぽり収まる大きめのポスト。ご住職が中学時代に作られたという歴史あるポストが半世紀の役割を解かれその後釜となりました。実は、工房入り口に設置したポスト(簡便に合板を木ねじで留めて作ったもの)をご覧になって、このイメージで作ってほしいとご注文いただきました。栗の無垢材で縦に深いので下部に小さな郵便物を取り出せる扉も設けました。強力磁石を仕込んでパチンと閉まるように一工夫。

築100年以上という建物の柱に合うよう濃い目の塗装をということで塗装後はこうなりました。設置した際の写真がこれ(2月に写真差し替えました)。

年越しとなってしまいましたが、引き続き今度は傘立てを依頼いただいています。それが、年の初めの初木工となる予定。

隣町の方からの依頼は、お持ちのガラステーブルの脚が気に入らないから作り直してほしいとの事で、同じ柄のナラ材で同サイズで作りました(右のふたつ)。 オリジナルは、ナラ柄の印刷シートが貼られた非無垢材でしたが、角もピッタリあった無垢材に変身。「完璧な仕上がり」と喜んでいただきました、はい。

次は、工房設立以来最も珍しいご依頼。珍注文記録(?)の品です。

彦根藩の兜の角の部分(ネットで調べると鍬形と呼ぶそうです、知らなかった)。ひこにゃんの兜と同じ彦根藩のです。兜収集がご趣味の隣町の方のご依頼。兜は、江戸時代の本物らしいのですが、この角の部分は傷みやすいのでほぼ失われているのだとか。この後、ご依頼主自ら金色に仕上げられるらしいです。因みにこんな風に左右分解できる仕組みになってます(見本通り)。見本以上にピッタリ組みあがると満足頂きました、はい。

年末最後の納品は、別方向の隣町からご依頼の陶器製鍋敷きの受け皿。大量に作らせてもらいました。こちらも栗の木。

濃色をご希望で黒いオイル塗装で仕上げました。栗の大胆な木目は,道管も太く濃色にも綺麗に染まり、お気に入りの材です。

28日に無事納品完了して、2020年最後の木工となりました、はい。

2021年、はたまたユニークなご注文の来ることを楽しみにしております。木で作るものなら何なりと。お待ちしております。

Winds 太平の椅子修理

Winds 太平という今はなき飛騨高山の家具メーカの椅子修理を今年も数多くこなした。 現存する会社だとその会社自身で椅子の修理を受け付けてくれが、なくなってしまった会社の椅子を修理したい場合、ネットで検索ということになるようです。そんな中に天の采配で私の工房にやって来る訳である。インターネット時代なればこそですね。

ウィンザーチェアと呼ばれる系統の伝統的な椅子構造で座板に丸脚の丸ほぞが差し込まれた丈夫なものなので、大抵は30年~40年使いこんだ末の痛みで、最も多いのが座面接着部の割れ。座板に突き刺した4本の脚で体重を支えるため、座板中央に最も大きく剪断力が働き中央寄りの接着部が最初にダメになる事が多いようです。

うまく分解できた場合は、座板の割れた面に鉋を掛けてビスケットと呼ばれる簡易ホゾ的な部材を割れた面の間に溝を掘って差し込むので新品時の接合以上に丈夫な貼り合わせが出来ます。

時には。背中部分や脚がどうしても分解できないこともあります。仕方ないので狭いすき間から薄ノミや金属板にサンドペーパーを貼ったもので接着剤をこそぎ落として再接着しますが、再接着部分の強度が充分でない可能性が残るので貼り合わせ後に座板下から補強しておきます。見た目、ギブスを当てているようですが、裏返さない限り見えないので外見より強度優先ですね。

次は、超珍しい修理事例ですが、背中の曲げ板が何故か途中で破断していて、おまけにそこに金属板を当てがって修理されたものでした(座板にも割れあり)。

この修理痕も見苦しいので再度直してほしいというご希望。いろいろ悩んだ末に破断部を切断して別の曲木を接着して成型することにしました。

という事で、無事修理完了。お送りした椅子をご覧になって、「素晴らしい出来栄えに、感動しました」という連絡を頂いた時は。木工屋として舞い上がります。

背中部分などで長年の使用で塗装がはがれてしまっていることもよくあります。そんな時には、一旦その部分の塗装を削り落としてから再塗装します。

塗装し終えれば、すっかりキレイになってこの先何十年か使い続けられることと思います。この時は、3脚同時修理。

修理の面白いのは、それぞれのケースで破損状況が違っているので修理方法を選んで組み合わせ、時には新たな材で破損部を作り直したりと、いろいろ知恵を絞らねばならない点ですね。うまく修理出来て依頼者に喜んでもらった時にその苦労が報われる気がします。新しい家具を作った時と違う面白さですね。

これが、2020年最後のブログとなりました。大変な一年だったかと思いますが、皆様よいお年を!

アンプ・クレードル

ほぼ2年ぶりにアンプ修理用の台(アンプ修理架台とかアンプクレイドルとかの表記もあるようです)製作の依頼を三重県の方から受け、先月納品しました。以前作ったものから少し寸法を変えて欲しいという事で、今回は少し幅が小さめで高さは高くしたものになりました。前にも書いたように隣町に住む元同僚でギターアンプの製作や修理をされている徳田さんの依頼で作らせてもらったのが最初だが、これが4台目という事になる。1~2年に一度、このマイナーなホームページを見つける方がいるという事実に驚きというか、有難いと思う次第です。

同じものを作るのも面白みがないので、もっと無茶ぶりしたい方どこぞにいませんか? 大量生産はしませんが、変な注文は大歓迎です。

木工教室から

With コロナの木工教室もそれなりに落ち着いてきたようである。今年の夏はひときわ暑かったが、エアコンを入れつつも基本的に窓を開けドアを開け、マスクをしながらの木工教室と相なった。そんな中次々とオリジナルの作品が生まれて来た。

  • 象嵌付き裁縫箱

私の工房で教室を開始してもうすぐ丸3年になるが、その第一期生Tさんの作品である。これまでの集大成ともいえる手の込んだ作品で奥様へのプレゼントでもあるらしい。箱の構造に包み蟻継ぎという超絶手の掛かる凝った継ぎ手に初挑戦された。更に正面には、これまた悶絶大変な象嵌による桜の花びらが舞っているのである。

上蓋をあけた部分に裁縫道具や糸などが納められ、その下には大小3つの引き出しが設けられている。総製作時間、半年近いのではなかろうか。こんなにも愛のこもったプレゼント、奥様はどんなにハッピーであろうか。

  • 分別収納棚

こちらも第一期生Hさんの作品。最近やはりご家庭で使うモノ、特に台所周りで使う家具が増えてきた印象がある。

工房のあるあきんどの里にある食べ物屋さんの建物に格子窓があるのだが、そこにヒントを得てこの格子デザインとなった。廃品の分別収納用の棚としてもう少しシンプルなイメージからスタートしたのだが、最終的に引き出しも付いた美しい棚が出来上がった。

  • ベッドサイド・テーブル

ベッド脇に置く八角形の3段棚を作られたのは、木工女子Kさん。彼女は、しばらく前に転び八角形の鉢カバーを作られたりと、八角にこだわりがあるのだが、これもその一環か。丁寧なほぞや相欠き継ぎで出来た桟で八角形の棚板を支えているのである。

+ 塗装前

  • ダイソン掃除機スタンド

裁縫箱の次の作品としてダイソンの充電式クリーナーの充電スタンドが出来上がった。大作完成後の筆休め、的なリラックスした作品とも言えそう。

  • 二段重ね工具箱

今年の春から教室に来られているやはり木工女子Tさんの自由作品ふたつ目は、山桜を使った2段重ねの工具箱。教室の課題作で経験されたあられ組を応用した工具箱が出来上がった。上側の箱には微妙な膨らみを持たせた取っ手が付いているが、これももちろん旋盤を使っての自作である。上下に箱を重ねたときにキレイに重なり合うよう段欠きを施し、噛み合うように収まる訳である。重なり合った上下の箱の木目は、もちろんつながっている。

  • ぶら下げ飾りスタンド

彦根から通われている木工女子Nさんの作品はぶら下げ飾り(布で作った小さな飾り物を幾つも吊り下げる、らしい)に使う栗のスタンドである。手加工のほぞ・ほぞ穴に苦労されての作品。

後日、ご自分で作られた沢山の飾りを吊った状態で見せてもらいました。

  • 寄木ボールペン

こういうボールペンの作り方があるという事は、知識としてはあったのだが、実際に作った事はなかったので、なかなか興味深かった。四種類の異なる棒状の木をまず田の字に接着した後、それを更に4色入りサイコロ状に切り刻み、出来上がったサイコロを市松模様のように位置を変えつつ再度つなぎ合わせてペンほどの長さの棒に仕上げるのである。その四角い棒から旋盤でボールペンに削り出すのである。二段重ね工具箱の次にTさんが作られたプレゼント用の作品である。

  • ビワイチ完走記念パネル

教室とは関係ないのだが、どさくさ紛れに営業を。工房主の高校時代の同級生が滋賀県にやって来て琵琶湖一周サイクリングを完走したので、その後のミニ同窓会を兼ねた祝賀会でプレゼントするために作ったパネルである。誰かこんなの欲しい人いませんか? 文字入れは、アイロン用紙の転写か本格的なものなら工房隣組の革工房でレーザー焼き付け頼めるかも。近江八幡のヒノキの琵琶湖だよ~。

 同級生M氏の完走完走祝い

 

テンセグリティー・テーブル

台風10号が近づいてきて一気に暑さが引いた今日、前から気になっていたテンセグリティー構造のテーブル模型を作ってみた。テンセグリティー構造というのは、「圧縮材が互いに接続されておらず、張力材とのバランスによって成立しているような構造システム」という事らしいのだが、ネット検索の最初に出てくるこんなサンプルが分かりやすだろう。

針金で出来た上の三角と下の三角ふたつを4本のヒモやゴム糸(3つの角と中央を結んでいる)でつないでいるのだが、4本全て張力だけで上の三角を支えている。

で、この構造を家具に当てはめればどうなるかということで考えてみたのがこれ。天板サイズが、15x20cm程度のヒノキの端材で作った小さな模型である。

天板と十字脚にそれぞれに「コ」の字状の部品を取り付け、その「コ」の字中央の穴を通したひもで連結し、更に天板の4か所から釣り糸で真下の十字脚の部分と結び付けている。写真では、多分よくわからないので動画も貼り付けておきます。

テーブル下部構造と天板構造の間をこのように、ひもと釣り糸の合計5本で吊り下げて(実際は吊り上げてる訳ですが)、全て張力だけで支えているので、剛構造にはなり得なくてこのように天板がユラユラ揺れるけど、それなりの強度は確保出来ているので天板上に物を乗せても問題ない訳ですね。

これを実寸に拡大したような家具を欲しいと思う人は、酔狂な例外を除いて存在しないと思うが、そんな酔狂な方が、もしおられましたらご是非連絡お待ちしてます。その時は、ヒモじゃなくて鎖とかピアノ線を使うことになると思います。それでもユラユラは止められないと思いますが。。。

 

山桜のダイニング・テーブル

工房近くにお住まいのご夫婦の依頼でダイニング・テーブルを製作した。これまで使われていたテーブルは、おふたりに戻った生活にはもはや大きすぎるので、小さめのサイズでとのご依頼である。

これまでにも幾つかの家具をを山桜でお作りしたことがあるので今回もすんなりと山桜に決定。いつもお世話になっている材木屋さんに注文して45mm厚の立派な山桜が届いた。よく使う27mm厚の小径木と違って幅50cmほどもある良材である。実は,38mm厚を注文したのだが、テーブル天板に向いた在庫がないという事でこの材を送っていただいたのである。

木の芯の部分が通っている柾目板なので中央に割れが入っているが、乾燥時の反りを取るためいずれにしろ中央付近で一旦切断する。天板に使う部分と脚に加工する部材を木目を見ながら決定してカット。天板を作る板3枚を木取りした。

若干ねじれた板をねじれの中間ぐらいで平面になるように、手押し鉋に慎重に幾度も通す。出来るだけ厚い平板を取るための工夫である。

木工教室や学習机、ベッドでだいぶ鉋刃を酷使したので、途中で手押し鉋と自動鉋の鉋刃も研ぎ終えたものと交換。切れ味がよくなったところで最後の鉋掛け。3枚の板を矧いで天板とする。

脚は4隅に置いたものにしてほしいというご依頼なので、天板への取り付け方法は、幕板に専用金具を使って脚を取り付ける方法に決定。ほぼほぼこんな感じ、上下逆ですが。脚をほぼ目いっぱい外寄りに取り付けたので天板は小さめでもいざという時には多人数で周りを囲んで使えます。

脚も角を丸く面取りして取付ボルトを埋め込みます。

ほぼ柾目の厚板には縞杢も入っていたのでオイル塗装をすることで一段と杢の映える天板となったのでした。事前に了解を得て、一ヶ所小さめの節も残しています。

カーブ付けや面取り、脚取り付け、オイル塗装と何やかや作業を続けて無事完成し、ご希望のお盆までに滑り込みで搬入いたしました。

やや重めの山桜の厚板を使ったのでちょっと重くなってしまったけど、まあ滅多に移動しないだろうからお許しください。

気に入っていただいて、一安心。

木工教室再開!

新型コロナビールス感染拡大で4月ごろから木工教室に来られていた方達が徐々に休まれるようになり、緊急事態宣言に至って教室自体も閉鎖させていただいた。6月以降少し落ち着いて来たので恐る恐る再開している。作業机の配列も少し変更して幾分間隔も広く取るようにしてみた。

とは言え、再開された方達の新たな作品も次々と生まれつつあるのでいくつかを紹介したい。

まずは木工女子Kさんのマガジンラック。前面に依頼主のリクエストでニコニコマーク(ニコちゃんマークとも)の切抜が!

次も彼女の四方転び八角形の鉢カバー。四方転びというのは、八角形が(何角形でもいいのですが)末広がりになるような立体を表す言葉である。単なる八角形の筒ならば中学生の算数程度で角度計算できるのだが、四方転びとなるとかなり難問となる。この時代、ネットで少し検索すれば色々な人が計算表つきで作り方を解説してくれているので、まあ理屈抜きでも製作方法は分かるのである。とは言え工房初の四方転び、テーブルソーの刃を計算角度分だけ傾け、更に面が台形になるように刃に対して板も斜めに切断しないといけないので、組み上げてみるまでは正しく出来たかどうかも分からない。それでも、組み上げると見事に一発で写真のようにぴたりと接着面が合う鉢カバーが出来たのでした。キャスター付きなので重い鉢植えの移動も簡単。工夫が光ってます。

 

次は、Mさんのスツール連作。ひとつ目は、初めて角のみ盤でホゾ穴を掘り、テーブルソーでほぞをカットして組み上げた四角のヒノキ・スツール。スポンジと合皮の張り込みも初チャレンジしてもらった。ふたつ目は趣向を変えておむすび型の丸ほぞを使ったケヤキ製三角スツール(脚はヒノキ)、みっつめはまだ完成していないが同じく丸ほぞの四角スツールの予定である。

そしてコロナ騒ぎの直前ぐらいから教室に来られるようになったTさんの作品。課題作のティッシュケースもウォルナットならその次の丸ほぞスツールもウォルナットである。

女性作の家具は、やはりどこか優しく上品になるような気がするのだが、そんなことも言ってはいけないのかな、今の時代?

他にも凝った作品を次々と製作中です。完成したらまたいずれ。

地産地消で孫のベッド

一昨年の台風で近江八幡の里山に生えていた檜が根ごと倒れた。島学区に住む高校時代の同級生Y氏がその檜を使わないかと声を掛けてくれて、彼の誘いでその裏山の檜を切って運び出してから既に1年近くになる。チェーンソーで切らせてもらったり、彼が予め切っていた板材も大量に頂戴したのだが、その時のいきさつは先のブログに書いたとおりである。

彼が使う巨大まな板などに少し使っただけで乾燥が進むのを待っていたのだが、コロナ禍のなか木工教室もしばらく休むことになり時間も出来たのを機に市内に住む小学生の孫用のベッド製作を始めたのである。もっともベッドを息子夫婦から依頼されたのはもう何年も前である。

チェーンソーで板状や半丸太状に切った檜は、製材所の帯鋸で平らにした板と違って平らに板にするまでが何しろ大変。工房にある細刃の帯鋸(バンド・ソー)は、通常の板を切るには何の不足もないが面が平らでないチェーンソー材から平板に切るのはすこぶる大変であった。

木の体積の半分近くがおが屑になったのではないかというぐらい切って切って鉋盤で削って削って、何とか平らな板を作り上げては、ヘッド部材に少しずつ加工していった。

管理されて枝打ちされた檜ではないので至る所節だらけで、目立つところは節を避け、乾燥割れを取り除き、板を貼り合わせたりして、何とかヘッドボードとフットボードは、節無しで出来上がり。

この両ボードをつなぐ部材は長さ2mほどの丈夫な厚板が必要(マットレスが乗りひとの体重も丸々掛かる)なのだが、大きな節を避けての2mの厚材はどうしても取れなかった。大きな節があるとそこで木が曲がったり(後日曲がってくる可能性も高い)節がポロリと抜けて強度的に持たなくなる可能性もある。仕方ないのでこの長尺材だけは、製材したナラを使った。

という訳で本体がほぼ完成。

ここにスノコ状のマットレス受けを取り付ければいいわけである。スノコにする材も結構な枚数が要るので節を避けてはとても出来ない。そもそもマットレスを置けば見えなくなる部材なので気にせず節材も大切に使わせてもらう。

この写真は、板を並べて置いてみた状態。完成までもう一歩なので、完成イベントはベッドの持ち主一家に手伝ってもらわねばならない。ということでスノコのネジ止め作業は息子一家に委ねて遂に完成。

このベッドの設計、無論私ではあるのだが持ち主の樹君(小4)の意見を大きく取り入れている。ヘッドボードには、半分は本棚を、残り半分はトミカの棚を作ってほしいという厳命が下りていた。なので最後にトミカの棚を取り付けたのでありました。

下が、彼の部屋に運び込んでマットレスも載せて本当に完成したの図。

トミカの陳列も無事なされたのでした。

これまで親と一緒に寝ていた彼は、ベッドが出来てもすぐには自分の部屋で寝なかったらしいのだが、1週間ほど経って遂に檜の香りに包まれて一人寝出来るようになったと聞いております。よかったよかった。これから何歳になるまで使ってくれるかなぁ? 大人サイズなので、一応一生ものと思ったりもするのだが(なのでトミカの棚は取り外し可能にしてある)、むろんそれを見届けることは爺ちゃんには出来ない。

 

こだわりの手作り家具工房